第39話 戦火の爪痕と新たな決意 -3
ー/ーその翌朝、竜騎士中隊のメンバーは、マリア少佐の執務室に招集された。
ユウキ、リア、ザラ、ジェイ、ルナ、ソフィア、そしてディオン。全員の顔に、疲労と緊張が滲んでいた。
「皆を集めたのは、重要な情報を共有するためだ」
マリアの言葉に、部屋の空気が一瞬で張り詰める。マリアは、正面の大型スクリーンに、情報部から提供された報告書を映し出した。
「先日、我々が交戦した謎の機体について、鹵獲した残骸の解析が完了した。結果、機体名は『クロノス・タイプM』と判明した」
マリアはそう言って、別の画像をスクリーンに映し出す。それは、先日の戦闘で撃破された幻晶機の残骸を、分析官たちが詳細に調べている写真だった。
「そして、驚くべきことに……この機体には、パイロットが搭乗していなかった。すべて、自動で制御されていたんだ」
ディオンが、唸るように呟く。その言葉に、ユウキたちの間に動揺が走る。
「無人機……!?」
ルナが信じられないといった顔でマリアに問いかける。彼女が知る限り、無人幻晶機はまだ研究段階にある技術だ。実用化は夢物語とされていたはずだった。
ユウキもまた、驚きを隠せない。
彼は、ゲームにも無人機は存在したが、その動きは常に定型的で、パターン化されていた。
しかし、先日交戦したクロノス・タイプMの動きは、人間が操縦しているかのように柔軟だった。
「パイロットが乗っていなかった……そんなはずは……」
ジェイが信じられないといった顔で首を振る。
「おい、冗談だろ?無人機なんて、ろくに動かせねぇはずだ。臨機応変な対応ができねぇから、防衛とか、定型的な任務にしか使われねぇって、養成学校でも習っただろ!」
ジェイの言葉は、ルナやソフィアといった、幻晶機に関する知識を持つ者たちの常識だった。
ソフィアが冷静に、しかしその声に驚きを滲ませて、ユウキの疑問に答えるように言葉を続けた。
「その通りです、ジェイ。無人幻晶機は、高度な演算能力を持つ魔導炉を搭載したとしても、人間のような複雑な思考や、瞬時の状況判断は不可能とされていました。ましてや、クロノス・タイプMのように、我々の連携を読んで、まるで感情を持たないかのように無駄のない動きをするなんて……考えられません。これは、我々が知る『無人機』の定義を覆す存在です」
ユウキは、クロノス・タイプMの動きが、自分のゲーム感覚と似ていることに気づいていた。無駄な動きがなく、ただ勝利のために最善の一手を打つ。それは、まるで、自分の思考をそのまま具現化したかのようだった。
しかし、自分には、リアというパートナーがいる。そして、その判断の根底には、仲間を守りたいという感情があった。クロノス・タイプMには、それがなかった。
「ヴァルキリー帝国領内でも、同様の無人機が目撃されている。魔獣の異常な凶暴化、そして兵士たちの精神汚染。これらの情報が、信頼できる筋から複数もたらされている。魔導反応のデータと照合した結果、先日我々が交戦した『クロノス・タイプM』と同じ、歪んだマナの波長が検出された」
ソフィアが冷静に頷いた。
「この精神汚染の症状は、ヴァルキリー帝国で伝承される『闇の呪詛』のそれに似ています。幻覚や悪夢、そして狂気。これらは、闇の魔力によって引き起こされる現象です」
「闇の呪詛……!やはり、奴らの仕業だったのか……!」
ジェイが憤怒の表情で拳を握りしめた。彼の脳裏には、無力に散っていった友軍、そして無惨に破壊された幻晶機の姿が蘇っていた。
「情報部は、断片的な情報と不審な魔導反応を幾度も照合し、一つの仮説にたどり着いた。これらの事象は、何者かによって意図的に引き起こされている可能性が極めて高いと。そして、彼らの目的は、ヴァルキリー帝国と自由同盟の対立をさらに激化させ、その混乱に乗じて、各国の伝説機に宿る『コアの力』を吸収することだと、強く推測している」
マリアの言葉に、ユウキは息を呑んだ。
