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第七十五話:王の命令:裏切りの公開処刑

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 リリアの献身により王の毒殺計画が未遂に終わってから、二週間が経過した。この事件は、盟約軍全体に、人間社会の謀略に対する深い警戒心を植え付けた。

 司令部では、最高戦略官アクア、後方戦略総司令官シエル、そして闇の特務機関長ヴァルキリアが集まり、今回の暗殺計画の内部調査結果をヒカルに報告していた。

「王よ。結論から申し上げます」

 蒼玉の理性竜姫アクアは、その瞳に冷徹な怒りを宿していた。

「リリア殿の迅速な対応にもかかわらず、カインの謀略は我々の情報網の脆弱性を突きました。我々の調査により、毒物の製造ルートと、それを王の食事に盛った裏切り者の正体を特定しました」

 シエルが、魔力演算で特定した裏切り者のリストをヒカルの戦略盤に表示する。

「裏切り者は、元古王軍の兵士です。複数名が関与し、彼らは古王の『力による支配』を懐古し、王の『優しさによる新秩序』を弱さと見なしていました。カインは、彼らの古王への忠誠心という名の不満を利用したのです」

 ヴァルキリアが、孤高の威圧感を放ちながら、冷徹な真実を突きつける。

「裏切り者は、王の命を狙うことで、古王の再興を望んだ。彼らの背後には、闇の六征竜の残滓が影を潜めています。契約者。この裏切りは、王の絆への直接的な挑戦です」

 ヒカルの心には、かつて自分がカインに裏切られた時のトラウマが蘇る。憎悪ではなく、悲しみと、そして王としての義務の重さだけが残った。

 その時、古王軍編入部隊総司令官のユグドラが、激しい怒りに顔を歪ませながら、玉座の間に駆け込んできた。彼は、裏切り者たちがかつての仲間であったという事実に直面し、武人としての誇りを深く傷つけられていた。

「王よ! 裏切り者の首を、このユグドラに裁かせてください! 彼らは、古王の時代を懐古し、武人としての誇りを捨てて人間の陰謀に加担した。古王の軍勢は力に屈しても、命までも奪われることを選ばなかった。それなのに、彼らは! 命懸けで王に忠誠を誓った我々を裏切った!」

 ユグドラはヒカルの前に深々と頭を垂れ、悲痛な声で訴える。

「彼らの裏切りは、王の優しさという新たな竜族の誇りを根底から否定するものです。彼らを討ねば、盟約軍の絆は瓦解する! 極刑をもって、王の絆の鉄則を全軍に示してください!」

 ◇◆◇◆◇

 ヒカルは、ユグドラの激しい怒りと悲しみを受け止め、静かに立ち上がった。彼の瞳は、裏切りを恐れる人間のそれではなく、王の裁定を下す絶対的な決意に満ちていた。

「ユグドラ。貴殿の痛みは理解する。彼らが裏切ったのは、古王への忠誠心ではない。彼らが裏切ったのは、俺を王として選んだ竜族全ての絆と優しさだ」

 ヒカルは、玉座の間を出て、全軍が集結する中央広場へと向かった。

 広場に集まった全軍の前で、ヒカルは裏切り者を拘束し、壇上に連れ出した。紅蓮の激情竜姫レヴィア、蒼玉の理性竜姫アクアを筆頭に、六龍姫全員がヒカルの背後に控える。

 ヒカルは、裏切り者たちが聞いていることを見据え、全軍に向けて王の決断を告げた。

「聞け、盟約軍の兵士たちよ! そして、この裏切りを画策したカインよ!」

 ヒカルは、自身の裏切りの過去、一度はリリアを失った悲劇、そして、それでもなお優しさを最強の力とすることを選んだ王の孤独な決意を、全軍に公開した。

「俺の魂は、裏切りの憎悪に満ちていた。だが、俺は、お前たちの愛によって、その憎悪を乗り越えた。それなのに、貴様らは、その優しさと絆を、人間の陰謀に売り渡した!」

 ヒカルは、裏切り者たちに語りかける。

 裏切り者たちは、顔面蒼白となり、壇上で膝をついたまま、震える声で命乞いを始めた。

「お、王よ! お許しください! 命だけは! 家族を養わねばならないのです!」
「どうか、一度の過ちと……! 忠誠を誓い直します! 命を!」

 ユグドラは、その命乞いを冷徹に拒絶した。彼は大剣を地面に突き刺したまま、涙ながらに極刑を求めた。

「王よ! 情けは無用! 彼らの裏切りは、極刑に値します! 命をもって、絆の鉄則を全軍に示してください!」

 ヒカルは、ユグドラの痛みを理解しつつ、王の愛の裁定を下す。

「貴様たちの命は、俺の命ではない。お前たちが裏切ったのは、俺という人間ではなく、貴様らを愛し、信じた竜族の絆だ! 絆を破る者は、王国の存在を根底から否定すると理解しろ!」

