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第七十二話:愛憎の克服と武功の証明

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 後方司令部の控え室。最高戦略官アクアの指示でカインの情報網への反撃計画を練っていたシエルと、護衛兼相談役のフレアが二人きりで書類を広げていた。

 その時、爆炎龍将軍フレアの元に、カインから特殊な魔力を帯びた暗号メッセージが届いた。それは、ヒカルの裏切りの過去を突きつける、極めて巧妙な心理戦だった。

『フレア。貴様のレヴィアへの純粋な忠誠心は、あの人間、ヒカル•クライヴによって踏みにじられている。貴様の愛するシエルもまた、王の道具として利用されている。裏切り者であるヒカルに奪われた愛の権利を、貴様の炎で取り戻せ!』

 カインのメッセージは、フレアの最も深く、複雑な感情の核を突いた。レヴィアへの狂信的な愛と、シエルへの理性的な愛、そしてヒカルへの未だ抑えきれない複雑な過去。それらの愛憎の全てが、フレアの心の中で激しい不協和音を奏でる。

 フレアの魔力構成に発生した私的な感情のノイズを、シエルが即座に魔力分析盤で感知した。

「フレア。戦略会議を続行します。貴方の魔力構成に、わずかなノイズが発生していますわ。もしかして王の戦略的資産である貴方の忠誠心を、私的な感情で汚染しようとする、カインの卑劣な心理戦を仕掛けられているのではなくて?」

 シエルの声は、普段の冷静さを装ってはいるが、その心はフレアの揺らぎに激しく動揺していた。彼女は、フレアの魔力の炎が憎悪の方向へと傾きかけていることを、肌で感じていた。

「違う、シエル! 違うんだ……!」

 フレアは、動揺のあまり魔力分析盤を掴んだまま、口ごもる。

「そうだ、カインからだ! 奴が、この魔力ノイズの発生源だ! 奴は、俺のレヴィア様への愛と、お前との愛を否定し、『脆い幻想』だと、再び王を裏切れと誘惑してきた……!」

 シエルの冷徹な瞳に、一瞬、驚愕と屈辱の色が浮かんだ。カインが、二人の最も私的な愛の核心を、情報戦の武器として利用してきたという事実に、彼女の理性は激しく揺さぶられた。

 その瞬間、シエルは冷静な顔をかなぐり捨て、魔力分析盤を放り出した。その手が振り上げられ、パァン!と乾いた音が響く。

「フレア! こんな態度で、まだ揺らぐの!?」

 シエルは静かながらも芯のある声で、フレアに感情的な怒りをぶつけた。

「貴方のレヴィア様への忠誠心、そして私への愛は、その程度の誘惑で裏切られるような、脆い幻想だったのですか!?」

 シエルの瞳は、理性の光ではなく、フレアの裏切りを許さない純粋な情熱を宿していた。

「貴方の愛の対象が誰であろうと、王の命を護るという軍務の論理は、何よりも優先されます。しかし、それは建前です! 私が貴方に求めているのは、私の知性に応える道具としての愛ではない! 貴方の炎の魔力のように、熱く、純粋で、誰にも屈しない武人の誇りです!」

 シエルの理性的な優しさと献身的な愛に、フレアは激しく心を打たれた。彼は、シエルの愛が、ヒカルの論理ではなく、自分自身の純粋な心に向けられていることを理解した。

「貴方の純粋な情熱は、カインの誘惑のような非合理な破壊のために使うべきではありません。それが、私という論理的な愛が導き出した、貴方への最高の献身という愛の形なの。何故それがわからないの!?」

 ちょうどその時、フレアの激情の炎が、裏切りの葛藤によって臨界点を超えたことを感知し、紅蓮の激情竜姫レヴィアが控え室に駆け込んできた。

「おい、フレア! 貴様の魔力が揺らいでいるぞ! 貴様の情熱的な愛は、私という王妃に、そして王に捧げられるべきなのよ! 貴様の忠誠心こそが、私という王妃の愛を、最も純粋なものとするのだ! 貴様は、私の炎の矛であろう!?」