にわかには信じがたい、あまりにも突拍子もない話だったからだ。
「マリア少佐、まさか……本気で、そんなことがありうると?」
ジェイが信じられないといった顔で声を上げた。
「そんな話、これまで聞いたこともねぇぞ!俺たちを騙すための、帝国の罠じゃねぇのか!?」
「私も、にわかには信じられません……。しかし、先日交戦したクロノス・タイプMのデータは、その仮説を補強するものです」
ルナが冷静に、しかし戸惑いを隠せない様子で言葉を続けた。
その言葉に、ソフィアも頷く。
「クロノス・タイプMの動きは、確かに無人機としてはありえない。そして、その歪んだマナの波長は、ヴァルキリー帝国の技術体系とは明らかに異なる。何者かが、この戦争の裏で、意図的に混乱を引き起こしている……そう考えれば、これまでの不審な事象の全てに説明がつく」
ユウキは、口を開き、会議室にいる全員を見回した。
「皆さん、俺には、この世界に来てから、グレイ・シャドーという謎の商人と会っているんです。彼は、その度に『コアの力』について、そして『世界を滅ぼすほどの究極の力』が完成しようとしていると、意味深な言葉を残していきました」
リアもまた、ユウキの言葉を補足するように語りだす。
「私も、グレイ・シャドーという人物が、マリア少佐の元を訪れたと、エリナ隊長から聞きました。そして、谷を襲った魔竜の動きも、通常の魔獣とは違って、誰かに操られているかのように統率がとれていました」
ユウキとリアの言葉に、竜騎士中隊の面々は、ざわめきを抑えきれなかった。
「グレイ・シャドー……あの胡散臭い男が、そんなことを……!」
ジェイが驚きの声を上げた。
「ユウキ殿とリア殿の話、そして情報部の分析結果……。これらが全て一致する。もはや、偶然とは言えないだろう」
ディオンが重々しい口調で呟いた。彼の表情は、にわかには信じがたい話を受け入れようとしている、苦渋に満ちたものだった。
マリアは、全員の反応を静かに見守っていた。
「情報部がこの仮説にたどり着くまでに、幾度も、そして慎重に、情報を照合した。我々が知る限り、この仮説は、最も不審な事象の全てに説明がつく。だからこそ、我々は、この仮説を強く推測し、この見えない敵を、今後の作戦における最大の脅威として認識する」
マリアの言葉は、彼らの心に確かな結論をもたらした。
「そんな……。俺たちは、奴らの思惑通りに、ずっと戦わされていたってことなのか……!」
ユウキの悔しさに満ちた声が、司令室に響いた。
リアもまた、その事実に顔を青ざめさせ、唇を噛み締めていた。
その重苦しい空気の中、会議室の一角に設置された通信端末が光を放った。
応答したのはマリアだった。
画面に映し出されたのは、見慣れた谷の長老、ジーナ・アルティスの顔だった。
「マリア少佐、聞こえるかの?」
ジーナ長老の声は、遠いながらも明瞭に響いた。
「ジーナ長老、ご無事で何よりです。この度は、ご心配をおかけしました。部族連合からの返答はいかがでしょうか?」
マリアは、通信の向こうのジーナ長老に問いかけた。
ジーナ長老は、ゆっくりと頷いた。
「うむ。自由同盟からの正式な要請、しかと受け取った。竜骨山脈の部族連合は、ヴァルキリー帝国との対決を決定する。我らも、この世界に忍び寄る闇の気配を感じ取っておる。これ以上、傍観しているわけにはいかぬ」
その言葉に、司令室に集まった竜騎士中隊のメンバーの間に、ざわめきが広がった。
「本当に…!部族連合が…!」
リアが、驚きと喜びの声を上げた。ユウキも、故郷の仲間たちが加わることに安堵の表情を見せた。
ジーナ長老は、ユウキとリアの姿を画面越しに捉え、優しく微笑んだ。
「ユウキ、リア。お前たちの故郷の仲間たちが、共闘体制を築く。部族連合の幻晶機は、約20機と少数ではある。しかし、我々の持つ独自の魔導技術と、山岳地帯での戦闘ノウハウ、そして、伝説機バハムートの存在が、必ずや力となろう」
