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何を蒔こうかな?

ー/ー



─午前六時

 ……さて、今日は種を買いに行かなければならない。
 ……そういえば種って、何を蒔けばいいのかな?あの本に書いてあったような気がする……。

『たねまき』

 このページだね。

『みんな、畑の整備は終わったかな?それなら次は、いよいよたねまきの時間じゃ!豊穣祭が終わった頃は、新しく命が芽生える季節、萌季(ほうき)の始まりじゃ!新成人のみんなにはこれくらいの野菜がおすすめかの?
☆まずは基本から!基本の野菜シリーズ
 ・ポジャの根
 ・バキュカ草
 ・ユメツメクサ
 以上の作物を育てることをおすすめするぞい!
 諸君らの活躍を祈っておる!
 P.S さぼっちゃだめよん♡』

 なるほど、よくわかった。
 とりあえずはこのリストの中の三種の作物を育てればいいのか……。
 ……とりあえず種屋さんのところにいこう。


♢


「こんにちは……ジェイクさん……」

「あ、アルくん。こんにちはぁ」

 訪れた雑貨店の奥からのそのそと大きな身体が歩いてきた。

「ふぅー……はいはいこんにちは。そうかそうか、アルくんも新成人だもんねぇ」

「そうなんです。それで……あの、種を買いに来ました」

「うんうん、三種類のね。はいはいどうぞ」

 ジェイクさんは窮屈そうに通路を通ると棚に並べられた種袋を僕に渡してくれた。

「ありがとうジェイクさん」

「ミカちゃんもくるんでしょ?」

「あれ?あの張り切りやさん……まだ来てないの?」

「うんうん、きてないねぇ」

 まさか……。

「くかぁあ……」

 ミカの家に行くと、案の定まだ寝息を立てていた……。

「やっぱり……」

 どうやらこの子は大事な日は張り切りすぎてこうなっちゃうみたいだ……。

「ミカ……ミカ……」

「んぁ……?」

「……今、な~ん時だ?」

 ミカの顔の前に時計を差し出してみた。

「んー……?」

 例のごとく顔が青ざめ、メガネをかけてからもう一度僕が差し出した時計を見る。

「うわぁあぁあ!」

 ……もう見た。

「種まく前に一日が終わっちゃうよー!」

「……村長に言いつけちゃお」

「だめー!!」

「じゃあ僕は帰るから……」

「あれ?!一緒に行こうってことじゃないのー?!」

「……ほら」

 買った種を差し出してみる。

「うぐ……もぅーしょうがないから1人で行くよー……」

 ミカはしぶしぶと引き下がった。
 一足先に種をまかせてもらおう。



─午前十時

「ん、こんなとこかな……」

 小規模ながら畑らしくなった。うん、なんだか仕事したって感じ。

「お~い!」

「ん……?」

 ぶんぶん手を振りながらアミィがやってきた。

「やっほ~!できてるねぇ~畑!」

「ようやく落ち着いたよ……」

「ボクだって負けてないよ~」

 アミィはマントから一本の薬ビンを取り出した。

「じゃっじゃじゃ~ん!」

「……えっと」

「はいこれプレゼント~」

 謎の液体をもらった……。

「これ……なんでしょう……?」

「んふふ~。それはね~」

 そういうとアミィは僕の手から薬ビンを取り突然畑に中身を振りまいた!

「あっ!アミィ……その……なに……してるの……?」

「まぁまぁ~」

 しばらく見ていると畑が急に光り出した。

「え?え……?」

「きたきた……!」

 畑から植物のツルがのびてきた!

「アミィ……これって……!」

「そう!急速成長剤、アミィスペシャルだよっ!」

「アミィ……スペシャル……」

 自分の名前をつけるのは……どうだろうか……。

「でも……すごいね」

「ふっふ~ん!このボクの手にかかれば造作もないのだぁ~!」

 アミィはエッヘンと鼻を高くしてみせた。

「アルくんだけ……特別だよ……?」

「え……?」

「なんでもないっ!じゃあまたねっ!」

 慌ただしくアミィは去っていった。

「アミィ……スペシャルか……これがあれば畑仕事する必要ないんじゃ……?」




─午後五時

 今日もご飯はおうちにないし……レストランに行こう。

「いらっしゃい!」

「こんばんは、プティンさん……」

「あ、アルくん!」

 そこには先程畑で会ったアミィがいた。

「あ、アミィ……さっきはどうも」

「また会っちゃったね~」

 アミィは嬉しそうにはにかむ。

「そうだね」

「まあまあ、隣に来なよ~」

 そう言って彼女は隣の椅子を引きぽんぽんと叩いた。

「じゃあ……」

 僕はそれに促されるまま彼女の隣に座る。

「ねぇねぇ、どうだった?アミィスペシャル!」

 アミィはぐいぐいと感想を求めに来た。

「あれ、すごいね……。毎日使えばそれこそ仕事する必要ないんじゃ……?」

「……だめだよ?」

 真顔で返された……。

「あ……うん……そうだよね。サボることなんて考えちゃ」

「うーん……それもあるんだけど、あれ使うと実は……」

「え……?」

 アミィは急にニコッと笑った。

「……プティンさん!おかわり!」

「……え?なに?」

「ひ・み・つ!」

「……」

「…だからあんまり頼っちゃだめだよ……?」

「……わかった」

 多分アミィは強力すぎる栄養剤を作ってしまったから僕だけに教え、それに依存して欲しくなかったんだろう。……そういうことだと思う……。
 ……でも、どうして僕に教えたんだろ。

