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第16話 ヴァルキリーとの対峙 -3

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絶体絶命のユウキを救うべく、竜騎士中隊の面々がヴァルキリーと、その背後に控える帝国軍の幻晶機群に猛攻を仕掛けた。

彼らは、ヴァルキリーの圧倒的な力を前にしても、決して怯むことなく、連携して敵を食い止めようとする。

「ユウキ!俺たちが援護する!下がって、体勢を立て直せ!」

ジェイのリベラが、ヴァルキリーの側面から高速で突撃し、チェーンソードを叩きつける。ヴァルキリーはそれを冷静に受け止めるが、その一瞬の隙をエリナは見逃さなかった。

「ルナ!ディオン!ソフィア!集中攻撃!」

エリナのゲイルが重砲撃を放ち、ディオンの砲撃機も広範囲を巻き込む支援砲撃を加える。

その砲撃は、ヴァルキリーだけでなく、彼女を取り囲む帝国軍のシリウス・シリーズやレギオン・シリーズにも降り注ぎ、敵の動きを一時的に鈍らせた。

「敵機、右肩部の装甲が薄い!雷撃のチャージに僅かな隙がある!」

ソフィアの支援機が、ヴァルキリーの機体情報を解析し、ユウキに弱点を伝える。彼女は、他の帝国軍機からの攻撃を巧みに回避しながら、ヴァルキリーの死角を狙って高精度な狙撃を放つ。

その一撃は、ヴァルキリーのシャドウ・ヴァルキリーの右肩部を掠め、わずかな火花を散らした。



竜騎士中隊の決死の連携と、満身創痍ながらも奮起するアストレイアの猛攻により、ヴァルキリーのシャドウ・ヴァルキリーはわずかに後退を余儀なくされる。

彼女は一瞬、眉をひそめ、アストレイアと竜騎士中隊の連携に冷静な視線を向けた。

「…ほう。予想以上の連携か。この程度の戦力で、これほどの反撃を見せるとはな」

ヴァルキリーの通信が、再びユウキのコックピットに届く。その声には、先ほどの冷徹さに加え、わずかな評価の色が混じっていた。

彼女は、周囲の帝国軍機が竜騎士中隊の奮戦によって足止めされ、これ以上の深追いは無益だと判断した。

「だが、今回の目的は達成した。伝説の機竜アストレイアの起動、そしてそのパイロットの能力。これ以上、無益な損害を出す必要はない」

ヴァルキリーはそう告げると、配下の帝国軍機に撤退命令を出した。

「全機、撤退。これ以上の追撃は無用だ」

彼女の言葉と共に、帝国軍の幻晶機は一斉に戦場から離脱を開始する。ヴァルキリー自身も、シャドウ・ヴァルキリーを翻し、雷光を纏いながら空の彼方へと消えていった。

「…今回は、ここまでか。だが、次はないぞ、召喚者」

ヴァルキリーの声が、戦場に響き渡る。その言葉には、冷徹さの中に、わずかな驚きが混じっていた。

なんとかヴァルキリーを退けたものの、ユウキはヴァルキリーの強さと、自身の無力さを痛感する。彼の心には、新たな強敵の存在が深く刻まれた。





◇◆◇◆◇



戦闘後、拠点に帰還したエリナは、通信を介して、自由都市アークライトにいるマリア・シュヴァルツ総指揮官に戦況を報告した。

エリナは、今回のヴァルキリー帝国軍の侵攻の規模と、アストレイアの予想外の活躍、そしてユウキのスカウトの経緯について詳細に説明した。

彼女は

「ユウキは、魔竜との戦いでは驚くべき適応力を見せました。人相手の戦いにはまだ戸惑いがあるようですが、彼の潜在能力は計り知れません」

と報告し、ユウキを正式な竜騎士中隊のパイロットとして認めるよう進言した。


今回の侵攻は、ヴァルキリー帝国が自由同盟の拠点が帝国領内に侵攻したと誤認し、その報復として仕掛けてきたものだった。

この誤解が、両勢力間の緊張をさらに高めることになる。マリアは困惑しつつも、この背後に潜む、まだ見えない何かの存在に気づき始める。

マリアはエリナの報告を受け、ユウキとアストレイアを正式に竜騎士中隊の一員として迎え入れ、より本格的な訓練と、今後の戦略会議への参加を命じる。

こうして、ユウキたちはルネアの戦争の渦中に本格的に巻き込まれていくのだった。









ヴァルキリー帝国軍との激戦を終え、竜騎士中隊は疲労困憊のまま、自由同盟の前線拠点へと帰還した。基地の格納庫には、損傷した幻晶機が運び込まれ、整備班が慌ただしく動き回っている。

