第8話 伝説機、魔竜を討つ -2
ー/ー「ユウキ!上空から飛来する魔竜群が5体!連携攻撃よ!」
「5体!?多すぎだろ!」
「大丈夫!私が魔力結界を展開する!ユウキは突っ込んで!」
リアはコックピット内で両手を広げ、アストレイアの周囲に淡い光の結界を張る。魔竜の火炎ブレスが結界に弾かれ、四散した。
その隙を突き、ユウキは操縦桿を押し込み、アストレイアのブースターを最大出力にする。機体が轟音を上げて加速し、魔竜の攻撃を紙一重で躱しながら、その懐へと飛び込んだ。
「一気に仕留める!」
魔導剣が唸りを上げ、5体の魔竜をまとめて薙ぎ払う。その一撃一撃は、谷の幻晶機や同盟機とは比べ物にならない威力を誇った。
エリナのゲイル・タイプ2が、アストレイアの背後をカバーするように移動する。
「ルナ!アストレイアの動きに合わせて、後方支援を!」
「了解!隊長、アストレイアのエネルギー反応、異常な数値です!まるで生きているみたい…!」
ルナは驚きを隠せない。
彼女の指が、ゲイルの魔道キャノンを操作し、アストレイアが切り開いた隙に、残存する魔竜を正確に撃ち抜いていく。
ジェイのリベラが、アストレイアの側面を駆け抜ける。
「おい、召喚者!俺の獲物を横取りするんじゃねえぞ!」
ジェイが無線で叫ぶ。
「す、すみません!」
ユウキは思わず返事をする。
「ハハッ!冗談だよ!だが、その動き…最高だぜ!アストレイアに合わせる!」
ジェイは、アストレイアの予測不能な動きを瞬時に読み取り、その連携に食らいついていく。彼のチェーンソードが、アストレイアの風の刃と連動するように、魔竜の急所を狙う。
「ユウキ!右翼から大型魔竜が1体!体当たりを仕掛けてくるわ!」
リアの警告。
「わかった!リア、ブースターを最大に!一気に加速する!」
アストレイアの巨体が、再び轟音を上げて加速する。魔竜の体当たりを寸前で回避し、その巨体の下を潜り抜ける。
「今だ!ジェイさん!上からだ!」
ユウキが叫ぶ。
「任せろ!」
ジェイのリベラが、魔竜の頭上へと飛び上がり、チェーンソードを振り下ろす。アストレイアは魔竜の腹部に魔導砲を連射し、その動きを止める。ジェイのチェーンソードが、魔竜の頭部を正確に貫いた。
谷の空に、次々と魔竜の爆炎が上がる。
アストレイアの純白の機体は、炎と煙の舞う戦場を、まるで舞踏を踊るかのように駆け巡る。
ユウキとリアの連携、そして竜騎士中隊のサポートが、魔竜の群れを圧倒していった。
◇◆◇◆◇
アストレイアの圧倒的な力と、ユウキとリア、そして竜騎士中隊の連携により、魔竜たちは次々と撃破され、残った魔竜も恐怖に怯え、後退を始める。谷の危機は、ついに去った。
遠くの丘から、ノワールはアストレイアの戦いぶりを静かに見つめていた。
「まさか…ここまでとはな。幻晶のコアの力…そして、あの召喚者…」
彼女の冷たい瞳の奥に、微かな驚きが宿る。
「だが、目的は果たした。アストレイアは『コアの力によって起動したこと』、そしてユウキがその『コアの器』であることを確認。今は、退く時…。」
ノワールは、不気味な笑みを浮かべ、闇の中へと姿を消した。
◇◆◇◆◇
魔竜の脅威は去ったものの、竜の谷は壊滅的被害を受け、これまでの生活を続けることは困難となった。
夜が明け、朝日に照らされた谷は、まるで巨大な墓標のようだった。焦げ付いた木々の残骸が、黒い骨のように空を突き刺し、家々のあった場所には、灰と瓦礫の山が広がっていた。