 シエルに続いて、彼が心の底から幸せを願う炎の竜姫レヴィアの激情的な言葉は、フレアの愛のベクトルを再び王国の忠誠へと繋ぎ止めた。


 フレアは、カインの誘惑を拒否し、盟約軍への忠誠心を再確認した。彼の心に燃えるのは、シエルにビンタされたこと、その愛の激情への贖罪と、シエルへの愛を武功で証明したいという情熱的な決意だった。





 さて、控え室の扉の外。

 ヒカルと蒼玉の理性竜姫アクアは、レヴィアが駆け込んだ直後の控え室から漏れる激しい口論と、シエルのビンタの音、そしてレヴィアの叱咤の声を外で聞いていた。

 ヒカルは、扉の外で聞こえるシエルの感情的な叫びを感知し、唇を噛みしめる。

「(王よ。王妃の補佐竜の感情的な暴走は、軍紀を乱します。論理的に看過できません)」

 アクアはそう冷静にヒカルに囁いたが、その瞳は、シエルの論理を超えた激情に、どこか羨望の光を宿していた。

「(静かにしろ、アクア。フレアの憎悪と、シエルの愛。その二つの激しい感情のぶつかり合いこそが、この軍団の士気の燃料となる。今は、王の義務として、彼らの愛の調律を見守るんだ……)」

 ヒカルは、フレアとシエルの愛の修復が、王国の士気に繋がることを理解しつつも、個人的な感情として、彼らのドラマに心を揺さぶられていた。

 控え室の扉が開き、フレアは扉のすぐ外で待機していたヒカルとアクアの姿を捉えた。フレアは二人の前に進み出ると、自身の頬の紅潮を隠すことなく、深く頭を垂れた。

「お、王よ!」
「お、おう、フレア。どうした?」
「私に、 DSW(対竜特化兵器(Dragon Specialized Weapons)部隊への特攻作戦の許可をいただきたい! 私の炎の矛が、王への愛と武人の誇りを証明します!」

 ヒカルは、フレアの頬のわずかな赤みと、その瞳に宿る純粋な激情を察した。カインの心理戦は失敗し、シエルの愛の激情が、フレアの憎悪を士気の燃料へと変換させたことを理解した。

 ヒカルは一歩前に出ると、フレアの炎の視線を真っ直ぐに受け止めた。

「フレア。貴様の忠誠心は理解した。貴様の愛の証明を、王の義務として受け入れよう。しかし、無謀な特攻は許可しない」

 フレアの顔に驚愕の色が浮かぶ。

「王の戦略は、兵の命を消耗することではない。貴様のような優秀な将を、不必要な武功のために失うのは本末転倒だ。貴様の炎は、王国の最も貴重な資産だ」

 ヒカルは冷静に続けた。

「DSW(対竜特化兵器)は、人類技術の粋を集めた兵器だが、必ず論理的な弱点がある。アクアとシエル、そしてエルダー・ソフスの知恵を総動員し、その突破口を開かせる」

 ヒカルは、フレアの肩に手を置き、強い決意を込めて告げた。

「その時こそ、貴様の炎を命じる。貴様は、弱点を突き、敵の核心を焼き尽くす、盟約軍の最初にして最強の『一番槍』を担え。貴様の愛は、王国の勝利のために、最も効率的に使われる。最高の舞台を俺が整えてやる!!」
「私からも一言、フレア。貴様の愛の証明は、もはや王の命令を待つ必要はないわ」

 アクアは冷静ながらも、シエルの情熱に共鳴した理性の光を瞳に宿し、フレアを見つめた。

「貴方の愛は、もはや私情ではない。王の戦略的資産であるシエルの理性が、貴方の情熱を求めたという事実は、貴方の武功が最も合理的な戦略的勝利につながることを意味するわ。迷わず、行きなさい! 貴方の武功が、王への愛の証よ」

 紅蓮の激情竜姫レヴィアは、フレアの頬を優しく撫でた。その目には、怒りや嫉妬ではなく、愛する夫と、その王妃の補佐竜たちへの戦場での武運を祈る、純粋な情熱が宿っていた。

