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第9話 伝説機、魔竜を討つ -3

ー/ー



「長老。今回の戦いで、アストレイアの持つ計り知れない力を目の当たりにしました。自由同盟としては、ぜひともアストレイアを、そしてユウキ殿を、我々の仲間に迎え入れたい。この世界を守るために、その力が必要なのです」

ジーナ長老は、エリナの提案を目を閉じて聞いていた、そして、しばらくの時間をおいて、ふたたび瓦礫と化した集落を見渡しながら、重い口を開いた。

 「リア。この谷は、もうかつての姿には戻れぬ。生き残った者たちが、ここで生活を立て直すには、あまりにも時間がかかりすぎる。アストレイアの力は、この世界に必要とされている。お前たちの使命は、この谷に留まるものではないのじゃ」


リアは長老の言葉に静かに頷いた。その瞳には、谷を離れることへの寂しさと、新たな使命への決意が入り混じっていた。

「はい、おばあ様、いえ、長老。この谷の希望を、そしてこの世界の未来を繋ぐために、アストレイアと共に旅立ちます。それが私の使命ならば、その使命に従います」

リアはユウキとザラに視線を向けた。

「ユウキ、ザラ。私たちがこの谷を離れるのは、決して逃げるためじゃない。アストレイアの力は、この谷だけでなく、この世界全体に必要なんだって、長老も言っている。だから、私たちが行かなきゃならない」

ザラは深く頷いた。

「それが、この谷の、そして生き残った者たちの願いでもある。お前たちに、この世界の未来を託す」

リアの傍らに立っていたザラは、ジーナ長老の前に進み出た。

「長老…!私も、リアについて行かせてください!」

ザラは震える声で懇願した。

「リアの護衛は、私の役目です!この谷の護り手として、リアを守ることは、私の使命です!」

ジーナ長老は、ザラの忠誠心と能力を認めつつ、旅の厳しさを諭した。
「ザラ、お前は谷の護り手。その役目を…」
「ですが、長老!私の身体能力は、幻晶機乗りにも引けを取りません!斥候としてなら、きっとリアの、そしてユウキの役に立てます!何より…私だって、リアと一緒に戦いたい…!」

ザラの真剣な眼差しに、エリナが口を開いた。

「長老、ザラの身体能力は確かに卓越しています。もし彼女が望むなら、斥候として竜騎士中隊に迎えることを提案します」

ジーナもエリナの言葉に納得し、ザラの同行を許した。







◇◆◇◆◇

こうして、竜の谷を後にしたユウキ、リア、ザラは、エリナ、ルナ、ジェイに導かれ、自由同盟の拠点を目指す長旅へと出発した。

道中、彼らはルネアの広大な自然を目の当たりにし、その美しさと厳しさを感じ取った。時折、遠くで聞こえる砲声や、上空を横切るヴァルキリー帝国の偵察機が、この世界が戦争の渦中にあることを否応なく実感させた。

夕暮れ時、一行は岩陰で休息を取った。
焚き火の炎がパチパチと音を立て、夜の冷気を和らげる。

「ふぅ、ようやく一息つけるな」

ジェイが大きく伸びをした。彼はいつも軽口を叩いているが、移動中は常に周囲を警戒し、危険を察知するたびにユウキたちを誘導していた。

「ジェイさん、いつもありがとうございます。ジェイさんがいてくれると、心強いです」

ユウキが素直な感謝を述べた。

「おう、気にすんな!これも俺の役目だからな。それに、お前もリアちゃんも、早く『竜騎士中隊』に慣れてもらわないとな!」

ジェイは得意げに笑った。

ルナが傍らに座っていたリアに話しかける。

「リアちゃん、谷の生活と比べて、どう?長旅は大変でしょ?」
「ええ、少し…でも、毎日が新しい発見で、とても刺激的です」

リアは穏やかに微笑んだ。

「ねえ、ユウキくんの故郷ってどんなところなの?『幻晶機』とか、私たちと同じような『機竜』はいるの?」

ルナは好奇心旺盛に尋ねた。

ユウキは少し考え、

「俺の故郷には、ああいう『機竜』のようなものはなかったです。でも、ゲームの中では、そういうのを動かすのが得意でした」
「へえ、ゲームで!面白いわね!私たちの幻晶機はゲイル・シリーズの複座型でね。隊長が『機体全体を動かす』役割で、私が索敵や通信を担当するんだ」

ルナは目を輝かせながら説明した。




そんな会話を、ザラは少し離れた場所で聞いていた。ユウキとリアが親しげに話す様子を見て、わずかに眉をひそめる。リアの傍らに寄り添い、無言でユウキを牽制するような視線を送るが、ユウキはそれに気づく様子もない。