土は血と煤で黒く染まり、焼けた肉の匂いが鼻腔を刺激する。かつて子供たちの笑い声が響いた広場には、半壊した木製の玩具が転がり、その無残な姿が、一瞬にして崩れ去った平和を雄弁に物語っていた。
ユウキはリア、そしてザラと共に谷の惨状を歩いた。足元には、砕けた石片や、焼け焦げた生活の痕跡が散らばっている。
「ひどい…」
リアの震える声が谷の静寂に響いた。
彼女の瞳は涙で潤んでいる。
「こんな…一晩で…」
ザラの顔も、いつもの冷徹さは消え失せ、深い悲しみに染まっていた。瓦礫の山となった防御壁を呆然と見つめている。
ユウキの胸に深い痛みが走る。
(これが…戦争の現実…。ゲームじゃない。リセットも、コンティニューもない。一度失われたものは、二度と戻らない…)
昨夜、必死に戦ったはずなのに、この光景を前にすると、自分の無力さを痛感する。
谷の住民たちは肩を寄せ合い、深い悲しみと疲労に沈んでいた。彼らの瞳には絶望の色が濃く、しかしその奥には、かすかな希望の光が宿っているようにも見えた。彼らは、アストレイアが自分たちを救ったことを知っていた。
◇◆◇◆◇
ジーナ長老は、エリナ、ジェイ、ルナの三人に深々と頭を下げた。
「自由同盟の機竜乗りの方々。この谷のために、命をかけて戦ってくださり、心より感謝いたします。お陰で、多くの命が救われました。」
エリナは静かに首を振った。
「長老、我々自由同盟は、今回の魔竜の襲撃がヴァルキリー帝国の仕業だと考えています。過去にも、帝国は同様の手段で他勢力を弱体化させてきましたからね。」
ユウキは問いかけた。
「帝国?」
エリナはユウキたちの方を向き、説明を始めた。
「ユウキ殿、リア殿、ザラ殿。ヴァルキリー帝国は『力こそが正義』とする軍事国家です。圧倒的な物量と軍事力で、ルネア大陸の覇権を狙っている。我々自由同盟の『個人の自由と平等』を重んじる思想とは相容れません。国境での衝突は長きにわたり日常茶飯事でした」
ユウキは納得したように頷いた。
「でも、今回の魔竜は、なんだか様子が違いました。まるで、誰かに操られているみたいに…」
ルナがユウキの言葉を補足する。
「その通りです、ユウキさん。私の索敵データでも、今回の魔竜の動きは不自然でした。通常の魔竜の行動パターンとは明らかに異なり、まるで統率された軍隊のようでした。」
リアも自身の感覚を言葉にする。
「私も感じました。魔竜の体から、不穏なマナの波動が…谷のマナとは違う、冷たくて、歪んだマナでした」
ユウキは眉をひそめた。
「歪んだマナ…?」
ジーナ長老が静かにその言葉に重みを加える。
「それは…この世界に災いをもたらす、古き闇の気配じゃ。アストレイアの覚醒は、その闇を呼び覚ましたのかもしれんな」
ユウキはその言葉に得体の知れない不安を感じた。
エリナは、厳しい表情で言葉を続ける。
「その背後には、まだ見えない何かが潜んでいるのかもしれない。この世界全体が、大きな戦争の予感に包まれています」
エリナの言葉にユウキは息を呑んだ。
ゲームの知識が、現実の戦争の複雑さに飲み込まれていく。リアとザラも真剣な表情でエリナの言葉に耳を傾けていた。この誤解が、ユウキを自由同盟へと向かわせる大きな要因となる。
エリナは、アストレイアの巨大な機体を見上げた。
「長老。今回の戦いで、アストレイアの持つ計り知れない力を目の当たりにしました。自由同盟としては、ぜひともアストレイアを、そしてユウキ殿を、我々の仲間に迎え入れたい。この世界を守るために、その力が必要なのです」