「フレア。我は幼き頃よりお前を兄のように慕い追いかけてきた。そして。今や貴様が私と王に捧げる忠誠心は、我の炎の矛そのものに変わっている。シエルに叩かれたその頬で、王と我への愛と武人の誇りを、存分に証明してこい!」

 フレアは、二人の王妃の愛の言葉に深く頭を垂れた。

「レヴィア様、アクア様……。御意! 私の命を懸けて、王への愛と武人の誇りを証明します!」

 フレアは、レヴィアと共に最前線に立ち、帝国軍の残存部隊との戦闘に身を投じる。炎龍部隊の主力として、彼の情熱的な炎は、DSW魔導砲部隊の防御線を一点突破した。

 シエルは、後方司令部でフレアの献身的な行動を静かに見守っていた。彼女の魔力分析盤は、フレアの武功が盟約軍の士気と戦力に与える論理的なメリットを正確に算出した。

「フレア将軍の武功が勝利の確率を引き上げてくれます。私の予測値を20%上回っています。彼の愛は、非合理でありながらも、最も重要な我が軍の戦略資産なのですから」

 シエルは、冷静な声でヒカルに報告する。しかし、その瞳には、フレアの命懸けの武功を案じる、一人の女の理性的な優しさがうかがえる。

「王よ。フレア将軍は、敵意だけでなく、助けを求めています。彼の愛は、もはやレヴィア様への忠誠心という名の激情だけでなく、私という論理の仮面の下にある愛へと昇華されています。王の愛の調律で、彼の魂を救済してくださいまし」

 ヒカルは、フレアの献身的な行動と、シエルの理性的な愛の告白に、王の義務として応じることを決意する。

「シエル。お前の愛は、フレアの激情を論理で包み込んだ最高の調律だ。俺は、お前たちの愛を、盟約軍の最大の士気の燃料とする。フレアの武功に、俺は必ずや王の義務として報いるだろう!」

