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第29話 激化する戦線とジェイの苦悩 -3

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作戦開始から一週間が経過していた。この間、自由同盟とヴァルキリー帝国は、互いに幻晶機を投入し、地上部隊や飛空艇も巻き込んだ激しい戦いを繰り広げていた。

一週間にわたる激戦と情報部の分析により、お互いの兵力投入状況と損害が詳細に把握されてきた。

自由同盟は総兵力約800機のうち、この戦線には約300機を投入。対するヴァルキリー帝国は総兵力約2500機を誇るが、他の戦線や勢力とのバランスを考慮し、この方面には約450機を投入していた。

両軍ともに甚大な被害を出し、自由同盟はすでに投入機体のうち約100機が失われ、あるいは行動不能となっていた。帝国側も、約150機以上の幻晶機が戦線を離脱しているという報告が上がっていた。

竜騎士中隊もこの一週間の激戦の中で、何度も前線に出ていた。

彼らの機体も疲弊し、特にジェイのリベラは度重なる出撃で満身創痍となり、一度後方へと戻っていたばかりだ。

しかし、前線の状況は悪化の一途を辿り、彼らは再び最前線への投入を命じられた。

眼下に広がるのは、まさに激戦の痕跡そのものだった。

大地は砲撃で抉られ、無数の幻晶機の残骸が黒煙を上げて横たわる。空は硝煙で霞み、遠くからは絶え間なく砲撃の轟音、幻晶機のエンジン音、そして兵士たちの叫び声が入り混じって響いてくる。

「ユウキ!リア!行くぞ!」

エリナの声が響く。彼女のゲイルも、一週間の戦いを物語るように、装甲には無数の傷跡が刻まれていた。

アストレイアは、その純白の巨体を輝かせながら、戦場の中心へと舞い降りた。ユウキは操縦桿を握りしめ、リアと共に、敵機へと向かっていく。

「ユウキ、前方、敵機多数!シリウス・シリーズとレギオン・シリーズの混成部隊よ!」

リアが的確に情報を伝える。

ユウキはアストレイアの圧倒的な性能と、ディオンとの訓練で培った技術、そして自身のゲーム感覚を活かして、帝国軍の幻晶機を次々と無力化していく。

彼の戦闘スタイルは、敵パイロットを殺さず、機体の腕や脚を破壊して活動不能に追い込むというもので、その効率性と精密さに味方も驚きを隠せない。

「やるじゃねぇか、ユウキ!俺も続けさせてもらうぜ!」

ジェイのリベラが、アストレイアの側面を駆け抜ける。彼のチェーンソードが唸りを上げ、敵機を切り裂いていく。



◇◆◇◆◇



戦場の混乱に乗じて、謎の黒い幻晶機、『見えない敵』の新型幻晶機クロノス・シリーズ(タイプM)が複数体投入された。

全身が漆黒で、異形な存在感を放つそれらの機体は、帝国の幻晶機とは異なる異質な動きと、闇の魔力を用いた攻撃で、自由同盟軍を蹂躙していく。

「ユウキ!あれを見て!あの黒い機体……!」

リアが驚愕の声を上げた。

メインモニターに映し出されたクロノス・タイプMの姿に、ユウキは既視感を覚えた。

「こ、これは……谷で見た魔竜の動きに似てる……!それに、あの歪んだマナの波動……!」

ユウキは、クロノス・タイプMの動きが魔竜に似ていることに気づき、その存在をより強く意識し始める。彼らの攻撃は、自由同盟の幻晶機を容易く撃破し、戦況は再び悪化の一途を辿る。

