「……そいえば、十葉さんは?」
思い出してしまった舞羽。気付きながらも、あえて触れたくなかった舞香は、舞羽の言葉にドキッとする。思わず颯志の返事に緊張してしまう。
「あぁ、十葉は今回ちょっと、な、留守番だ」
颯志の言葉に少し胸を撫でた舞香だったが、すぐさま思い当たる……そっか、だから涼風君は緊張していたのかなって……なんだか気持ちが切なくなった。
「留守番?」
舞羽は舞香を横目に話を続ける。その視線に気付いた舞香……舞羽は多分、私の気持ち、分かっているんだろうな……舞香はそう感じるのだった。
「そ、アイツはこの大会ジュニアは連覇してるからさ。アイツ1月生まれだからまだ、15歳なんだ」
「ジュニアはとっくに卒業して、ヤングライダーを見据えているから……?」
「そういうこと。それに俺も……」
「俺も?」
舞羽が小首を傾げる。通常、その仕草の意味は三つ。怪訝に思う、マイナス的な意見の相違と、単純に分からない、不思議を表す場合、そして男を惑わす振舞い。女性のそれは、男性からすれば恐ろしい……颯志の心だって弾み上がる。
「……何でもない」
はにかんで顔を逸らすのは颯志。今度は、それを見ていた舞香のハートがときめいてしまう。