【第73話へ続く】



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 後方司令部の控え室。最高戦略官アクアの指示でカインの情報網への反撃計画を練っていたシエルと、護衛兼相談役のフレアが二人きりで書類を広げていた。
 その時、爆炎龍将軍フレアの元に、カインから特殊な魔力を帯びた暗号メッセージが届いた。それは、ヒカルの裏切りの過去を突きつける、極めて巧妙な心理戦だった。
『フレア。貴様のレヴィアへの純粋な忠誠心は、あの人間、ヒカル•クライヴによって踏みにじられている。貴様の愛するシエルもまた、王の道具として利用されている。裏切り者であるヒカルに奪われた愛の権利を、貴様の炎で取り戻せ!』
 カインのメッセージは、フレアの最も深く、複雑な感情の核を突いた。レヴィアへの狂信的な愛と、シエルへの理性的な愛、そしてヒカルへの未だ抑えきれない複雑な過去。それらの愛憎の全てが、フレアの心の中で激しい不協和音を奏でる。
 フレアの魔力構成に発生した私的な感情のノイズを、シエルが即座に魔力分析盤で感知した。
「フレア。戦略会議を続行します。貴方の魔力構成に、わずかなノイズが発生していますわ。もしかして王の戦略的資産である貴方の忠誠心を、私的な感情で汚染しようとする、カインの卑劣な心理戦を仕掛けられているのではなくて?」
 シエルの声は、普段の冷静さを装ってはいるが、その心はフレアの揺らぎに激しく動揺していた。彼女は、フレアの魔力の炎が憎悪の方向へと傾きかけていることを、肌で感じていた。
「違う、シエル! 違うんだ……!」
 フレアは、動揺のあまり魔力分析盤を掴んだまま、口ごもる。
「そうだ、カインからだ! 奴が、この魔力ノイズの発生源だ! 奴は、俺のレヴィア様への愛と、お前との愛を否定し、『脆い幻想』だと、再び王を裏切れと誘惑してきた……!」
 シエルの冷徹な瞳に、一瞬、驚愕と屈辱の色が浮かんだ。カインが、二人の最も私的な愛の核心を、情報戦の武器として利用してきたという事実に、彼女の理性は激しく揺さぶられた。
 その瞬間、シエルは冷静な顔をかなぐり捨て、魔力分析盤を放り出した。その手が振り上げられ、パァン!と乾いた音が響く。
「フレア! こんな態度で、まだ揺らぐの!?」
 シエルは静かながらも芯のある声で、フレアに感情的な怒りをぶつけた。
「貴方のレヴィア様への忠誠心、そして私への愛は、その程度の誘惑で裏切られるような、脆い幻想だったのですか!?」
 シエルの瞳は、理性の光ではなく、フレアの裏切りを許さない純粋な情熱を宿していた。
「貴方の愛の対象が誰であろうと、王の命を護るという軍務の論理は、何よりも優先されます。しかし、それは建前です! 私が貴方に求めているのは、私の知性に応える道具としての愛ではない! 貴方の炎の魔力のように、熱く、純粋で、誰にも屈しない武人の誇りです!」
 シエルの理性的な優しさと献身的な愛に、フレアは激しく心を打たれた。彼は、シエルの愛が、ヒカルの論理ではなく、自分自身の純粋な心に向けられていることを理解した。
「貴方の純粋な情熱は、カインの誘惑のような非合理な破壊のために使うべきではありません。それが、私という論理的な愛が導き出した、貴方への最高の献身という愛の形なの。何故それがわからないの!?」
 ちょうどその時、フレアの激情の炎が、裏切りの葛藤によって臨界点を超えたことを感知し、紅蓮の激情竜姫レヴィアが控え室に駆け込んできた。
「おい、フレア! 貴様の魔力が揺らいでいるぞ! 貴様の情熱的な愛は、私という王妃に、そして王に捧げられるべきなのよ! 貴様の忠誠心こそが、私という王妃の愛を、最も純粋なものとするのだ! 貴様は、私の炎の矛であろう!?」
 シエルに続いて、彼が心の底から幸せを願う炎の竜姫レヴィアの激情的な言葉は、フレアの愛のベクトルを再び王国の忠誠へと繋ぎ止めた。
 フレアは、カインの誘惑を拒否し、盟約軍への忠誠心を再確認した。彼の心に燃えるのは、シエルにビンタされたこと、その愛の激情への贖罪と、シエルへの愛を武功で証明したいという情熱的な決意だった。
 さて、控え室の扉の外。
 ヒカルと蒼玉の理性竜姫アクアは、レヴィアが駆け込んだ直後の控え室から漏れる激しい口論と、シエルのビンタの音、そしてレヴィアの叱咤の声を外で聞いていた。
 ヒカルは、扉の外で聞こえるシエルの感情的な叫びを感知し、唇を噛みしめる。
「(王よ。王妃の補佐竜の感情的な暴走は、軍紀を乱します。論理的に看過できません)」