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
「ユウキ!上空から飛来する魔竜群が5体!連携攻撃よ!」
「5体!?多すぎだろ!」
「大丈夫!私が魔力結界を展開する!ユウキは突っ込んで!」
リアはコックピット内で両手を広げ、アストレイアの周囲に淡い光の結界を張る。魔竜の火炎ブレスが結界に弾かれ、四散した。
その隙を突き、ユウキは操縦桿を押し込み、アストレイアのブースターを最大出力にする。機体が轟音を上げて加速し、魔竜の攻撃を紙一重で躱しながら、その懐へと飛び込んだ。
「一気に仕留める!」
魔導剣が唸りを上げ、5体の魔竜をまとめて薙ぎ払う。その一撃一撃は、谷の幻晶機や同盟機とは比べ物にならない威力を誇った。
エリナのゲイル・タイプ2が、アストレイアの背後をカバーするように移動する。
「ルナ!アストレイアの動きに合わせて、後方支援を!」
「了解!隊長、アストレイアのエネルギー反応、異常な数値です!まるで生きているみたい…!」
ルナは驚きを隠せない。
彼女の指が、ゲイルの魔道キャノンを操作し、アストレイアが切り開いた隙に、残存する魔竜を正確に撃ち抜いていく。
ジェイのリベラが、アストレイアの側面を駆け抜ける。
「おい、召喚者!俺の獲物を横取りするんじゃねえぞ!」
ジェイが無線で叫ぶ。
「す、すみません!」
ユウキは思わず返事をする。
「ハハッ!冗談だよ!だが、その動き…最高だぜ!アストレイアに合わせる!」
ジェイは、アストレイアの予測不能な動きを瞬時に読み取り、その連携に食らいついていく。彼のチェーンソードが、アストレイアの風の刃と連動するように、魔竜の急所を狙う。
「ユウキ!右翼から大型魔竜が1体!体当たりを仕掛けてくるわ!」
リアの警告。
「わかった!リア、ブースターを最大に!一気に加速する!」
アストレイアの巨体が、再び轟音を上げて加速する。魔竜の体当たりを寸前で回避し、その巨体の下を潜り抜ける。
「今だ!ジェイさん!上からだ!」
ユウキが叫ぶ。
「任せろ!」
ジェイのリベラが、魔竜の頭上へと飛び上がり、チェーンソードを振り下ろす。アストレイアは魔竜の腹部に魔導砲を連射し、その動きを止める。ジェイのチェーンソードが、魔竜の頭部を正確に貫いた。
谷の空に、次々と魔竜の爆炎が上がる。
アストレイアの純白の機体は、炎と煙の舞う戦場を、まるで舞踏を踊るかのように駆け巡る。
ユウキとリアの連携、そして竜騎士中隊のサポートが、魔竜の群れを圧倒していった。
◇◆◇◆◇
アストレイアの圧倒的な力と、ユウキとリア、そして竜騎士中隊の連携により、魔竜たちは次々と撃破され、残った魔竜も恐怖に怯え、後退を始める。谷の危機は、ついに去った。
遠くの丘から、ノワールはアストレイアの戦いぶりを静かに見つめていた。
「まさか…ここまでとはな。幻晶のコアの力…そして、あの召喚者…」
彼女の冷たい瞳の奥に、微かな驚きが宿る。
「だが、目的は果たした。アストレイアは『コアの力によって起動したこと』、そしてユウキがその『コアの器』であることを確認。今は、退く時…。」
ノワールは、不気味な笑みを浮かべ、闇の中へと姿を消した。
◇◆◇◆◇
魔竜の脅威は去ったものの、竜の谷は壊滅的被害を受け、これまでの生活を続けることは困難となった。
夜が明け、朝日に照らされた谷は、まるで巨大な墓標のようだった。焦げ付いた木々の残骸が、黒い骨のように空を突き刺し、家々のあった場所には、灰と瓦礫の山が広がっていた。
