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第66話 混沌の深淵、アビス・コアの鼓動 -2

ー/ー



地平線を埋め尽くすほどの帝国軍幻晶機が、轟音を立てて進軍してくる。

それは、まるで漆黒の海原がアークライトへと押し寄せるかのようだった。

迎え撃つ自由同盟軍の幻晶機は、数で圧倒的に劣るため、カイトのバハムートとマーリンのオケアノスを要とした連携で、死守の構えを見せていた。

けれども、その防衛線は、すでに限界を迎えようとしていた。


カイトは、バハムートのコックピットから、苦々しげに呟く。

「くそっ…!キリがない…!」

バハムートの放つ大地を揺るがす砲撃は、一度に複数の帝国軍機を粉砕するが、その隙を突いて後続の機体が次々と押し寄せてくる。

マーリンのオケアノスは、水の魔力で巨大な水の壁を形成するが、それも物量に圧倒され、次々と突破されていった。

自由同盟軍の幻晶機は、帝国の猛攻に次々と撃破されていく。

「くそっ…!第五小隊、全滅!」
「第三小隊、通信途絶!」

悲痛な叫びが飛び交う中、セシリアの的確な指揮と、カイトとマーリンの圧倒的な力で、何とか防衛ラインは保たれていた。

しかし、帝国軍の数はこちらを上回っており、次第に自由同盟軍の防衛線は崩壊寸前に追い込まれていく。





「撃て!撃ちまくれ!奴らの装甲を削り取れ!」

自由同盟軍の一般兵士が、魔導砲のコックピットから叫ぶ。

彼の乗るゲイル・タイプ1は、すでに片腕を失い、ボロボロになっていた。

だが、その姿は、まるで自由同盟の幻晶機乗りの誇りを象徴しているかのようだった。

彼の幻晶機に、帝国軍の主力機シリウスが襲いかかる。

隊長の幻晶機は、最後の力を振り絞り、敵機にチェーンソードを突き立てる。それでも、帝国軍の幻晶機は、そのまま隊長の幻晶機を押し潰し、地面に叩きつけた。

「ぐあああああ!」

隊長の幻晶機は、爆炎を上げて墜落する。

「隊長…!隊長…!」

悲痛な叫びが、通信に響く。

「くそっ…!第八小隊、幻晶機大破!」

別の通信からは、悲痛な叫びが聞こえてくる。

「幻晶機の駆動系がやられた!動けない!誰か…誰か助けてくれ!」

その幻晶機は、帝国軍のレギオンに踏み潰され、火花とオイルを撒き散らしながら爆散した。

「もうダメだ…!撤退だ…!」

「撤退だと!?ふざけるな!我々の背後にはアークライトがあるんだぞ!」

兵士たちの間に、恐怖と混乱が広がっていく。

「我が部隊は、この地で朽ちるまで戦う!帝国軍の進軍を、一歩たりとも通すな!」

別の部隊の隊長が叫ぶ。

彼の幻晶機は、すでに片腕を失い、ボロボロになっていた。
しかし、その姿は、まるで自由同盟の幻晶機乗りの誇りを象徴しているかのようだった。

「隊長…!」

その幻晶機に、帝国軍の幻晶機が襲いかかる。隊長の幻晶機は、一瞬にして、鉄塊へと変貌した。


「くそっ…!このままじゃ…!」

カイトは、バハムートのコックピットから、苦々しげに呟く。

バハムートの放つ大地を揺るがす砲撃は、一度に複数の帝国軍機を粉砕するが、その隙を突いて後続の機体が次々と押し寄せてくる。

マーリンのオケアノスは、水の魔力で巨大な水の壁を形成するが、それも物量に圧倒され、次々と突破されていく。

