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@62話

ー/ー





「それでは……いただきます」


 


 夜光の言葉が音色には別の言葉となって響く……『こんな時はお腹を満たすのがいい……そうすれば死ぬ気も薄れる』……『お腹が空いてるから、諦めるんだ』……油断している夜光の股間を蹴り上げると、うずくまる側を急いで通り抜け、扉へと辿り着く。


 


 勢いよく扉を開くと廊下を一直線に走る。エレベーターの下のボタンを押すも1Fで待機中の箱はここまで来るのにマイペース過ぎた。夜光が部屋を出てくる。


 夜光だってこうなったら引き返す道など無い。音色の位置を認めるとまっしぐらに足を速める。音色は左右とエレベーターの表示を見回すと、左手の階段へと体を移動させる。焦って引く扉を押してしまう……身体が一歩引くことを嫌がっている。


 


 


 


 そこでエレベーターが到着、扉が開く……ちょうど夜光がエレベーター前を通り過ぎたところだ……この階を目的に降りる人間と言えば……


 


「だ、誰か助けて!」


 


 音色の必死の声が届く……


 


 瑞稀が飛び出てきた。それを視界にとらえた音色は、ヘナヘナと座り込む。助かった…………。


 夜光は背後を突かれて驚いたところを、瑞稀に後ろ手に取られ廊下に押さえつけられる。


 


「夜行さん、何やってるんですかっ!」


 


 瑞稀の言葉も息も荒い。瑞稀も軽い興奮状態だ。瑞稀の後ろからすぐ一颯も出てきて、真っ先に音色へと寄り添う。


 


「大丈夫か?」


 


 自分のジャケットを音色に掛ける。そして夜光へと顔を向けると、『出て行け!』と怒鳴りつける。瑞稀が罪人を引っ立てるように下の階へと連れ去る。


 夜光は事の弁解をするように一颯(社長)へと捨て台詞を残す。


 


「社長、そいつは前科者です、前の会社で横領していたんですよ! いいんですか? そんな奴を置いておいてっ」


 


 全てを言い終わる前に扉は閉められた。一颯は精一杯の表情を繕って音色に声を掛ける。


 


「ケガはない?」


 


 首を横に振る音色。一颯の目を見ると、優しく微笑みが送られた。震える声で一颯に聞いてみる。


 


「あの人は……夜光さんはどうなるんですか?」


「あ……うん……訴えるかい?」


 


 再び首を横に振る音色。訴えたのなら会社に迷惑が掛かる。そして言葉を続けた。


 


「あ、あの……私……」


 


 今度は一颯が静かに首を横に振る。そして『立てるかい?』と音色を促すと、瑞稀に音色を家まで送るよう命じた。




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「それでは……いただきます」
 夜光の言葉が音色には別の言葉となって響く……『こんな時はお腹を満たすのがいい……そうすれば死ぬ気も薄れる』……『お腹が空いてるから、諦めるんだ』……油断している夜光の股間を蹴り上げると、うずくまる側を急いで通り抜け、扉へと辿り着く。
 勢いよく扉を開くと廊下を一直線に走る。エレベーターの下のボタンを押すも1Fで待機中の箱はここまで来るのにマイペース過ぎた。夜光が部屋を出てくる。
 夜光だってこうなったら引き返す道など無い。音色の位置を認めるとまっしぐらに足を速める。音色は左右とエレベーターの表示を見回すと、左手の階段へと体を移動させる。焦って引く扉を押してしまう……身体が一歩引くことを嫌がっている。
 そこでエレベーターが到着、扉が開く……ちょうど夜光がエレベーター前を通り過ぎたところだ……この階を目的に降りる人間と言えば……
「だ、誰か助けて!」
 音色の必死の声が届く……
 瑞稀が飛び出てきた。それを視界にとらえた音色は、ヘナヘナと座り込む。助かった…………。
 夜光は背後を突かれて驚いたところを、瑞稀に後ろ手に取られ廊下に押さえつけられる。
「夜行さん、何やってるんですかっ!」
 瑞稀の言葉も息も荒い。瑞稀も軽い興奮状態だ。瑞稀の後ろからすぐ一颯も出てきて、真っ先に音色へと寄り添う。
「大丈夫か?」
 自分のジャケットを音色に掛ける。そして夜光へと顔を向けると、『出て行け!』と怒鳴りつける。瑞稀が罪人を引っ立てるように下の階へと連れ去る。
 夜光は事の弁解をするように|一颯《社長》へと捨て台詞を残す。
「社長、そいつは前科者です、前の会社で横領していたんですよ! いいんですか? そんな奴を置いておいてっ」
 全てを言い終わる前に扉は閉められた。一颯は精一杯の表情を繕って音色に声を掛ける。
「ケガはない?」
 首を横に振る音色。一颯の目を見ると、優しく微笑みが送られた。震える声で一颯に聞いてみる。
「あの人は……夜光さんはどうなるんですか?」
「あ……うん……訴えるかい?」
 再び首を横に振る音色。訴えたのなら会社に迷惑が掛かる。そして言葉を続けた。
「あ、あの……私……」
 今度は一颯が静かに首を横に振る。そして『立てるかい?』と音色を促すと、瑞稀に音色を家まで送るよう命じた。