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第41話 ジェイの犠牲とヴァルキリーの再来 -2

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ジェイのリベラ・タイプ1は、クロノス・タイプXの群れへと突っ込んでいく。彼のチェーンソードが唸りを上げ、クロノス・タイプXの一体の脚部を破壊する。

しかし、その一撃は、クロノスの強固な装甲を深くは切り裂けなかった。別の三体が、ジェイの機体を取り囲んだ。

「くそっ、数が多すぎる……!」

クロノス・タイプXの放つ闇の光弾が、ジェイのリベラ・タイプ1に命中する。装甲が溶け、機体各所から火花が散る。

「うおぉぉぉぉぉ!」

ジェイは最後の力を振り絞り、クロノス・タイプXの一体の胴体を両断した。

「ジェイ!後ろ!二体同時に来るわ!」

ルナの悲痛な叫びが、無線から響く。ジェイは、その声に反応して、リベラ・タイプ1のブースターを全開にする。

だが、クロノス・タイプXの動きは、人間が操縦する幻晶機を遥かに上回っていた。一体がチェーンソードの死角から回り込み、もう一体がジェイの機体の左腕を掴んだ。

「ちくしょう……!離せよ、この野郎!」

ジェイは、リベラの左腕の駆動系に魔力を集中させ、強引に引きちぎる。

しかしながら、その隙を逃さず、別のクロノス・タイプXが、ジェイの機体の頭部に鋭い爪を突き立てた。コックピットの窓がミシミシと音を立て、亀裂が走る。







ヴァルキリーが率いる帝国軍の猛攻は、山岳地帯の自由同盟防衛ラインを徐々に押し込んでいた。

地の利を活かし、少数精鋭で敵の物量を食い止めようとする自由同盟軍だったが、クロノス・タイプXの圧倒的な性能と、無慈悲な攻撃の前に、各部隊の戦線は次々と崩壊していく。

「くそっ、キリがねぇ! 何体倒しゃ気が済むんだ、こいつら!」

ジェイのリベラ・タイプ1は、すでに満身創痍だった。

右腕のチェーンソードは刃こぼれし、装甲は各所が剥がれ落ち、内部の駆動系が剥き出しになっている。被弾の度に火花が散り、コックピット内ではけたたましい警告音が鳴り響いている。

彼の通信からは、ルナの緊迫した声が響いていた。

「ジェイ! 左舷からクロノス・タイプXが4機! 連携して攻撃を仕掛けてきます! 絶対に突破させないで!」

「わかってる! だが、俺一人でどうにかできる数じゃねぇだろ!」

ジェイが叫ぶ。

彼の眼前には、異形な黒い幻晶機が、まるで感情のない死神のように迫ってきていた。
その動きは、無駄を徹底的に排除した、効率的な殺戮マシーンそのものだ。

「ソフィア! ルナの機体が危ない! 援護を頼む!」

ジェイは、自分の限界を悟りながらも、ルナとエリナのゲイルを守るため、必死にクロノス・タイプXの群れに食らいついていた。
とはいえ、彼の機体はもはや、クロノスの俊敏な動きについていけない。





