雲ひとつない、何処までも広がる青い空。まばゆくあたたかい太陽の光が降り注ぐ一面の緑の草原は、心地よい風にさらさらと揺られては波打つよう。
小高い丘の上に一本立つ青々とした木の陰は涼しくもあり、また日の光が葉と葉の合間をこぼれて、それはそれは散りばめられた宝石のように美しくもあった。
その木を背に、ゆったりと丘の下を見下ろすと、やわらかいクッションとはまるで違う硬いベッドなのに、不思議と落ち着く気持ちにさせてくれる。
そしてそのまま、世界が優しいまどろみに落ちて、溶けていくようだった。
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ピピピ。耳を刺激する何とも大きく不快とも形容できる電子音に、覚醒させられる。その根源に向けて手を伸ばし、音を止めると薄手の毛布を剥ぎ取った。
とても不可解な夢を見た気がする。脳髄の何処かに眠っている想像の世界のこととはいえ、あまりにも奇妙としかいいようのない、そんな夢だったように思う。
ラジオを付ける。ノイズに混じり、アナウンサーの声がニュースを告げる。
『――の天気は晴れ。雲ひとつない空が見れるところも――』
眠気覚ましにカーテンを開き、薄暗い部屋の中に明るい日の光りを取り入れる。雲のないキレイな灰色の空だった。