オレは持田伊蔵。
中学三年。
もてたくて、もてたくて、もてまくりたいあまり、 悪魔を召喚してしまったらしい…
それはありえない姿でオレの目の前に現れた。 裸の上半身にはライオンの頭がのっている。
何より目を引くのは、真っ白な“まわし”をしめていることだった。
「あの、どなたですか…」 おそるおそるたずねる。
「自分で呼んでおいて、それをオレ様にきくか?」 面倒くさそうに答えるライオン男。
だいたい自分のことを“おれ様”と呼ぶ奴にろくな奴はいない 「…と思う。」 やばい!心の声の語尾だけがもれてしまった。
「お前、いまオレ様のことを“ろくでもない”とか思っただろう。」 にやけた口調で追及してこようとするライオン男。
はっきり言ってうざい。
「お前、いまオレ様のことを…」
「はいはい、思いました。いま、“うざい”とおもいました。」 先に言ってやった。
「カッカッカッカ!なかなか正直でよろしい。オレ様お前のこと気にいったぞ。」 突然笑いだしながらの、上から目線発言にイラっとする。
「繰り返しになりますが、どなたですか。」 わざとたずねる。
「このやりとりにも飽きてきたからなぁ。そろそろ教えてやろう。」
それなら最初から教えといてくれ。
「お前、いまオレ様に…」
「はいはい、わかりました。もうけっこうなんで、かえってください。」 正直面倒くさくなってきたので無理やり話を切り上げる。
「お前、本当にそれでいいのか?」 突然猫なで声になるライオン男。
「・・・・・。」 そうだった。オレの望みがライオン男を呼び出したんだ。
「そうだ。オレ様はお前の魂の渇望にひかれて召喚されたのだよ。」
どや顔で答えるライオン男。
キモイ。
「お前、いまオレ様のこと…」
「わかったんで。オレの心が読まれていることもうわかったんで。いちいち突っ込んでくるのやめてもらえませんか。」 思い切って頼んでみる。
「なんだ、つっこんでほしくて毒づいていたんじゃないのか?わかった。お前がそう望むなら、無用なつっこみは控えよう。」 ライオン男は案外すんなりと頼みをきいてくれた。
「さっき、オレの魂の渇望にひかれて召喚されたと言っていたよな。」 確認でたずねる。
「ああ、言ったよ。」 ライオン男が答える。
「じゃあ、あんた“悪魔”なのか?」 ライオンの顔を見つめながらたずねる。
「いかにも。オレ様は“悪魔”だ。お前の魂の渇望にひかれ、その渇望を満たしてやるためにここにいる。」
言っているセリフはかっこいいはずなのに、全くそれが伝わってこない。
残念だ。
とても残念だ。
なんで悪魔のお前が“まわし”をしめている。
だれと相撲をとるつもりだったんだ。
ここぞとばかりに、心の中でつっこみまくる。
これがオレと、つっこみどころ満載の“悪魔”との出会いだった。