「おいユウキ、リアちゃんにアピールするなら、もっと男らしくいかないとダメだぜ? 例えば…」

ジェイがユウキに耳打ちをする。
ユウキは困惑した表情でジェイを見るが、ジェイはにやりと笑うばかりだった。




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「長老。今回の戦いで、アストレイアの持つ計り知れない力を目の当たりにしました。自由同盟としては、ぜひともアストレイアを、そしてユウキ殿を、我々の仲間に迎え入れたい。この世界を守るために、その力が必要なのです」
ジーナ長老は、エリナの提案を目を閉じて聞いていた、そして、しばらくの時間をおいて、ふたたび瓦礫と化した集落を見渡しながら、重い口を開いた。
 「リア。この谷は、もうかつての姿には戻れぬ。生き残った者たちが、ここで生活を立て直すには、あまりにも時間がかかりすぎる。アストレイアの力は、この世界に必要とされている。お前たちの使命は、この谷に留まるものではないのじゃ」
リアは長老の言葉に静かに頷いた。その瞳には、谷を離れることへの寂しさと、新たな使命への決意が入り混じっていた。
「はい、おばあ様、いえ、長老。この谷の希望を、そしてこの世界の未来を繋ぐために、アストレイアと共に旅立ちます。それが私の使命ならば、その使命に従います」
リアはユウキとザラに視線を向けた。
「ユウキ、ザラ。私たちがこの谷を離れるのは、決して逃げるためじゃない。アストレイアの力は、この谷だけでなく、この世界全体に必要なんだって、長老も言っている。だから、私たちが行かなきゃならない」
ザラは深く頷いた。
「それが、この谷の、そして生き残った者たちの願いでもある。お前たちに、この世界の未来を託す」
リアの傍らに立っていたザラは、ジーナ長老の前に進み出た。
「長老…!私も、リアについて行かせてください!」
ザラは震える声で懇願した。
「リアの護衛は、私の役目です!この谷の護り手として、リアを守ることは、私の使命です!」
ジーナ長老は、ザラの忠誠心と能力を認めつつ、旅の厳しさを諭した。
「ザラ、お前は谷の護り手。その役目を…」
「ですが、長老!私の身体能力は、幻晶機乗りにも引けを取りません!斥候としてなら、きっとリアの、そしてユウキの役に立てます!何より…私だって、リアと一緒に戦いたい…!」
ザラの真剣な眼差しに、エリナが口を開いた。
「長老、ザラの身体能力は確かに卓越しています。もし彼女が望むなら、斥候として竜騎士中隊に迎えることを提案します」
ジーナもエリナの言葉に納得し、ザラの同行を許した。
◇◆◇◆◇
こうして、竜の谷を後にしたユウキ、リア、ザラは、エリナ、ルナ、ジェイに導かれ、自由同盟の拠点を目指す長旅へと出発した。
道中、彼らはルネアの広大な自然を目の当たりにし、その美しさと厳しさを感じ取った。時折、遠くで聞こえる砲声や、上空を横切るヴァルキリー帝国の偵察機が、この世界が戦争の渦中にあることを否応なく実感させた。
夕暮れ時、一行は岩陰で休息を取った。
焚き火の炎がパチパチと音を立て、夜の冷気を和らげる。
「ふぅ、ようやく一息つけるな」
ジェイが大きく伸びをした。彼はいつも軽口を叩いているが、移動中は常に周囲を警戒し、危険を察知するたびにユウキたちを誘導していた。
「ジェイさん、いつもありがとうございます。ジェイさんがいてくれると、心強いです」
ユウキが素直な感謝を述べた。
「おう、気にすんな!これも俺の役目だからな。それに、お前もリアちゃんも、早く『竜騎士中隊』に慣れてもらわないとな!」
ジェイは得意げに笑った。
ルナが傍らに座っていたリアに話しかける。
「リアちゃん、谷の生活と比べて、どう?長旅は大変でしょ?」
「ええ、少し…でも、毎日が新しい発見で、とても刺激的です」
リアは穏やかに微笑んだ。
「ねえ、ユウキくんの故郷ってどんなところなの?『幻晶機』とか、私たちと同じような『機竜』はいるの?」
ルナは好奇心旺盛に尋ねた。
ユウキは少し考え、
「俺の故郷には、ああいう『機竜』のようなものはなかったです。でも、ゲームの中では、そういうのを動かすのが得意でした」
「へえ、ゲームで!面白いわね!私たちの幻晶機はゲイル・シリーズの複座型でね。隊長が『機体全体を動かす』役割で、私が索敵や通信を担当するんだ」
ルナは目を輝かせながら説明した。
そんな会話を、ザラは少し離れた場所で聞いていた。ユウキとリアが親しげに話す様子を見て、わずかに眉をひそめる。リアの傍らに寄り添い、無言でユウキを牽制するような視線を送るが、ユウキはそれに気づく様子もない。
「おいユウキ、リアちゃんにアピールするなら、もっと男らしくいかないとダメだぜ? 例えば…」
ジェイがユウキに耳打ちをする。
ユウキは困惑した表情でジェイを見るが、ジェイはにやりと笑うばかりだった。