 ヒカルは、ユグドラに目を向け、最後の裁定を告げた。

「ユグドラの願いを受け入れよう。これはこれまでの竜の王国の法にも則っている。今回の裏切りは、王国の根幹を揺るがす罪だ。故に、王の愛の裁定は――極刑とする」

 その瞬間、闇の特務機関を率いるヴァルキリアとシェイドが、拘束した裏切り者たちに闇の魔力を込めた刃を振り下ろす。ユグドラもまた、自らの剣を抜き、裏切り者の魂を断つように、闇の執行に加わった。

 裏切り者たちは、断末魔の声を上げることすら許されなかった。絶望の眼、そして中には憎悪の眼を向ける者もいた。だが、等しく刑は執行され、彼等の魔力と肉体は、音もなく闇に包まれ、塵となって消滅した。

 ヒカルは、全軍に向けて、王の鉄則を宣言した。

「全軍、心に刻め! この盟約軍を動かすのは、力でも恐怖でもない。命懸けの優しさと、揺るぎない絆の信頼だ! 絆を破る者は、王の愛の調律から外れ、世界の理から消え去る! これが、新秩序の絆の鉄則だ!」

 全軍は、王の命懸けの覚悟と、裏切りへの冷徹な裁定に震え上がった。ヒカルの「絆の共感者」が捉える全軍の士気メーターは、動揺から一転し、揺るぎない忠誠心という最高の調和を奏でた。

 ◇◆◇◆◇

 裁定が下された直後、純白の調和聖女ルーナ、無垢なる浄化使アウラ、そして旧帝室の血を継ぐ聖女クラリスが、光の魔力と威厳を広場全体に解放した。

「聞け、カインよ! そして、帝国人民よ!」

 聖女クラリスは、旧帝国貴族の間に代々伝わる、神聖なる権威の魔術を発動させる。その神々しい光が、裁定の場を包み込み、映像魔術端末を通じて帝国中枢へと発信された。

「この裁定は、王の激情ではない! 神聖なる裁きです! 盟約軍の王ヒカル様は、裏切りという毒から人類と竜族の絆を護り抜いた! カイン、貴様の謀略は、旧帝国の血脈と信仰によって、もはや正当性を失った!」

 ルーナは、その光の魔力でクラリスの言葉を増幅し、調和の音色を響かせる。

「王の優しさは、弱さではない! 絆を破る者には、王の愛による冷徹な裁定が下る! これが、新秩序の、揺るぎない絆の鉄則の証明です! 王の愛こそ、人類と竜族の唯一の救済です!」

 アウラが、冷静な声で、ルーナの光の言葉を補強する。

「この裁定は、王国の永続的な繁栄を保証する、最も合理的かつ論理的な結論です。我々盟約軍は、王の命を狙い、世界の調和を乱すカインをはじめとした旧帝国勢力の完全な廃絶を、ここに宣言する!」

 ヒカルの「絆の鉄則」の裁定は、神聖な正当性と論理的な必然性を帯びた廃絶宣言として、カインと全世界に向けた、最も効果的な心理的なカウンターとなった。




「アクア、シエル。カインの目的は、あわよくば俺の命を奪うことだろうが、真の目的は時間を稼ぎDSW(対竜特化兵器)の開発を完了させることだと思う。つまり、DSWの脅威を排除しなければ、俺たちのユニゾンは、いつか破綻すると考えているのだが……」

 蒼玉の理性竜姫アクアは、冷静な瞳に決意を宿す。

「王よ。カインのDSWは、竜族の魔力を無効化し、ユニゾンの調和そのものを不協和音へと変える構造を持っています。正面からの突破は、論理的に見て非合理的です……」
「アクア様のおっしゃる通りかと考えます。王のご懸念の通り、カインの真の目的であるDSWに対しての対抗策を我々も得る必要があるでしょう」

