「グッドラック! 舞香!」
アンキーに見送られながらオランダを発つ……この短い出会いと別れの境地が舞香の心を揺さぶり起こし、感得に至らしめた。
***
舞羽は至って普通を意識した。舞香は安堵した。変わらず大好きな舞羽でいてくれたことに。
美都は危惧した。舞香が帰国して、舞羽が無理をしていることに。
舞羽には舞香が自分に見えることもあった。舞香は自信を携えて戻って来た……あれはあたし?
特に好きな人もいなかったけれど、みんな舞羽ではなく、舞香を好きになるんだ……そう感じた。
舞羽はそれでも強い心を保つ……。それは負けず嫌いと向上心。育ててきた環境が、これからを見据える想いが、培ってきた心が、目指す未来が、堕ちていく自分を拒み続けた。
舞香が微笑みかけてくれる、美都が助けてくれる……何とか抗う力を保ち、耐えた。
(『前を向く』そのために必要なことは、『笑顔』かもしれない。舞香、あなたの笑顔、素敵よ。どうしたらあなたのように笑えるのかな?)
舞羽はただ……ただ舞香を見つめて寂しく笑った。