「カイトさん…!オケアノスのバリアがもう持ちません…!」

マーリンの声には、絶望が滲んでいた。











その時、アークライト全体に、激しい振動が走った。

「何だ…!?」

カイトは、驚きと戸惑いを隠せない。

「この魔力…!これは…アビス・コア…!」

マーリンは、顔を青ざめさせた。

アビス・コアの魔力が、世界全体に広がり、帝国軍の兵士たちを覆う。

「う…うああああ…!」

「なんだ…俺は…何を…」















帝国軍の兵士たちは、洗脳が解けたかのように混乱に陥り、次々と攻撃を止めていく。
その瞳には、今まで自分たちがしてきたことへの後悔と、深い絶望が宿っていた。

「洗脳が解けたのか…!」

カイトは、その光景に、驚きを隠せない。







帝国軍は、戦意を喪失し、撤退を始める。

「よし…!追撃は不要だ!」

カイトは、そう叫ぶと、バハムートの魔力を解放し、アークライトの防衛に専念した。

「カイトさん…!」

マーリンは、カイトの背中を見て、安堵の息を漏らした。

アークライト攻防戦は、アビス・コアの復活という、新たな混沌の始まりを告げながら、静かに終結した。






◇◆◇◆◇



アビス・コアが光を失い、その活動を完全に停止した瞬間、ルネアの世界を覆っていた闇の魔力は、まるで呪いが解けるかのように霧散した。

それは、世界中の人々の心に深く根付いていた恐怖と憎しみを、一瞬で洗い流したかのようだった。



アビス本拠地の崩壊した大地。


ユウキは、リアの腕の中で、安堵の息を漏らしていた。

アストレイアのコックピットには、深い静寂が満ちている。

ヴァルハラもまた、その雷光を鎮め、ヴァルキリーはコックピットの中で、静かに目を閉じていた。ノワールは、瓦礫の山に座り込み、空を見上げていた。

「…終わったんだな」

ユウキの呟きに、リアは涙を流しながら、強く頷いた。




遠くアークライトの防衛戦線。

アビス・コアの魔力が消滅した瞬間、ファントムに扇動されていた帝国軍の兵士たちは、洗脳が解けたかのように正気を取り戻した。

彼らは、目の前の光景に、深い後悔と絶望を滲ませていた。



「…俺は…何を…」

兵士たちの混乱を尻目に、カイトとマーリンは、それぞれの伝説機を駆り、負傷した兵士たちの救助に当たっていた。

彼らの瞳には、勝利の喜びだけでなく、多くの命が失われた悲しみが宿っていた。










「セシリア様、お見事でした」

マリアは、アビスを討伐したことを報告した。
そして、通信機越しに、セシリアに敬意を表した。

セシリアは、アークライトの作戦室で、静かに目を閉じていた。

彼女の顔には、勝利の喜びはなかった。弟アレンの仇を討ったという満足感もなかった。

ただ、深い疲労と、そして、多くの命が失われたことへの悲しみだけが、そこに存在していた。

「…マリア少佐。アビスは滅びた。しかし、この戦争が、本当に終わったと、心から言えるでしょうか」



セシリアの言葉に、マリアは静かに頷いた。彼らの戦いは、終わっていない。




この世界の復興という、新たな戦いが、今、始まったのだ。




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次のエピソードへ進む 第67話 新たな旅立ち、そして未来へ


