勝負の世界は敗者に厳しい。そしてそれは致し方ない事である。誰かが優しい言葉を投げかけても、癒されるのはその一時だけ……。負けの後は逃げ出すか再び立ち向かうかの二択しかないのだから。
特に今回のように、同じチーム内で明暗が分かれているときは難しい。放っておく訳にもいかない。誰かが声を掛けなくてはならない。それはやはり先輩の役目だ。
「美都も残念だったな」
隼人はまず、声を掛けやすい美都に、暗くならないよう声を掛ける。お互い少し神妙な顔で見合わせた後、『プッ』と噴き出す。
「やだぁ、隼人先輩。私そんなに落ち込んでる風でしたぁ」
美都だって決して悔しくない訳ではない。しかし舞羽と舞香という二人と共に過ごしてきた時間は、美都の心を確実に育ててきた。『悔しいのなら、やるしかない』、挫けた分だけその差は開き、次の悔しさが待っている。常にその覚悟を持っている。
だから立ち止まってしまっても、卑屈にならない。挫けることだってない訳がない。その開いてしまった分の差は、自分の弱さだと理解しているから。それを何かの所為にはしない。
だから美都は、明るさを捨てない。
舞羽と舞香は美都と抱き合って健闘を称え合った。