あちこちで火花が散り、金属の焦げ付く匂いが充満していた。負傷した兵士たちが担架で運ばれていく姿も見える。戦争の生々しい現実が、改めてユウキの心を締め付けた。

アストレイアもまた、ヴァルキリーの猛攻によって深刻なダメージを負っており、その純白の装甲には痛々しい亀裂が走っていた。

「くそっ…アストレイアまでこんなに…」

ユウキは、格納庫の隅で横たわるアストレイアを見上げ、自らの無力さに唇を噛んだ。ヴァルキリーの圧倒的な強さ、そしてその冷徹なまでの戦闘スタイルが、彼の脳裏に焼き付いている。人との戦いの厳しさを、彼は改めて痛感していた。


数時間後、拠点の中枢司令室。

重苦しい空気が支配するその空間で、デブリーフィングが始まった。

マリア少佐が席に着き、その筆頭に、エリナ、ルナ、ジェイ、ソフィア、ディオン、そしてユウキ、リア、ザラといった竜騎士中隊の主要メンバーが顔を揃えていた。疲労と緊張が入り混じり、誰もが言葉少なだった。

「今回の敵の侵攻は、これまでの国境紛争とは明らかに異質だった」

マリアが静かに口火を切った。彼女の知的な眼差しが、参加者一人ひとりの顔をゆっくりと見て回る。

エリナが立ち上がり、戦況報告を始めた。

「はい、総指揮官。敵は当初約30機。対する我々は、竜騎士中隊の5機と守備隊の数機、合計約10機。絶望的な戦力差でした。しかし、アストレイアの投入により、戦況は一変。ユウキ殿とリア殿の連携により、短時間で7機の敵機を無力化することに成功しました」

エリナは、モニターに映し出された戦果のデータを指し示す。

「だが、ヴァルキリー帝国のエース、ヴァルキリーのシャドウ・ヴァルキリーは別格でした。彼女の雷撃はアストレイアのバリアを貫通し、ユウキ殿は窮地に陥りました。竜騎士中隊の援護がなければ、アストレイアは…」