マリアやエリナは、部族連合の持つ戦力の質を評価し、この知らせを朗報として受け止めた。
ヴァルキリー帝国との消耗戦が続く自由同盟にとって、新たな勢力の加勢は士気向上にも繋がる。
ユウキとリアも、故郷の仲間たちが加わることに安堵と喜びを感じた。
「長老、ありがとうございます!これで、私たちも、もっと強く戦えます!」
リアが、通信の向こうのジーナ長老に深々と頭を下げた。ユウキも、その隣で深く頷く。
「はい、長老。俺たち、頑張ります」
ジーナ長老は、満足げに微笑んだ。
「うむ。期待しておるぞ、若き竜の守護者たちよ。この世界の未来は、お前たちの手にかかっておる」
通信が途絶え、マリアは静かに端末を置いた。
「これで、我々の戦力は増強される。しかし、見えない敵の脅威は、依然として大きい。我々は、この新たな共闘体制を最大限に活かし、この戦いを終わらせなければならない」
マリアの言葉に、司令室にいる全員が、改めて気を引き締めた。
この吉報は、深まる闇の中、一筋の光のように、竜騎士中隊の心に希望を灯した。しかし、見えない敵の影は、確実に彼らの世界に忍び寄っており、物語は、より複雑な局面へと進んでいくのだった。
時を同じくして、自由同盟の情報部から、新たな情報がもたらされる。
「マリア少佐!ヴァルキリー帝国軍が、かつてない規模の大攻勢を準備している模様です!この方面へ、主力部隊の投入が確実視されています!」
マリアとエリナは、顔を見合わせた。
「やはり、来るか……」
両勢力の対立は、今、頂点に達しようとしていた。
「全幻晶機部隊に、最高レベルの警戒態勢を敷け。そして、アストレイアの修理を最優先に。次の戦いが、この戦争の行方を左右する」
マリアの言葉に、竜騎士中隊の面々は、固く拳を握りしめた。
見えない敵、そしてヴァルキリーという新たな葛藤。
彼らの戦いは、これから、さらに苛烈さを増していくのだった。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
その翌朝、竜騎士中隊のメンバーは、マリア少佐の執務室に招集された。
ユウキ、リア、ザラ、ジェイ、ルナ、ソフィア、そしてディオン。全員の顔に、疲労と緊張が滲んでいた。
「皆を集めたのは、重要な情報を共有するためだ」
マリアの言葉に、部屋の空気が一瞬で張り詰める。マリアは、正面の大型スクリーンに、情報部から提供された報告書を映し出した。
「先日、我々が交戦した謎の機体について、鹵獲した残骸の解析が完了した。結果、機体名は『クロノス・タイプM』と判明した」
マリアはそう言って、別の画像をスクリーンに映し出す。それは、先日の戦闘で撃破された幻晶機の残骸を、分析官たちが詳細に調べている写真だった。
「そして、驚くべきことに……この機体には、パイロットが搭乗していなかった。すべて、自動で制御されていたんだ」
ディオンが、唸るように呟く。その言葉に、ユウキたちの間に動揺が走る。
「無人機……!?」
ルナが信じられないといった顔でマリアに問いかける。彼女が知る限り、無人幻晶機はまだ研究段階にある技術だ。実用化は夢物語とされていたはずだった。
ユウキもまた、驚きを隠せない。
彼は、ゲームにも無人機は存在したが、その動きは常に定型的で、パターン化されていた。
しかし、先日交戦したクロノス・タイプMの動きは、人間が操縦しているかのように柔軟だった。
「パイロットが乗っていなかった……そんなはずは……」
ジェイが信じられないといった顔で首を振る。
「おい、冗談だろ?無人機なんて、ろくに動かせねぇはずだ。臨機応変な対応ができねぇから、防衛とか、定型的な任務にしか使われねぇって、養成学校でも習っただろ!」
ジェイの言葉は、ルナやソフィアといった、幻晶機に関する知識を持つ者たちの常識だった。
ソフィアが冷静に、しかしその声に驚きを滲ませて、ユウキの疑問に答えるように言葉を続けた。