その時、ジェイのコックピットのメインモニターに、ソフィアの顔が映し出された。彼女の顔は、いつもの冷静さを失い、悲痛な表情を浮かべている。

「ジェイ! 無茶をしないで! ジェイの機体は、もう限界よ! これ以上は…!」

「ソフィア…! 俺は…俺は、お前を、ルナを、みんなを守るんだ! 俺がやらなきゃ、誰がやるんだよ!」

ジェイの叫びは、ソフィアの心を深く抉った。彼の無謀な行動が、自分たちを守るためであること。その事実に、ソフィアは胸が締め付けられる思いだった。

「馬鹿…! 馬鹿だよ、ジェイ…!」

ソフィアの悲痛な叫びが響く。彼女の瞳は、涙で潤んでいた。

彼女の手は、冷静にスナイパーライフルを操作し、ジェイの背後から迫るクロノス・タイプXの弱点を正確に狙撃していた。

「ジェイ! あと50秒! 50秒持ちこたえて!  ディオンと、ユウキたちが駆けつけてくれる!」

ルナの声が、ジェイの耳に届く。

「50秒…か。へっ、楽勝だぜ、ルナ! 俺は、お前との約束をまだ果たしてねぇからな!」

ジェイはニヤリと笑い、リベラ・タイプ1のブースターを最大出力にする。機体が轟音を上げて加速し、クロノス・タイプXの群れの中に飛び込んでいく。



「ヒャッハー! 来やがれ! 俺のチェーンソードは、まだお前ら全員をミンチにできるんだぜ!」

ジェイは、軽口を叩きながらも、その瞳は真剣そのものだった。彼は、自分の命と引き換えに、仲間たちの時間を稼ごうとしていた。

クロノス・タイプXの群れが、一斉にジェイに襲いかかる。
その異形な爪や牙、そして歪んだ魔力の光線が、ジェイのリベラに次々と叩きつけられる。

「くっ……!」

ジェイは、必死に攻撃を躱すが、その動きは鈍い。
クロノス・タイプXの群れは、まるで一匹の巨大な獣のように、ジェイの機体を追い詰めていく。

「あと、30秒! ジェイ! 持ちこたえて!」

ルナが叫ぶ。その声は、もはや悲鳴に近かった。

「大丈夫だ…! 俺は…俺は…! ルナとの、約束が…!」

ジェイの叫びが、ルナの心を深く揺さぶった。

その時、ジェイの機体の頭部装甲が、クロノス・タイプXの一撃によって砕け散る。

「ぐぅっ……!」

コックピット内に、衝撃が走る。ジェイの視界が、一瞬、真っ赤に染まった。

「あと、10秒!」

ルナの叫びが、遠い幻聴のように聞こえる。

「……ルナ……ごめんな…約束、守れそうにない…」

ジェイは、そう呟くと、リベラの自爆スイッチに手をかけた。

「ジェイ! 何をする気なの!」

ルナが悲鳴を上げる。

「ルナ……幸せになれよ……! そして、ユウキ…! みんなのこと、頼んだぜ…!」




ジェイの叫びが、通信を通してユウキたちの耳に届く。ルナは、モニターに映るジェイの顔を見て、彼の覚悟を悟り、悲痛な叫びを上げた。










「ジェイ…! やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」













ユウキは、ジェイの言葉に、ハッと顔を上げた。

「ジェイさん! やめてください!」

ユウキの叫びが、ジェイの耳に届くことはなかった。

ジェイは、ニヤリと笑い、自爆スイッチを叩く。リベラの炉心が、急速に臨界に達していく。

「みんな見てろよ! これが…俺の最後の花火だぜぇぇぇぇ!」








ジェイの機体、リベラ・タイプ1の炉心から、爆発的なエネルギーが放出され、その周囲の空間が、一瞬で白い光に包まれる。

光は瞬く間に膨張し、クロノス・タイプXの群れを飲み込んでいく。

轟音は大地を揺るがし、山々を震わせた。























































光が収まった後、そこには巨大なクレーターと、黒煙を上げる幻晶機の残骸だけが残されていた。

ルナは、その光景をただ呆然と見つめていた。