土は血と煤で黒く染まり、焼けた肉の匂いが鼻腔を刺激する。かつて子供たちの笑い声が響いた広場には、半壊した木製の玩具が転がり、その無残な姿が、一瞬にして崩れ去った平和を雄弁に物語っていた。
ユウキはリア、そしてザラと共に谷の惨状を歩いた。足元には、砕けた石片や、焼け焦げた生活の痕跡が散らばっている。
「ひどい…」
リアの震える声が谷の静寂に響いた。
彼女の瞳は涙で潤んでいる。
「こんな…一晩で…」
ザラの顔も、いつもの冷徹さは消え失せ、深い悲しみに染まっていた。瓦礫の山となった防御壁を呆然と見つめている。
ユウキの胸に深い痛みが走る。
(これが…戦争の現実…。ゲームじゃない。リセットも、コンティニューもない。一度失われたものは、二度と戻らない…)
昨夜、必死に戦ったはずなのに、この光景を前にすると、自分の無力さを痛感する。
谷の住民たちは肩を寄せ合い、深い悲しみと疲労に沈んでいた。彼らの瞳には絶望の色が濃く、しかしその奥には、かすかな希望の光が宿っているようにも見えた。彼らは、アストレイアが自分たちを救ったことを知っていた。
◇◆◇◆◇
ジーナ長老は、エリナ、ジェイ、ルナの三人に深々と頭を下げた。
「自由同盟の機竜乗りの方々。この谷のために、命をかけて戦ってくださり、心より感謝いたします。お陰で、多くの命が救われました。」
エリナは静かに首を振った。
「長老、我々自由同盟は、今回の魔竜の襲撃がヴァルキリー帝国の仕業だと考えています。過去にも、帝国は同様の手段で他勢力を弱体化させてきましたからね。」
ユウキは問いかけた。
「帝国?」
エリナはユウキたちの方を向き、説明を始めた。
「ユウキ殿、リア殿、ザラ殿。ヴァルキリー帝国は『力こそが正義』とする軍事国家です。圧倒的な物量と軍事力で、ルネア大陸の覇権を狙っている。我々自由同盟の『個人の自由と平等』を重んじる思想とは相容れません。国境での衝突は長きにわたり日常茶飯事でした」
ユウキは納得したように頷いた。
「でも、今回の魔竜は、なんだか様子が違いました。まるで、誰かに操られているみたいに…」
ルナがユウキの言葉を補足する。
「その通りです、ユウキさん。私の索敵データでも、今回の魔竜の動きは不自然でした。通常の魔竜の行動パターンとは明らかに異なり、まるで統率された軍隊のようでした。」
リアも自身の感覚を言葉にする。
「私も感じました。魔竜の体から、不穏なマナの波動が…谷のマナとは違う、冷たくて、歪んだマナでした」
ユウキは眉をひそめた。
「歪んだマナ…?」
ジーナ長老が静かにその言葉に重みを加える。
「それは…この世界に災いをもたらす、古き闇の気配じゃ。アストレイアの覚醒は、その闇を呼び覚ましたのかもしれんな」
ユウキはその言葉に得体の知れない不安を感じた。
エリナは、厳しい表情で言葉を続ける。
「その背後には、まだ見えない何かが潜んでいるのかもしれない。この世界全体が、大きな戦争の予感に包まれています」
エリナの言葉にユウキは息を呑んだ。
ゲームの知識が、現実の戦争の複雑さに飲み込まれていく。リアとザラも真剣な表情でエリナの言葉に耳を傾けていた。この誤解が、ユウキを自由同盟へと向かわせる大きな要因となる。
エリナは、アストレイアの巨大な機体を見上げた。
「長老。今回の戦いで、アストレイアの持つ計り知れない力を目の当たりにしました。自由同盟としては、ぜひともアストレイアを、そしてユウキ殿を、我々の仲間に迎え入れたい。この世界を守るために、その力が必要なのです」