「あ、あの……おめでとうございます」
表彰式、舞香は颯志に思い切って声を掛けた。珍しく颯志は興奮していて、舞香たちに気付いていなかった。
「お? あ、舞香ちゃん……舞羽ちゃんもいるじゃん。ま、1番は無理だったけど、やっと俺も……ありがとさん」
颯志の顔がパァーと明るくなる。颯志だってやっぱり人の子である……ずっと緊張しっ放しだったんだろうな、と舞香は感じ取った。
「おめでと……」
舞羽も言葉を添える。
「あ、ちょ、ちょっとすみません……写真撮ってくれませんか?」
先程、記念撮影を撮り終えたカメラマン、後片付けしだしたところを颯志が呼び止める。
「ほら、二人とも、こっちこっち」
「きゃっ」
「あ、あたしはいいから」
颯志は強引に二人の手を取ると、カメラマンの前まで引っ張り出して肩を組む。颯志は、そういうことに無頓着なのだろうか? 舞香は、颯志の土と汗の匂いの混じった男らしさを感じて、身体が火照る。
すぐさまシャッターが切られる。そしてシャッター音を聞き終えるとすぐに、舞羽は颯志から離れる。舞羽の顔も赤らんでいた。
舞香はこれで立ち去ってしまいそうな颯志を、呼び止めるように会話を探しだす。舞香は自分にこんな一面があることに、びっくりしている。
「こ、こんなにすぐに、また……会えると思ってなかったから、その……嬉しいです」
「……そりゃ、馬術の世界にいる奴なら、この大会を目標にしてない人間なんていないでしょ。ここにくれば大概の奴に会えるって」