エリナは言葉を濁したが、その意味するところは明らかだった。




次のエピソードへ進む 第17話 ヴァルキリーとの対峙 -4


みんなのリアクション

絶体絶命のユウキを救うべく、竜騎士中隊の面々がヴァルキリーと、その背後に控える帝国軍の幻晶機群に猛攻を仕掛けた。
彼らは、ヴァルキリーの圧倒的な力を前にしても、決して怯むことなく、連携して敵を食い止めようとする。
「ユウキ!俺たちが援護する!下がって、体勢を立て直せ!」
ジェイのリベラが、ヴァルキリーの側面から高速で突撃し、チェーンソードを叩きつける。ヴァルキリーはそれを冷静に受け止めるが、その一瞬の隙をエリナは見逃さなかった。
「ルナ!ディオン!ソフィア!集中攻撃!」
エリナのゲイルが重砲撃を放ち、ディオンの砲撃機も広範囲を巻き込む支援砲撃を加える。
その砲撃は、ヴァルキリーだけでなく、彼女を取り囲む帝国軍のシリウス・シリーズやレギオン・シリーズにも降り注ぎ、敵の動きを一時的に鈍らせた。
「敵機、右肩部の装甲が薄い!雷撃のチャージに僅かな隙がある!」
ソフィアの支援機が、ヴァルキリーの機体情報を解析し、ユウキに弱点を伝える。彼女は、他の帝国軍機からの攻撃を巧みに回避しながら、ヴァルキリーの死角を狙って高精度な狙撃を放つ。
その一撃は、ヴァルキリーのシャドウ・ヴァルキリーの右肩部を掠め、わずかな火花を散らした。
竜騎士中隊の決死の連携と、満身創痍ながらも奮起するアストレイアの猛攻により、ヴァルキリーのシャドウ・ヴァルキリーはわずかに後退を余儀なくされる。
彼女は一瞬、眉をひそめ、アストレイアと竜騎士中隊の連携に冷静な視線を向けた。
「…ほう。予想以上の連携か。この程度の戦力で、これほどの反撃を見せるとはな」
ヴァルキリーの通信が、再びユウキのコックピットに届く。その声には、先ほどの冷徹さに加え、わずかな評価の色が混じっていた。
彼女は、周囲の帝国軍機が竜騎士中隊の奮戦によって足止めされ、これ以上の深追いは無益だと判断した。
「だが、今回の目的は達成した。伝説の機竜アストレイアの起動、そしてそのパイロットの能力。これ以上、無益な損害を出す必要はない」
ヴァルキリーはそう告げると、配下の帝国軍機に撤退命令を出した。
「全機、撤退。これ以上の追撃は無用だ」
彼女の言葉と共に、帝国軍の幻晶機は一斉に戦場から離脱を開始する。ヴァルキリー自身も、シャドウ・ヴァルキリーを翻し、雷光を纏いながら空の彼方へと消えていった。
「…今回は、ここまでか。だが、次はないぞ、召喚者」
ヴァルキリーの声が、戦場に響き渡る。その言葉には、冷徹さの中に、わずかな驚きが混じっていた。
なんとかヴァルキリーを退けたものの、ユウキはヴァルキリーの強さと、自身の無力さを痛感する。彼の心には、新たな強敵の存在が深く刻まれた。
◇◆◇◆◇
戦闘後、拠点に帰還したエリナは、通信を介して、自由都市アークライトにいるマリア・シュヴァルツ総指揮官に戦況を報告した。
エリナは、今回のヴァルキリー帝国軍の侵攻の規模と、アストレイアの予想外の活躍、そしてユウキのスカウトの経緯について詳細に説明した。
彼女は
「ユウキは、魔竜との戦いでは驚くべき適応力を見せました。人相手の戦いにはまだ戸惑いがあるようですが、彼の潜在能力は計り知れません」
と報告し、ユウキを正式な竜騎士中隊のパイロットとして認めるよう進言した。
今回の侵攻は、ヴァルキリー帝国が自由同盟の拠点が帝国領内に侵攻したと誤認し、その報復として仕掛けてきたものだった。
この誤解が、両勢力間の緊張をさらに高めることになる。マリアは困惑しつつも、この背後に潜む、まだ見えない何かの存在に気づき始める。
マリアはエリナの報告を受け、ユウキとアストレイアを正式に竜騎士中隊の一員として迎え入れ、より本格的な訓練と、今後の戦略会議への参加を命じる。
こうして、ユウキたちはルネアの戦争の渦中に本格的に巻き込まれていくのだった。
ヴァルキリー帝国軍との激戦を終え、竜騎士中隊は疲労困憊のまま、自由同盟の前線拠点へと帰還した。基地の格納庫には、損傷した幻晶機が運び込まれ、整備班が慌ただしく動き回っている。
あちこちで火花が散り、金属の焦げ付く匂いが充満していた。負傷した兵士たちが担架で運ばれていく姿も見える。戦争の生々しい現実が、改めてユウキの心を締め付けた。
アストレイアもまた、ヴァルキリーの猛攻によって深刻なダメージを負っており、その純白の装甲には痛々しい亀裂が走っていた。
「くそっ…アストレイアまでこんなに…」
ユウキは、格納庫の隅で横たわるアストレイアを見上げ、自らの無力さに唇を噛んだ。ヴァルキリーの圧倒的な強さ、そしてその冷徹なまでの戦闘スタイルが、彼の脳裏に焼き付いている。人との戦いの厳しさを、彼は改めて痛感していた。
数時間後、拠点の中枢司令室。
重苦しい空気が支配するその空間で、デブリーフィングが始まった。
マリア少佐が席に着き、その筆頭に、エリナ、ルナ、ジェイ、ソフィア、ディオン、そしてユウキ、リア、ザラといった竜騎士中隊の主要メンバーが顔を揃えていた。疲労と緊張が入り混じり、誰もが言葉少なだった。
「今回の敵の侵攻は、これまでの国境紛争とは明らかに異質だった」
マリアが静かに口火を切った。彼女の知的な眼差しが、参加者一人ひとりの顔をゆっくりと見て回る。
エリナが立ち上がり、戦況報告を始めた。
「はい、総指揮官。敵は当初約30機。対する我々は、竜騎士中隊の5機と守備隊の数機、合計約10機。絶望的な戦力差でした。しかし、アストレイアの投入により、戦況は一変。ユウキ殿とリア殿の連携により、短時間で7機の敵機を無力化することに成功しました」
エリナは、モニターに映し出された戦果のデータを指し示す。
「だが、ヴァルキリー帝国のエース、ヴァルキリーのシャドウ・ヴァルキリーは別格でした。彼女の雷撃はアストレイアのバリアを貫通し、ユウキ殿は窮地に陥りました。竜騎士中隊の援護がなければ、アストレイアは…」
エリナは言葉を濁したが、その意味するところは明らかだった。