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真実とは─ケイ視点─

ー/ー



 私は生まれたときから、次期社長になることが決まっていた。

 そんなある日、彼に出会った。父上のパーティーに来たリュウは、天使のように可愛らしかった。

 ――なんとしても手に入れたい。今まで欲しいものなんてなかったのに、そう思った。

 彼は自分が呪われていると思っていたが、私は呪いなんてないと思っていた。本人が随分と気にしていたから、気安めになればと思い、お祓いをしただけなのだ。

「社長、手に入れたいのでしょう?」

「いいんだ、私は」

「不幸な選択は、不幸を呼ぶだけですよ」

「……」

「そう言えば、彼の祖父が呪いを受けたと聞きました。彼が結婚しないのは、もしかして本当に呪われているのでは?」

 彼の祖父は女好きが災いして、性病にかかり亡くなっていた。孫に聞かせるわけにいかなかった側仕えが、ぼかして伝えたのだろう。しかし、それがよくなかった。彼は常に何かに怯えるようになってしまった。

 両親が亡くなった時も、彼は呪いだと言って私の話を聞かず、泣き叫んでいた。せめてもの気安めになればと、評判の良い祓い屋を呼んで、私は何度もお祓いをさせていた。

「そんな訳はない。彼が怯えて屋敷から出ないから、何度も頼んだだけなんだ。実際は何もしていないだろう? 彼が不幸を願わない限り、彼に災いが降りかからないようなものなのだから、結局は同じことだ」

「そうでございますか。では、社長。誰も信じられなくなって、自分はこの世で一番不幸だと感じているリュウ様への責任は、いかがなさるのですか?」

 東山は、いつになく嫌みな言い方をして私を煽っていた。言わないと、私が動かないと思っているのだろう。まあ、実際にそういうところもあるから、仕方がないのかもしれない。

「ちゃんと責任はとるよ」

「お願いします」

 私はリュウを黒田家へ迎え入れるために、西園寺家へ向かった。




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 私は生まれたときから、次期社長になることが決まっていた。
 そんなある日、彼に出会った。父上のパーティーに来たリュウは、天使のように可愛らしかった。
 ――なんとしても手に入れたい。今まで欲しいものなんてなかったのに、そう思った。
 彼は自分が呪われていると思っていたが、私は呪いなんてないと思っていた。本人が随分と気にしていたから、気安めになればと思い、お祓いをしただけなのだ。
「社長、手に入れたいのでしょう?」
「いいんだ、私は」
「不幸な選択は、不幸を呼ぶだけですよ」
「……」
「そう言えば、彼の祖父が呪いを受けたと聞きました。彼が結婚しないのは、もしかして本当に呪われているのでは?」
 彼の祖父は女好きが災いして、性病にかかり亡くなっていた。孫に聞かせるわけにいかなかった側仕えが、ぼかして伝えたのだろう。しかし、それがよくなかった。彼は常に何かに怯えるようになってしまった。
 両親が亡くなった時も、彼は呪いだと言って私の話を聞かず、泣き叫んでいた。せめてもの気安めになればと、評判の良い祓い屋を呼んで、私は何度もお祓いをさせていた。
「そんな訳はない。彼が怯えて屋敷から出ないから、何度も頼んだだけなんだ。実際は何もしていないだろう? 彼が不幸を願わない限り、彼に災いが降りかからないようなものなのだから、結局は同じことだ」
「そうでございますか。では、社長。誰も信じられなくなって、自分はこの世で一番不幸だと感じているリュウ様への責任は、いかがなさるのですか?」
 東山は、いつになく嫌みな言い方をして私を煽っていた。言わないと、私が動かないと思っているのだろう。まあ、実際にそういうところもあるから、仕方がないのかもしれない。
「ちゃんと責任はとるよ」
「お願いします」
 私はリュウを黒田家へ迎え入れるために、西園寺家へ向かった。