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地平線を埋め尽くすほどの帝国軍幻晶機が、轟音を立てて進軍してくる。
それは、まるで漆黒の海原がアークライトへと押し寄せるかのようだった。
迎え撃つ自由同盟軍の幻晶機は、数で圧倒的に劣るため、カイトのバハムートとマーリンのオケアノスを要とした連携で、死守の構えを見せていた。
けれども、その防衛線は、すでに限界を迎えようとしていた。
カイトは、バハムートのコックピットから、苦々しげに呟く。
「くそっ…!キリがない…!」
バハムートの放つ大地を揺るがす砲撃は、一度に複数の帝国軍機を粉砕するが、その隙を突いて後続の機体が次々と押し寄せてくる。
マーリンのオケアノスは、水の魔力で巨大な水の壁を形成するが、それも物量に圧倒され、次々と突破されていった。
自由同盟軍の幻晶機は、帝国の猛攻に次々と撃破されていく。
「くそっ…!第五小隊、全滅!」
「第三小隊、通信途絶!」
悲痛な叫びが飛び交う中、セシリアの的確な指揮と、カイトとマーリンの圧倒的な力で、何とか防衛ラインは保たれていた。
しかし、帝国軍の数はこちらを上回っており、次第に自由同盟軍の防衛線は崩壊寸前に追い込まれていく。
「撃て!撃ちまくれ!奴らの装甲を削り取れ!」
自由同盟軍の一般兵士が、魔導砲のコックピットから叫ぶ。
彼の乗るゲイル・タイプ1は、すでに片腕を失い、ボロボロになっていた。
だが、その姿は、まるで自由同盟の幻晶機乗りの誇りを象徴しているかのようだった。
彼の幻晶機に、帝国軍の主力機シリウスが襲いかかる。
隊長の幻晶機は、最後の力を振り絞り、敵機にチェーンソードを突き立てる。それでも、帝国軍の幻晶機は、そのまま隊長の幻晶機を押し潰し、地面に叩きつけた。
「ぐあああああ!」
隊長の幻晶機は、爆炎を上げて墜落する。
「隊長…!隊長…!」
悲痛な叫びが、通信に響く。
「くそっ…!第八小隊、幻晶機大破!」
別の通信からは、悲痛な叫びが聞こえてくる。
「幻晶機の駆動系がやられた!動けない!誰か…誰か助けてくれ!」
その幻晶機は、帝国軍のレギオンに踏み潰され、火花とオイルを撒き散らしながら爆散した。
「もうダメだ…!撤退だ…!」
「撤退だと!?ふざけるな!我々の背後にはアークライトがあるんだぞ!」
兵士たちの間に、恐怖と混乱が広がっていく。
「我が部隊は、この地で朽ちるまで戦う!帝国軍の進軍を、一歩たりとも通すな!」
別の部隊の隊長が叫ぶ。
彼の幻晶機は、すでに片腕を失い、ボロボロになっていた。
しかし、その姿は、まるで自由同盟の幻晶機乗りの誇りを象徴しているかのようだった。
「隊長…!」
その幻晶機に、帝国軍の幻晶機が襲いかかる。隊長の幻晶機は、一瞬にして、鉄塊へと変貌した。
「くそっ…!このままじゃ…!」
カイトは、バハムートのコックピットから、苦々しげに呟く。
バハムートの放つ大地を揺るがす砲撃は、一度に複数の帝国軍機を粉砕するが、その隙を突いて後続の機体が次々と押し寄せてくる。
マーリンのオケアノスは、水の魔力で巨大な水の壁を形成するが、それも物量に圧倒され、次々と突破されていく。
「カイトさん…!オケアノスのバリアがもう持ちません…!」
マーリンの声には、絶望が滲んでいた。
その時、アークライト全体に、激しい振動が走った。
「何だ…!?」
カイトは、驚きと戸惑いを隠せない。
「この魔力…!これは…アビス・コア…!」
マーリンは、顔を青ざめさせた。
アビス・コアの魔力が、世界全体に広がり、帝国軍の兵士たちを覆う。
「う…うああああ…!」
「なんだ…俺は…何を…」
帝国軍の兵士たちは、洗脳が解けたかのように混乱に陥り、次々と攻撃を止めていく。
その瞳には、今まで自分たちがしてきたことへの後悔と、深い絶望が宿っていた。
「洗脳が解けたのか…!」
カイトは、その光景に、驚きを隠せない。
帝国軍は、戦意を喪失し、撤退を始める。
「よし…!追撃は不要だ!」
カイトは、そう叫ぶと、バハムートの魔力を解放し、アークライトの防衛に専念した。
「カイトさん…!」
マーリンは、カイトの背中を見て、安堵の息を漏らした。
アークライト攻防戦は、アビス・コアの復活という、新たな混沌の始まりを告げながら、静かに終結した。
◇◆◇◆◇
アビス・コアが光を失い、その活動を完全に停止した瞬間、ルネアの世界を覆っていた闇の魔力は、まるで呪いが解けるかのように霧散した。
それは、世界中の人々の心に深く根付いていた恐怖と憎しみを、一瞬で洗い流したかのようだった。
アビス本拠地の崩壊した大地。
ユウキは、リアの腕の中で、安堵の息を漏らしていた。
アストレイアのコックピットには、深い静寂が満ちている。
ヴァルハラもまた、その雷光を鎮め、ヴァルキリーはコックピットの中で、静かに目を閉じていた。ノワールは、瓦礫の山に座り込み、空を見上げていた。
「…終わったんだな」
ユウキの呟きに、リアは涙を流しながら、強く頷いた。
遠くアークライトの防衛戦線。
アビス・コアの魔力が消滅した瞬間、ファントムに扇動されていた帝国軍の兵士たちは、洗脳が解けたかのように正気を取り戻した。
彼らは、目の前の光景に、深い後悔と絶望を滲ませていた。
「…俺は…何を…」
兵士たちの混乱を尻目に、カイトとマーリンは、それぞれの伝説機を駆り、負傷した兵士たちの救助に当たっていた。
彼らの瞳には、勝利の喜びだけでなく、多くの命が失われた悲しみが宿っていた。
「セシリア様、お見事でした」
マリアは、アビスを討伐したことを報告した。
そして、通信機越しに、セシリアに敬意を表した。
セシリアは、アークライトの作戦室で、静かに目を閉じていた。
彼女の顔には、勝利の喜びはなかった。弟アレンの仇を討ったという満足感もなかった。
ただ、深い疲労と、そして、多くの命が失われたことへの悲しみだけが、そこに存在していた。
「…マリア少佐。アビスは滅びた。しかし、この戦争が、本当に終わったと、心から言えるでしょうか」
セシリアの言葉に、マリアは静かに頷いた。彼らの戦いは、終わっていない。
この世界の復興という、新たな戦いが、今、始まったのだ。