「その通りです、ジェイ。無人幻晶機は、高度な演算能力を持つ魔導炉を搭載したとしても、人間のような複雑な思考や、瞬時の状況判断は不可能とされていました。ましてや、クロノス・タイプMのように、我々の連携を読んで、まるで感情を持たないかのように無駄のない動きをするなんて……考えられません。これは、我々が知る『無人機』の定義を覆す存在です」
ユウキは、クロノス・タイプMの動きが、自分のゲーム感覚と似ていることに気づいていた。無駄な動きがなく、ただ勝利のために最善の一手を打つ。それは、まるで、自分の思考をそのまま具現化したかのようだった。
しかし、自分には、リアというパートナーがいる。そして、その判断の根底には、仲間を守りたいという感情があった。クロノス・タイプMには、それがなかった。
「ヴァルキリー帝国領内でも、同様の無人機が目撃されている。魔獣の異常な凶暴化、そして兵士たちの精神汚染。これらの情報が、信頼できる筋から複数もたらされている。魔導反応のデータと照合した結果、先日我々が交戦した『クロノス・タイプM』と同じ、歪んだマナの波長が検出された」
ソフィアが冷静に頷いた。
「この精神汚染の症状は、ヴァルキリー帝国で伝承される『闇の呪詛』のそれに似ています。幻覚や悪夢、そして狂気。これらは、闇の魔力によって引き起こされる現象です」
「闇の呪詛……!やはり、奴らの仕業だったのか……!」
ジェイが憤怒の表情で拳を握りしめた。彼の脳裏には、無力に散っていった友軍、そして無惨に破壊された幻晶機の姿が蘇っていた。
「情報部は、断片的な情報と不審な魔導反応を幾度も照合し、一つの仮説にたどり着いた。これらの事象は、何者かによって意図的に引き起こされている可能性が極めて高いと。そして、彼らの目的は、ヴァルキリー帝国と自由同盟の対立をさらに激化させ、その混乱に乗じて、各国の伝説機に宿る『コアの力』を吸収することだと、強く推測している」
マリアの言葉に、ユウキは息を呑んだ。
にわかには信じがたい、あまりにも突拍子もない話だったからだ。
「マリア少佐、まさか……本気で、そんなことがありうると?」
ジェイが信じられないといった顔で声を上げた。
「そんな話、これまで聞いたこともねぇぞ!俺たちを騙すための、帝国の罠じゃねぇのか!?」
「私も、にわかには信じられません……。しかし、先日交戦したクロノス・タイプMのデータは、その仮説を補強するものです」
ルナが冷静に、しかし戸惑いを隠せない様子で言葉を続けた。
その言葉に、ソフィアも頷く。
「クロノス・タイプMの動きは、確かに無人機としてはありえない。そして、その歪んだマナの波長は、ヴァルキリー帝国の技術体系とは明らかに異なる。何者かが、この戦争の裏で、意図的に混乱を引き起こしている……そう考えれば、これまでの不審な事象の全てに説明がつく」
ユウキは、口を開き、会議室にいる全員を見回した。
「皆さん、俺には、この世界に来てから、グレイ・シャドーという謎の商人と会っているんです。彼は、その度に『コアの力』について、そして『世界を滅ぼすほどの究極の力』が完成しようとしていると、意味深な言葉を残していきました」
リアもまた、ユウキの言葉を補足するように語りだす。
「私も、グレイ・シャドーという人物が、マリア少佐の元を訪れたと、エリナ隊長から聞きました。そして、谷を襲った魔竜の動きも、通常の魔獣とは違って、誰かに操られているかのように統率がとれていました」
ユウキとリアの言葉に、竜騎士中隊の面々は、ざわめきを抑えきれなかった。
「グレイ・シャドー……あの胡散臭い男が、そんなことを……!」
ジェイが驚きの声を上げた。
「ユウキ殿とリア殿の話、そして情報部の分析結果……。これらが全て一致する。もはや、偶然とは言えないだろう」
ディオンが重々しい口調で呟いた。彼の表情は、にわかには信じがたい話を受け入れようとしている、苦渋に満ちたものだった。