 その時、学術顧問エルダー・ソフスが、ルーナと共に司令部に現れた。彼の両脇には、古代の文書と、DSWの設計図の解析結果が記されたクリスタル端末が置かれている。

「王よ。吉報ですぞ。DSWの対抗策が、ようやく見つかりました」

 エルダー・ソフスは、その知恵の重みを込めた声で告げた。

「DSWの防御構造を内部から破壊するためには、単なる二属性のユニゾンでは不十分です。解析の結果、光(ルーナ)+土(テラ)+水(アクア)の三龍ユニゾンが、防御を打ち破るための最低ラインであることが判明しました」

 ヒカルの脳裏で、三属性の竜姫たちの愛の調律が浮かび上がる。

「三元聖盾浄化(トライアド・シールド・ピュリフィケーション)か……。光の調律、土の不動の防御、そして水の理性の安定。三位一体の愛で、憎悪を打ち破るということだな」
「その通りです、王よ。ルーナ様の絶対的な調和(光)、テラ様の揺るぎない献身(土)、そしてアクア様の理性の安定(水)、この三つの愛の和音こそが、DSWという憎悪の結晶を打ち砕く知恵の盾となります。さらに、風の機動性が加われば、四元聖盾浄化(カルテット・シールド・ピュリフィケーション)となり、成功率は飛躍的に向上するでしょう」

 純白の調和聖女ルーナが、ヒカルの手を取り、優しく微笑んだ。

「ヒカル様。私の光は、憎悪と破壊の論理を、愛の調和で上書きします。テラ姉さま、アクア姉さま、そして皆と共に、王の未来を護る盾となりましょう!」

 ヒカルは、六龍姫の愛が、武力だけでなく、知恵と戦略という形で、着実にカインの謀略を上回っていることを確信した。

「よし。これで、カインのDSWという最後の切り札は、もはや脅威ではなくなるだろう。全軍、帝都への最終決戦の準備を整えろ。人類の腐敗を断ち切り、優しさが最強の力であることを証明する時が来た」