 アクアはそう冷静にヒカルに囁いたが、その瞳は、シエルの論理を超えた激情に、どこか羨望の光を宿していた。
「(静かにしろ、アクア。フレアの憎悪と、シエルの愛。その二つの激しい感情のぶつかり合いこそが、この軍団の士気の燃料となる。今は、王の義務として、彼らの愛の調律を見守るんだ……)」
 ヒカルは、フレアとシエルの愛の修復が、王国の士気に繋がることを理解しつつも、個人的な感情として、彼らのドラマに心を揺さぶられていた。
 控え室の扉が開き、フレアは扉のすぐ外で待機していたヒカルとアクアの姿を捉えた。フレアは二人の前に進み出ると、自身の頬の紅潮を隠すことなく、深く頭を垂れた。
「お、王よ!」
「お、おう、フレア。どうした?」
「私に、 DSW(対竜特化兵器(Dragon Specialized Weapons)部隊への特攻作戦の許可をいただきたい! 私の炎の矛が、王への愛と武人の誇りを証明します!」
 ヒカルは、フレアの頬のわずかな赤みと、その瞳に宿る純粋な激情を察した。カインの心理戦は失敗し、シエルの愛の激情が、フレアの憎悪を士気の燃料へと変換させたことを理解した。
 ヒカルは一歩前に出ると、フレアの炎の視線を真っ直ぐに受け止めた。
「フレア。貴様の忠誠心は理解した。貴様の愛の証明を、王の義務として受け入れよう。しかし、無謀な特攻は許可しない」
 フレアの顔に驚愕の色が浮かぶ。
「王の戦略は、兵の命を消耗することではない。貴様のような優秀な将を、不必要な武功のために失うのは本末転倒だ。貴様の炎は、王国の最も貴重な資産だ」
 ヒカルは冷静に続けた。
「DSW(対竜特化兵器)は、人類技術の粋を集めた兵器だが、必ず論理的な弱点がある。アクアとシエル、そしてエルダー・ソフスの知恵を総動員し、その突破口を開かせる」
 ヒカルは、フレアの肩に手を置き、強い決意を込めて告げた。
「その時こそ、貴様の炎を命じる。貴様は、弱点を突き、敵の核心を焼き尽くす、盟約軍の最初にして最強の『一番槍』を担え。貴様の愛は、王国の勝利のために、最も効率的に使われる。最高の舞台を俺が整えてやる!!」
「私からも一言、フレア。貴様の愛の証明は、もはや王の命令を待つ必要はないわ」
 アクアは冷静ながらも、シエルの情熱に共鳴した理性の光を瞳に宿し、フレアを見つめた。
「貴方の愛は、もはや私情ではない。王の戦略的資産であるシエルの理性が、貴方の情熱を求めたという事実は、貴方の武功が最も合理的な戦略的勝利につながることを意味するわ。迷わず、行きなさい! 貴方の武功が、王への愛の証よ」
 紅蓮の激情竜姫レヴィアは、フレアの頬を優しく撫でた。その目には、怒りや嫉妬ではなく、愛する夫と、その王妃の補佐竜たちへの戦場での武運を祈る、純粋な情熱が宿っていた。
「フレア。我は幼き頃よりお前を兄のように慕い追いかけてきた。そして。今や貴様が私と王に捧げる忠誠心は、我の炎の矛そのものに変わっている。シエルに叩かれたその頬で、王と我への愛と武人の誇りを、存分に証明してこい!」
 フレアは、二人の王妃の愛の言葉に深く頭を垂れた。
「レヴィア様、アクア様……。御意! 私の命を懸けて、王への愛と武人の誇りを証明します!」
 フレアは、レヴィアと共に最前線に立ち、帝国軍の残存部隊との戦闘に身を投じる。炎龍部隊の主力として、彼の情熱的な炎は、DSW魔導砲部隊の防御線を一点突破した。
 シエルは、後方司令部でフレアの献身的な行動を静かに見守っていた。彼女の魔力分析盤は、フレアの武功が盟約軍の士気と戦力に与える論理的なメリットを正確に算出した。
「フレア将軍の武功が勝利の確率を引き上げてくれます。私の予測値を20%上回っています。彼の愛は、非合理でありながらも、最も重要な我が軍の戦略資産なのですから」
 シエルは、冷静な声でヒカルに報告する。しかし、その瞳には、フレアの命懸けの武功を案じる、一人の女の理性的な優しさがうかがえる。
「王よ。フレア将軍は、敵意だけでなく、助けを求めています。彼の愛は、もはやレヴィア様への忠誠心という名の激情だけでなく、私という論理の仮面の下にある愛へと昇華されています。王の愛の調律で、彼の魂を救済してくださいまし」
 ヒカルは、フレアの献身的な行動と、シエルの理性的な愛の告白に、王の義務として応じることを決意する。
「シエル。お前の愛は、フレアの激情を論理で包み込んだ最高の調律だ。俺は、お前たちの愛を、盟約軍の最大の士気の燃料とする。フレアの武功に、俺は必ずや王の義務として報いるだろう!」
【第73話へ続く】