続いて一華の演技。
一際歓声が大きく上がる。一華の『ピアッフェ』だ。
『ピアッフェ』という最高難度のステップ。前進せずに、その場で足踏みする。一定のリズムで肢を高く上げ、いきいきとした動きができているかが、評価のポイントとなる。
『前に進みたい!』馬が本来持つ前進気勢を維持しながら、その場にとどまって足踏みをしなければならない。馬にとって我慢が必要な難しいこの動作を、一華が両脚を少し後ろに引いてパレスチーノに指示を出し、パレスチーノが見事にそれに応える。
パレスチーノの肢が高い! 一華とパレスチーノが魅せる!
「パレスチーノがターンするときも、一華は全然動かない……。何もしていないように見えるのに、馬をしっかりコントロールできてる……すごいなぁ」
舞香が思わず見惚れる。出番を控えているのにも拘らず、プレッシャーなどまるで感じていないかのように他人事だ。
馬の息づかいが荒くなるのが分かる。舞香にもパレスチーノが頑張っているのがここまで伝わってくる……。
「やっぱり競技を生で観ると迫力があって、すっごく楽しい。こっちにも熱い気持ちにさせられるくらいエネルギーが伝わってくるよ」
「……そうだね」
初めて舞羽と馬術観戦に行った小学生のときを思い出す。舞羽はそう言ったが、舞香は少し会場と馬の迫力に呑まれて、とりあえず相槌をうった覚えがある。
「でもわたしは観せる側に立つよ、ここよりももっと大きな舞台で」