ジェイの機体があった場所には、もう何も残っていない。モニターに映る通信は、すでに途絶えている。彼女の瞳から、大粒の涙がとめどなく溢れ出した。

「…うそ…うそ…だ…」

ソフィアも、コックピットの中で、ただ静かに泣いていた。

彼女の手に握られたスナイパーライフルが、重く感じられた。彼女は、ジェイに何も返せなかった後悔に、胸を締め付けられていた。




ユウキのコックピットにも、ジェイの最期の通信が響き渡っていた。


彼は、通信が途絶えたことに、ハッとした。
そして、目の前に広がる爆炎を見て、ジェイの覚悟を悟る。

彼の心に、深い絶望と、激しい怒りがこみ上げてきた。
その怒りは、クロノス・タイプXに向けられたものではない。ジェイを死なせた、この非情な戦場に向けられたものだ。

ほんのタッチの差で、彼はジェイを救えなかった。

その悔しさと無力感が、ユウキの心を深く抉っていた。






みんなのリアクション

ジェイのリベラ・タイプ1は、クロノス・タイプXの群れへと突っ込んでいく。彼のチェーンソードが唸りを上げ、クロノス・タイプXの一体の脚部を破壊する。
しかし、その一撃は、クロノスの強固な装甲を深くは切り裂けなかった。別の三体が、ジェイの機体を取り囲んだ。
「くそっ、数が多すぎる……!」
クロノス・タイプXの放つ闇の光弾が、ジェイのリベラ・タイプ1に命中する。装甲が溶け、機体各所から火花が散る。
「うおぉぉぉぉぉ!」
ジェイは最後の力を振り絞り、クロノス・タイプXの一体の胴体を両断した。
「ジェイ!後ろ!二体同時に来るわ!」
ルナの悲痛な叫びが、無線から響く。ジェイは、その声に反応して、リベラ・タイプ1のブースターを全開にする。
だが、クロノス・タイプXの動きは、人間が操縦する幻晶機を遥かに上回っていた。一体がチェーンソードの死角から回り込み、もう一体がジェイの機体の左腕を掴んだ。
「ちくしょう……!離せよ、この野郎!」
ジェイは、リベラの左腕の駆動系に魔力を集中させ、強引に引きちぎる。
しかしながら、その隙を逃さず、別のクロノス・タイプXが、ジェイの機体の頭部に鋭い爪を突き立てた。コックピットの窓がミシミシと音を立て、亀裂が走る。
ヴァルキリーが率いる帝国軍の猛攻は、山岳地帯の自由同盟防衛ラインを徐々に押し込んでいた。
地の利を活かし、少数精鋭で敵の物量を食い止めようとする自由同盟軍だったが、クロノス・タイプXの圧倒的な性能と、無慈悲な攻撃の前に、各部隊の戦線は次々と崩壊していく。
「くそっ、キリがねぇ! 何体倒しゃ気が済むんだ、こいつら!」
ジェイのリベラ・タイプ1は、すでに満身創痍だった。
右腕のチェーンソードは刃こぼれし、装甲は各所が剥がれ落ち、内部の駆動系が剥き出しになっている。被弾の度に火花が散り、コックピット内ではけたたましい警告音が鳴り響いている。
彼の通信からは、ルナの緊迫した声が響いていた。
「ジェイ! 左舷からクロノス・タイプXが4機! 連携して攻撃を仕掛けてきます! 絶対に突破させないで!」
「わかってる! だが、俺一人でどうにかできる数じゃねぇだろ!」
ジェイが叫ぶ。
彼の眼前には、異形な黒い幻晶機が、まるで感情のない死神のように迫ってきていた。
その動きは、無駄を徹底的に排除した、効率的な殺戮マシーンそのものだ。
「ソフィア! ルナの機体が危ない! 援護を頼む!」
ジェイは、自分の限界を悟りながらも、ルナとエリナのゲイルを守るため、必死にクロノス・タイプXの群れに食らいついていた。
とはいえ、彼の機体はもはや、クロノスの俊敏な動きについていけない。
その時、ジェイのコックピットのメインモニターに、ソフィアの顔が映し出された。彼女の顔は、いつもの冷静さを失い、悲痛な表情を浮かべている。
「ジェイ! 無茶をしないで! ジェイの機体は、もう限界よ! これ以上は…!」
「ソフィア…! 俺は…俺は、お前を、ルナを、みんなを守るんだ! 俺がやらなきゃ、誰がやるんだよ!」
ジェイの叫びは、ソフィアの心を深く抉った。彼の無謀な行動が、自分たちを守るためであること。その事実に、ソフィアは胸が締め付けられる思いだった。