マリアは、全員の反応を静かに見守っていた。
「情報部がこの仮説にたどり着くまでに、幾度も、そして慎重に、情報を照合した。我々が知る限り、この仮説は、最も不審な事象の全てに説明がつく。だからこそ、我々は、この仮説を強く推測し、この見えない敵を、今後の作戦における最大の脅威として認識する」
マリアの言葉は、彼らの心に確かな結論をもたらした。
「そんな……。俺たちは、奴らの思惑通りに、ずっと戦わされていたってことなのか……!」
ユウキの悔しさに満ちた声が、司令室に響いた。
リアもまた、その事実に顔を青ざめさせ、唇を噛み締めていた。
その重苦しい空気の中、会議室の一角に設置された通信端末が光を放った。
応答したのはマリアだった。
画面に映し出されたのは、見慣れた谷の長老、ジーナ・アルティスの顔だった。
「マリア少佐、聞こえるかの?」
ジーナ長老の声は、遠いながらも明瞭に響いた。
「ジーナ長老、ご無事で何よりです。この度は、ご心配をおかけしました。部族連合からの返答はいかがでしょうか?」
マリアは、通信の向こうのジーナ長老に問いかけた。
ジーナ長老は、ゆっくりと頷いた。
「うむ。自由同盟からの正式な要請、しかと受け取った。竜骨山脈の部族連合は、ヴァルキリー帝国との対決を決定する。我らも、この世界に忍び寄る闇の気配を感じ取っておる。これ以上、傍観しているわけにはいかぬ」
その言葉に、司令室に集まった竜騎士中隊のメンバーの間に、ざわめきが広がった。
「本当に…!部族連合が…!」
リアが、驚きと喜びの声を上げた。ユウキも、故郷の仲間たちが加わることに安堵の表情を見せた。
ジーナ長老は、ユウキとリアの姿を画面越しに捉え、優しく微笑んだ。
「ユウキ、リア。お前たちの故郷の仲間たちが、共闘体制を築く。部族連合の幻晶機は、約20機と少数ではある。しかし、我々の持つ独自の魔導技術と、山岳地帯での戦闘ノウハウ、そして、伝説機バハムートの存在が、必ずや力となろう」
マリアやエリナは、部族連合の持つ戦力の質を評価し、この知らせを朗報として受け止めた。
ヴァルキリー帝国との消耗戦が続く自由同盟にとって、新たな勢力の加勢は士気向上にも繋がる。
ユウキとリアも、故郷の仲間たちが加わることに安堵と喜びを感じた。
「長老、ありがとうございます!これで、私たちも、もっと強く戦えます!」
リアが、通信の向こうのジーナ長老に深々と頭を下げた。ユウキも、その隣で深く頷く。
「はい、長老。俺たち、頑張ります」
ジーナ長老は、満足げに微笑んだ。
「うむ。期待しておるぞ、若き竜の守護者たちよ。この世界の未来は、お前たちの手にかかっておる」
通信が途絶え、マリアは静かに端末を置いた。
「これで、我々の戦力は増強される。しかし、見えない敵の脅威は、依然として大きい。我々は、この新たな共闘体制を最大限に活かし、この戦いを終わらせなければならない」
マリアの言葉に、司令室にいる全員が、改めて気を引き締めた。
この吉報は、深まる闇の中、一筋の光のように、竜騎士中隊の心に希望を灯した。しかし、見えない敵の影は、確実に彼らの世界に忍び寄っており、物語は、より複雑な局面へと進んでいくのだった。
時を同じくして、自由同盟の情報部から、新たな情報がもたらされる。
「マリア少佐!ヴァルキリー帝国軍が、かつてない規模の大攻勢を準備している模様です!この方面へ、主力部隊の投入が確実視されています!」
マリアとエリナは、顔を見合わせた。
「やはり、来るか……」
両勢力の対立は、今、頂点に達しようとしていた。
「全幻晶機部隊に、最高レベルの警戒態勢を敷け。そして、アストレイアの修理を最優先に。次の戦いが、この戦争の行方を左右する」
マリアの言葉に、竜騎士中隊の面々は、固く拳を握りしめた。
見えない敵、そしてヴァルキリーという新たな葛藤。
彼らの戦いは、これから、さらに苛烈さを増していくのだった。