 盟約軍は、王の裏切りのトラウマの克服と、内部亀裂の修復、そしてDSWへの対抗策という最高の布石を整え、仇敵カイン率いる帝国残党軍との最終決戦へと向かう。

【第76話へ続く】



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 司令部では、最高戦略官アクア、後方戦略総司令官シエル、そして闇の特務機関長ヴァルキリアが集まり、今回の暗殺計画の内部調査結果をヒカルに報告していた。
「王よ。結論から申し上げます」
 蒼玉の理性竜姫アクアは、その瞳に冷徹な怒りを宿していた。
「リリア殿の迅速な対応にもかかわらず、カインの謀略は我々の情報網の脆弱性を突きました。我々の調査により、毒物の製造ルートと、それを王の食事に盛った裏切り者の正体を特定しました」
 シエルが、魔力演算で特定した裏切り者のリストをヒカルの戦略盤に表示する。
「裏切り者は、元古王軍の兵士です。複数名が関与し、彼らは古王の『力による支配』を懐古し、王の『優しさによる新秩序』を弱さと見なしていました。カインは、彼らの古王への忠誠心という名の不満を利用したのです」
 ヴァルキリアが、孤高の威圧感を放ちながら、冷徹な真実を突きつける。
「裏切り者は、王の命を狙うことで、古王の再興を望んだ。彼らの背後には、闇の六征竜の残滓が影を潜めています。契約者。この裏切りは、王の絆への直接的な挑戦です」
 ヒカルの心には、かつて自分がカインに裏切られた時のトラウマが蘇る。憎悪ではなく、悲しみと、そして王としての義務の重さだけが残った。
 その時、古王軍編入部隊総司令官のユグドラが、激しい怒りに顔を歪ませながら、玉座の間に駆け込んできた。彼は、裏切り者たちがかつての仲間であったという事実に直面し、武人としての誇りを深く傷つけられていた。
「王よ! 裏切り者の首を、このユグドラに裁かせてください! 彼らは、古王の時代を懐古し、武人としての誇りを捨てて人間の陰謀に加担した。古王の軍勢は力に屈しても、命までも奪われることを選ばなかった。それなのに、彼らは! 命懸けで王に忠誠を誓った我々を裏切った!」
 ユグドラはヒカルの前に深々と頭を垂れ、悲痛な声で訴える。
「彼らの裏切りは、王の優しさという新たな竜族の誇りを根底から否定するものです。彼らを討ねば、盟約軍の絆は瓦解する! 極刑をもって、王の絆の鉄則を全軍に示してください!」
 ◇◆◇◆◇
 ヒカルは、ユグドラの激しい怒りと悲しみを受け止め、静かに立ち上がった。彼の瞳は、裏切りを恐れる人間のそれではなく、王の裁定を下す絶対的な決意に満ちていた。
「ユグドラ。貴殿の痛みは理解する。彼らが裏切ったのは、古王への忠誠心ではない。彼らが裏切ったのは、俺を王として選んだ竜族全ての絆と優しさだ」
 ヒカルは、玉座の間を出て、全軍が集結する中央広場へと向かった。
 広場に集まった全軍の前で、ヒカルは裏切り者を拘束し、壇上に連れ出した。紅蓮の激情竜姫レヴィア、蒼玉の理性竜姫アクアを筆頭に、六龍姫全員がヒカルの背後に控える。
 ヒカルは、裏切り者たちが聞いていることを見据え、全軍に向けて王の決断を告げた。
「聞け、盟約軍の兵士たちよ! そして、この裏切りを画策したカインよ!」
 ヒカルは、自身の裏切りの過去、一度はリリアを失った悲劇、そして、それでもなお優しさを最強の力とすることを選んだ王の孤独な決意を、全軍に公開した。
「俺の魂は、裏切りの憎悪に満ちていた。だが、俺は、お前たちの愛によって、その憎悪を乗り越えた。それなのに、貴様らは、その優しさと絆を、人間の陰謀に売り渡した!」
 ヒカルは、裏切り者たちに語りかける。
 裏切り者たちは、顔面蒼白となり、壇上で膝をついたまま、震える声で命乞いを始めた。
「お、王よ! お許しください! 命だけは! 家族を養わねばならないのです!」
「どうか、一度の過ちと……! 忠誠を誓い直します! 命を!」
 ユグドラは、その命乞いを冷徹に拒絶した。彼は大剣を地面に突き刺したまま、涙ながらに極刑を求めた。
「王よ! 情けは無用! 彼らの裏切りは、極刑に値します! 命をもって、絆の鉄則を全軍に示してください!」
 ヒカルは、ユグドラの痛みを理解しつつ、王の愛の裁定を下す。
「貴様たちの命は、俺の命ではない。お前たちが裏切ったのは、俺という人間ではなく、貴様らを愛し、信じた竜族の絆だ! 絆を破る者は、王国の存在を根底から否定すると理解しろ!」
 ヒカルは、ユグドラに目を向け、最後の裁定を告げた。
「ユグドラの願いを受け入れよう。これはこれまでの竜の王国の法にも則っている。今回の裏切りは、王国の根幹を揺るがす罪だ。故に、王の愛の裁定は――極刑とする」
 その瞬間、闇の特務機関を率いるヴァルキリアとシェイドが、拘束した裏切り者たちに闇の魔力を込めた刃を振り下ろす。ユグドラもまた、自らの剣を抜き、裏切り者の魂を断つように、闇の執行に加わった。