「くそっ!あいつら、普通の幻晶機とは違うぞ!帝国の新型か!?」

ジェイが叫ぶ。彼のチェーンソードがクロノス・タイプMの装甲に弾かれ、火花を散らす。

エリナのゲイルのコックピットから、ルナが焦った声で報告する。

「隊長!あの黒い幻晶機、帝国のデータにはない新型です!動きも、マナの波長も……異常よ!まるで、感情がないみたいに、ただひたすら攻撃を仕掛けてくる!」

ソフィアも冷静ながらも、その声に緊張を滲ませた。

「私も同感です。帝国の機体にしては、あまりにも異質すぎる。通常の幻晶機とは異なる構造、そして、このマナの波長……。これは、単なる新型兵器ではないのかもしれない」

竜騎士中隊も苦戦を強いられるが、ジェイ、エリナ、ルナ、ソフィア、ディオンといったベテランパイロットたちが連携し、中隊の危機を乗り越えようと奮戦する。

「各機、連携を密にしろ!あの黒い幻晶機は、単体で動いているわけじゃない!必ず、動きのパターンがあるはずだ!予測して、先読みした攻撃を仕掛けろ!」

エリナの指示が飛ぶ。彼女のゲイルは、ルナの的確な索敵情報に基づき、防衛線を構築していた。左腕に構えられた大盾が、クロノス・タイプMの突進を鋼鉄の壁のように受け止める。

「ルナ!次の攻撃パターンは!?」
「隊長!敵機、右腕にマナ集中!高出力の魔力光線が来ます!」

ルナの声が響くと同時に、エリナはゲイルをわずかに傾け、光線を盾で受け止める。盾がミシミシと音を立て、亀裂が走る。

ジェイのリベラは、クロノス・タイプMの群れの中に切り込んだ。彼のチェーンソードが唸りを上げ、黒い機体の装甲に何度も叩きつけられるが、硬質な金属音を立てて弾かれるばかりだ。

「硬ぇな、この野郎!どこが弱点なんだ!?」

クロノス・タイプMは、ジェイの猛攻をものともせず、その異形な腕から闇の魔力を凝縮した光弾を放つ。ジェイは必死に回避するが、その動きは以前よりも鈍い。

「ユウキ!ジェイ!連携だ!クロノスの動きを止めろ!」

ディオンの声が響く。

ユウキはアストレイアを駆り、ジェイのリベラと共に、一体のクロノス・タイプMを挟み撃ちにした。

アストレイアの魔導剣がクロノスの側面を掠め、ジェイのチェーンソードがその反対側から切りかかる。

クロノスは二機の同時攻撃にわずかに体勢を崩し、弾き飛ばされる。

「今だ、ソフィア!関節部を狙え!」

エリナが叫んだ。

ソフィアの支援機は、後方から高精度なスナイパーライフルで、弾き飛ばされたクロノス・タイプMの弱点である関節部を狙撃した。彼女の放つ魔力弾は、黒い機体の関節部に正確に命中し、火花を散らす。

「よし!ディオン!再生させるな!最大火力で焼き払え!」

ルナが叫んだ。

ディオンの砲撃機は、その巨体から放たれる最大出力の重砲撃を、狙撃されたクロノス・タイプMへと浴びせた。轟音と共に大地が揺れ、巨大な爆炎が黒い機体を飲み込む。

爆炎の中から再び姿を現そうとするクロノス・タイプMだが、ディオンの最大火力によって、その再生能力は完全に阻害され、機体はついに沈黙した。

「やったか!?」

ジェイが息を呑んだ。

「まだだ!別のクロノスが来る!」

リアが叫ぶ。

ユウキとリアのアストレイアは、クロノス・タイプMの異質な動きに翻弄されていた。彼らは、敵機を無力化しようと試みるが、クロノス・タイプMは、まるで感情を持たない機械のように、ただひたすら攻撃を仕掛けてくる。