「馬鹿…! 馬鹿だよ、ジェイ…!」
ソフィアの悲痛な叫びが響く。彼女の瞳は、涙で潤んでいた。
彼女の手は、冷静にスナイパーライフルを操作し、ジェイの背後から迫るクロノス・タイプXの弱点を正確に狙撃していた。
「ジェイ! あと50秒! 50秒持ちこたえて!  ディオンと、ユウキたちが駆けつけてくれる!」
ルナの声が、ジェイの耳に届く。
「50秒…か。へっ、楽勝だぜ、ルナ! 俺は、お前との約束をまだ果たしてねぇからな!」
ジェイはニヤリと笑い、リベラ・タイプ1のブースターを最大出力にする。機体が轟音を上げて加速し、クロノス・タイプXの群れの中に飛び込んでいく。
「ヒャッハー! 来やがれ! 俺のチェーンソードは、まだお前ら全員をミンチにできるんだぜ!」
ジェイは、軽口を叩きながらも、その瞳は真剣そのものだった。彼は、自分の命と引き換えに、仲間たちの時間を稼ごうとしていた。
クロノス・タイプXの群れが、一斉にジェイに襲いかかる。
その異形な爪や牙、そして歪んだ魔力の光線が、ジェイのリベラに次々と叩きつけられる。
「くっ……!」
ジェイは、必死に攻撃を躱すが、その動きは鈍い。
クロノス・タイプXの群れは、まるで一匹の巨大な獣のように、ジェイの機体を追い詰めていく。
「あと、30秒! ジェイ! 持ちこたえて!」
ルナが叫ぶ。その声は、もはや悲鳴に近かった。
「大丈夫だ…! 俺は…俺は…! ルナとの、約束が…!」
ジェイの叫びが、ルナの心を深く揺さぶった。
その時、ジェイの機体の頭部装甲が、クロノス・タイプXの一撃によって砕け散る。
「ぐぅっ……!」
コックピット内に、衝撃が走る。ジェイの視界が、一瞬、真っ赤に染まった。
「あと、10秒!」
ルナの叫びが、遠い幻聴のように聞こえる。
「……ルナ……ごめんな…約束、守れそうにない…」
ジェイは、そう呟くと、リベラの自爆スイッチに手をかけた。
「ジェイ! 何をする気なの!」
ルナが悲鳴を上げる。
「ルナ……幸せになれよ……! そして、ユウキ…! みんなのこと、頼んだぜ…!」
ジェイの叫びが、通信を通してユウキたちの耳に届く。ルナは、モニターに映るジェイの顔を見て、彼の覚悟を悟り、悲痛な叫びを上げた。
「ジェイ…! やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ユウキは、ジェイの言葉に、ハッと顔を上げた。
「ジェイさん! やめてください!」
ユウキの叫びが、ジェイの耳に届くことはなかった。
ジェイは、ニヤリと笑い、自爆スイッチを叩く。リベラの炉心が、急速に臨界に達していく。
「みんな見てろよ! これが…俺の最後の花火だぜぇぇぇぇ!」
ジェイの機体、リベラ・タイプ1の炉心から、爆発的なエネルギーが放出され、その周囲の空間が、一瞬で白い光に包まれる。
光は瞬く間に膨張し、クロノス・タイプXの群れを飲み込んでいく。
轟音は大地を揺るがし、山々を震わせた。
光が収まった後、そこには巨大なクレーターと、黒煙を上げる幻晶機の残骸だけが残されていた。
ルナは、その光景をただ呆然と見つめていた。
ジェイの機体があった場所には、もう何も残っていない。モニターに映る通信は、すでに途絶えている。彼女の瞳から、大粒の涙がとめどなく溢れ出した。
「…うそ…うそ…だ…」
ソフィアも、コックピットの中で、ただ静かに泣いていた。
彼女の手に握られたスナイパーライフルが、重く感じられた。彼女は、ジェイに何も返せなかった後悔に、胸を締め付けられていた。
ユウキのコックピットにも、ジェイの最期の通信が響き渡っていた。
彼は、通信が途絶えたことに、ハッとした。
そして、目の前に広がる爆炎を見て、ジェイの覚悟を悟る。
彼の心に、深い絶望と、激しい怒りがこみ上げてきた。
その怒りは、クロノス・タイプXに向けられたものではない。ジェイを死なせた、この非情な戦場に向けられたものだ。
ほんのタッチの差で、彼はジェイを救えなかった。
その悔しさと無力感が、ユウキの心を深く抉っていた。