 裏切り者たちは、断末魔の声を上げることすら許されなかった。絶望の眼、そして中には憎悪の眼を向ける者もいた。だが、等しく刑は執行され、彼等の魔力と肉体は、音もなく闇に包まれ、塵となって消滅した。
 ヒカルは、全軍に向けて、王の鉄則を宣言した。
「全軍、心に刻め! この盟約軍を動かすのは、力でも恐怖でもない。命懸けの優しさと、揺るぎない絆の信頼だ! 絆を破る者は、王の愛の調律から外れ、世界の理から消え去る! これが、新秩序の絆の鉄則だ!」
 全軍は、王の命懸けの覚悟と、裏切りへの冷徹な裁定に震え上がった。ヒカルの「絆の共感者」が捉える全軍の士気メーターは、動揺から一転し、揺るぎない忠誠心という最高の調和を奏でた。
 ◇◆◇◆◇
 裁定が下された直後、純白の調和聖女ルーナ、無垢なる浄化使アウラ、そして旧帝室の血を継ぐ聖女クラリスが、光の魔力と威厳を広場全体に解放した。
「聞け、カインよ! そして、帝国人民よ!」
 聖女クラリスは、旧帝国貴族の間に代々伝わる、神聖なる権威の魔術を発動させる。その神々しい光が、裁定の場を包み込み、映像魔術端末を通じて帝国中枢へと発信された。
「この裁定は、王の激情ではない! 神聖なる裁きです! 盟約軍の王ヒカル様は、裏切りという毒から人類と竜族の絆を護り抜いた! カイン、貴様の謀略は、旧帝国の血脈と信仰によって、もはや正当性を失った!」
 ルーナは、その光の魔力でクラリスの言葉を増幅し、調和の音色を響かせる。
「王の優しさは、弱さではない! 絆を破る者には、王の愛による冷徹な裁定が下る! これが、新秩序の、揺るぎない絆の鉄則の証明です! 王の愛こそ、人類と竜族の唯一の救済です!」
 アウラが、冷静な声で、ルーナの光の言葉を補強する。
「この裁定は、王国の永続的な繁栄を保証する、最も合理的かつ論理的な結論です。我々盟約軍は、王の命を狙い、世界の調和を乱すカインをはじめとした旧帝国勢力の完全な廃絶を、ここに宣言する!」
 ヒカルの「絆の鉄則」の裁定は、神聖な正当性と論理的な必然性を帯びた廃絶宣言として、カインと全世界に向けた、最も効果的な心理的なカウンターとなった。
「アクア、シエル。カインの目的は、あわよくば俺の命を奪うことだろうが、真の目的は時間を稼ぎDSW(対竜特化兵器)の開発を完了させることだと思う。つまり、DSWの脅威を排除しなければ、俺たちのユニゾンは、いつか破綻すると考えているのだが……」
 蒼玉の理性竜姫アクアは、冷静な瞳に決意を宿す。
「王よ。カインのDSWは、竜族の魔力を無効化し、ユニゾンの調和そのものを不協和音へと変える構造を持っています。正面からの突破は、論理的に見て非合理的です……」
「アクア様のおっしゃる通りかと考えます。王のご懸念の通り、カインの真の目的であるDSWに対しての対抗策を我々も得る必要があるでしょう」
 その時、学術顧問エルダー・ソフスが、ルーナと共に司令部に現れた。彼の両脇には、古代の文書と、DSWの設計図の解析結果が記されたクリスタル端末が置かれている。
「王よ。吉報ですぞ。DSWの対抗策が、ようやく見つかりました」
 エルダー・ソフスは、その知恵の重みを込めた声で告げた。
「DSWの防御構造を内部から破壊するためには、単なる二属性のユニゾンでは不十分です。解析の結果、光(ルーナ)+土(テラ)+水(アクア)の三龍ユニゾンが、防御を打ち破るための最低ラインであることが判明しました」
 ヒカルの脳裏で、三属性の竜姫たちの愛の調律が浮かび上がる。
「三元聖盾浄化《トライアド・シールド・ピュリフィケーション》か……。光の調律、土の不動の防御、そして水の理性の安定。三位一体の愛で、憎悪を打ち破るということだな」
「その通りです、王よ。ルーナ様の絶対的な調和(光)、テラ様の揺るぎない献身(土)、そしてアクア様の理性の安定(水)、この三つの愛の和音こそが、DSWという憎悪の結晶を打ち砕く知恵の盾となります。さらに、風の機動性が加われば、四元聖盾浄化《カルテット・シールド・ピュリフィケーション》となり、成功率は飛躍的に向上するでしょう」
 純白の調和聖女ルーナが、ヒカルの手を取り、優しく微笑んだ。
「ヒカル様。私の光は、憎悪と破壊の論理を、愛の調和で上書きします。テラ姉さま、アクア姉さま、そして皆と共に、王の未来を護る盾となりましょう!」
 ヒカルは、六龍姫の愛が、武力だけでなく、知恵と戦略という形で、着実にカインの謀略を上回っていることを確信した。
「よし。これで、カインのDSWという最後の切り札は、もはや脅威ではなくなるだろう。全軍、帝都への最終決戦の準備を整えろ。人類の腐敗を断ち切り、優しさが最強の力であることを証明する時が来た」
 盟約軍は、王の裏切りのトラウマの克服と、内部亀裂の修復、そしてDSWへの対抗策という最高の布石を整え、仇敵カイン率いる帝国残党軍との最終決戦へと向かう。
【第76話へ続く】