「ユウキ!敵機、こちらの動きを完全に読んでるみたい!まるで、私たちの思考を先読みしているかのように……!」

リアの声には、恐怖が滲んでいた。


アストレイアの魔導剣が、クロノス・タイプMの装甲に火花を散らすが、その刃は深くまで届かない。

ユウキは、この敵には「殺さずに無力化する」という彼の戦い方が通用しないのではないかという、新たな絶望を感じ始めていた。






みんなのリアクション

作戦開始から一週間が経過していた。この間、自由同盟とヴァルキリー帝国は、互いに幻晶機を投入し、地上部隊や飛空艇も巻き込んだ激しい戦いを繰り広げていた。
一週間にわたる激戦と情報部の分析により、お互いの兵力投入状況と損害が詳細に把握されてきた。
自由同盟は総兵力約800機のうち、この戦線には約300機を投入。対するヴァルキリー帝国は総兵力約2500機を誇るが、他の戦線や勢力とのバランスを考慮し、この方面には約450機を投入していた。
両軍ともに甚大な被害を出し、自由同盟はすでに投入機体のうち約100機が失われ、あるいは行動不能となっていた。帝国側も、約150機以上の幻晶機が戦線を離脱しているという報告が上がっていた。
竜騎士中隊もこの一週間の激戦の中で、何度も前線に出ていた。
彼らの機体も疲弊し、特にジェイのリベラは度重なる出撃で満身創痍となり、一度後方へと戻っていたばかりだ。
しかし、前線の状況は悪化の一途を辿り、彼らは再び最前線への投入を命じられた。
眼下に広がるのは、まさに激戦の痕跡そのものだった。
大地は砲撃で抉られ、無数の幻晶機の残骸が黒煙を上げて横たわる。空は硝煙で霞み、遠くからは絶え間なく砲撃の轟音、幻晶機のエンジン音、そして兵士たちの叫び声が入り混じって響いてくる。
「ユウキ!リア!行くぞ!」
エリナの声が響く。彼女のゲイルも、一週間の戦いを物語るように、装甲には無数の傷跡が刻まれていた。
アストレイアは、その純白の巨体を輝かせながら、戦場の中心へと舞い降りた。ユウキは操縦桿を握りしめ、リアと共に、敵機へと向かっていく。
「ユウキ、前方、敵機多数!シリウス・シリーズとレギオン・シリーズの混成部隊よ!」
リアが的確に情報を伝える。
ユウキはアストレイアの圧倒的な性能と、ディオンとの訓練で培った技術、そして自身のゲーム感覚を活かして、帝国軍の幻晶機を次々と無力化していく。
彼の戦闘スタイルは、敵パイロットを殺さず、機体の腕や脚を破壊して活動不能に追い込むというもので、その効率性と精密さに味方も驚きを隠せない。
「やるじゃねぇか、ユウキ!俺も続けさせてもらうぜ!」
ジェイのリベラが、アストレイアの側面を駆け抜ける。彼のチェーンソードが唸りを上げ、敵機を切り裂いていく。
◇◆◇◆◇
戦場の混乱に乗じて、謎の黒い幻晶機、『見えない敵』の新型幻晶機クロノス・シリーズ(タイプM)が複数体投入された。
全身が漆黒で、異形な存在感を放つそれらの機体は、帝国の幻晶機とは異なる異質な動きと、闇の魔力を用いた攻撃で、自由同盟軍を蹂躙していく。
「ユウキ!あれを見て!あの黒い機体……!」
リアが驚愕の声を上げた。
メインモニターに映し出されたクロノス・タイプMの姿に、ユウキは既視感を覚えた。
「こ、これは……谷で見た魔竜の動きに似てる……!それに、あの歪んだマナの波動……!」
ユウキは、クロノス・タイプMの動きが魔竜に似ていることに気づき、その存在をより強く意識し始める。彼らの攻撃は、自由同盟の幻晶機を容易く撃破し、戦況は再び悪化の一途を辿る。
「くそっ!あいつら、普通の幻晶機とは違うぞ!帝国の新型か!?」
ジェイが叫ぶ。彼のチェーンソードがクロノス・タイプMの装甲に弾かれ、火花を散らす。