「ほら~アルくんも食べよ~」

「……わかった」

 アミィにたくさんご飯を食べさせられて帰った。
 ……おなかいっぱいで眠くなってしまった。明日も早いし…おやすみなさい…。


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─午前六時
 ……さて、今日は種を買いに行かなければならない。
 ……そういえば種って、何を蒔けばいいのかな?あの本に書いてあったような気がする……。
『たねまき』
 このページだね。
『みんな、畑の整備は終わったかな?それなら次は、いよいよたねまきの時間じゃ!豊穣祭が終わった頃は、新しく命が芽生える季節、萌季(ほうき)の始まりじゃ!新成人のみんなにはこれくらいの野菜がおすすめかの?
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 ・ポジャの根
 ・バキュカ草
 ・ユメツメクサ
 以上の作物を育てることをおすすめするぞい!
 諸君らの活躍を祈っておる!
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 なるほど、よくわかった。
 とりあえずはこのリストの中の三種の作物を育てればいいのか……。
 ……とりあえず種屋さんのところにいこう。
♢
「こんにちは……ジェイクさん……」
「あ、アルくん。こんにちはぁ」
 訪れた雑貨店の奥からのそのそと大きな身体が歩いてきた。
「ふぅー……はいはいこんにちは。そうかそうか、アルくんも新成人だもんねぇ」
「そうなんです。それで……あの、種を買いに来ました」
「うんうん、三種類のね。はいはいどうぞ」
 ジェイクさんは窮屈そうに通路を通ると棚に並べられた種袋を僕に渡してくれた。
「ありがとうジェイクさん」
「ミカちゃんもくるんでしょ?」
「あれ?あの張り切りやさん……まだ来てないの?」
「うんうん、きてないねぇ」
 まさか……。
「くかぁあ……」
 ミカの家に行くと、案の定まだ寝息を立てていた……。
「やっぱり……」
 どうやらこの子は大事な日は張り切りすぎてこうなっちゃうみたいだ……。
「ミカ……ミカ……」
「んぁ……?」
「……今、な~ん時だ?」
 ミカの顔の前に時計を差し出してみた。
「んー……?」
 例のごとく顔が青ざめ、メガネをかけてからもう一度僕が差し出した時計を見る。
「うわぁあぁあ!」
 ……もう見た。
「種まく前に一日が終わっちゃうよー!」
「……村長に言いつけちゃお」
「だめー!!」
「じゃあ僕は帰るから……」
「あれ?!一緒に行こうってことじゃないのー?!」
「……ほら」
 買った種を差し出してみる。
「うぐ……もぅーしょうがないから1人で行くよー……」
 ミカはしぶしぶと引き下がった。
 一足先に種をまかせてもらおう。
─午前十時
「ん、こんなとこかな……」
 小規模ながら畑らしくなった。うん、なんだか仕事したって感じ。
「お~い!」
「ん……?」
 ぶんぶん手を振りながらアミィがやってきた。
「やっほ~!できてるねぇ~畑!」
「ようやく落ち着いたよ……」
「ボクだって負けてないよ~」
 アミィはマントから一本の薬ビンを取り出した。
「じゃっじゃじゃ~ん!」
「……えっと」
「はいこれプレゼント~」
 謎の液体をもらった……。
「これ……なんでしょう……?」
「んふふ~。それはね~」
 そういうとアミィは僕の手から薬ビンを取り突然畑に中身を振りまいた!
「あっ!アミィ……その……なに……してるの……?」
「まぁまぁ~」
 しばらく見ていると畑が急に光り出した。
「え?え……?」
「きたきた……!」
 畑から植物のツルがのびてきた!
「アミィ……これって……!」
「そう!急速成長剤、アミィスペシャルだよっ!」
「アミィ……スペシャル……」
 自分の名前をつけるのは……どうだろうか……。
「でも……すごいね」
「ふっふ~ん!このボクの手にかかれば造作もないのだぁ~!」
 アミィはエッヘンと鼻を高くしてみせた。
「アルくんだけ……特別だよ……?」
「え……?」
「なんでもないっ!じゃあまたねっ!」
 慌ただしくアミィは去っていった。
「アミィ……スペシャルか……これがあれば畑仕事する必要ないんじゃ……?」
─午後五時
 今日もご飯はおうちにないし……レストランに行こう。
「いらっしゃい!」
「こんばんは、プティンさん……」
「あ、アルくん!」
 そこには先程畑で会ったアミィがいた。
「あ、アミィ……さっきはどうも」
「また会っちゃったね~」
 アミィは嬉しそうにはにかむ。
「そうだね」
「まあまあ、隣に来なよ~」
 そう言って彼女は隣の椅子を引きぽんぽんと叩いた。
「じゃあ……」
 僕はそれに促されるまま彼女の隣に座る。
「ねぇねぇ、どうだった?アミィスペシャル!」
 アミィはぐいぐいと感想を求めに来た。
「あれ、すごいね……。毎日使えばそれこそ仕事する必要ないんじゃ……?」
「……だめだよ?」
 真顔で返された……。
「あ……うん……そうだよね。サボることなんて考えちゃ」
「うーん……それもあるんだけど、あれ使うと実は……」
「え……?」
 アミィは急にニコッと笑った。
「……プティンさん!おかわり!」
「……え?なに?」
「ひ・み・つ!」
「……」
「…だからあんまり頼っちゃだめだよ……?」
「……わかった」
 多分アミィは強力すぎる栄養剤を作ってしまったから僕だけに教え、それに依存して欲しくなかったんだろう。……そういうことだと思う……。
 ……でも、どうして僕に教えたんだろ。
「ほら~アルくんも食べよ~」
「……わかった」
 アミィにたくさんご飯を食べさせられて帰った。
 ……おなかいっぱいで眠くなってしまった。明日も早いし…おやすみなさい…。