エリナのゲイルのコックピットから、ルナが焦った声で報告する。
「隊長!あの黒い幻晶機、帝国のデータにはない新型です!動きも、マナの波長も……異常よ!まるで、感情がないみたいに、ただひたすら攻撃を仕掛けてくる!」
ソフィアも冷静ながらも、その声に緊張を滲ませた。
「私も同感です。帝国の機体にしては、あまりにも異質すぎる。通常の幻晶機とは異なる構造、そして、このマナの波長……。これは、単なる新型兵器ではないのかもしれない」
竜騎士中隊も苦戦を強いられるが、ジェイ、エリナ、ルナ、ソフィア、ディオンといったベテランパイロットたちが連携し、中隊の危機を乗り越えようと奮戦する。
「各機、連携を密にしろ!あの黒い幻晶機は、単体で動いているわけじゃない!必ず、動きのパターンがあるはずだ!予測して、先読みした攻撃を仕掛けろ!」
エリナの指示が飛ぶ。彼女のゲイルは、ルナの的確な索敵情報に基づき、防衛線を構築していた。左腕に構えられた大盾が、クロノス・タイプMの突進を鋼鉄の壁のように受け止める。
「ルナ!次の攻撃パターンは!?」
「隊長!敵機、右腕にマナ集中!高出力の魔力光線が来ます!」
ルナの声が響くと同時に、エリナはゲイルをわずかに傾け、光線を盾で受け止める。盾がミシミシと音を立て、亀裂が走る。
ジェイのリベラは、クロノス・タイプMの群れの中に切り込んだ。彼のチェーンソードが唸りを上げ、黒い機体の装甲に何度も叩きつけられるが、硬質な金属音を立てて弾かれるばかりだ。
「硬ぇな、この野郎!どこが弱点なんだ!?」
クロノス・タイプMは、ジェイの猛攻をものともせず、その異形な腕から闇の魔力を凝縮した光弾を放つ。ジェイは必死に回避するが、その動きは以前よりも鈍い。
「ユウキ!ジェイ!連携だ!クロノスの動きを止めろ!」
ディオンの声が響く。
ユウキはアストレイアを駆り、ジェイのリベラと共に、一体のクロノス・タイプMを挟み撃ちにした。
アストレイアの魔導剣がクロノスの側面を掠め、ジェイのチェーンソードがその反対側から切りかかる。
クロノスは二機の同時攻撃にわずかに体勢を崩し、弾き飛ばされる。
「今だ、ソフィア!関節部を狙え!」
エリナが叫んだ。
ソフィアの支援機は、後方から高精度なスナイパーライフルで、弾き飛ばされたクロノス・タイプMの弱点である関節部を狙撃した。彼女の放つ魔力弾は、黒い機体の関節部に正確に命中し、火花を散らす。
「よし!ディオン!再生させるな!最大火力で焼き払え!」
ルナが叫んだ。
ディオンの砲撃機は、その巨体から放たれる最大出力の重砲撃を、狙撃されたクロノス・タイプMへと浴びせた。轟音と共に大地が揺れ、巨大な爆炎が黒い機体を飲み込む。
爆炎の中から再び姿を現そうとするクロノス・タイプMだが、ディオンの最大火力によって、その再生能力は完全に阻害され、機体はついに沈黙した。
「やったか!?」
ジェイが息を呑んだ。
「まだだ!別のクロノスが来る!」
リアが叫ぶ。
ユウキとリアのアストレイアは、クロノス・タイプMの異質な動きに翻弄されていた。彼らは、敵機を無力化しようと試みるが、クロノス・タイプMは、まるで感情を持たない機械のように、ただひたすら攻撃を仕掛けてくる。
「ユウキ!敵機、こちらの動きを完全に読んでるみたい!まるで、私たちの思考を先読みしているかのように……!」
リアの声には、恐怖が滲んでいた。
アストレイアの魔導剣が、クロノス・タイプMの装甲に火花を散らすが、その刃は深くまで届かない。
ユウキは、この敵には「殺さずに無力化する」という彼の戦い方が通用しないのではないかという、新たな絶望を感じ始めていた。