@ 49話 アンキー
ー/ー
***
中学三年生……プールの授業は全部休んだ。
美都が毎日心配してくれた。お医者さんに『もう、普通の生活を送ってもいいですよ』と言われてからも、身体が人と接触するような体育の授業は、なるべく休んだ。
顔へ向かって、どんなにゆっくりでも手が伸びて、近づいて来るのが怖い。
もうすぐ……舞香が帰ってくる。
舞羽の心が段々と騒めき、ささくれ立っていくのが分かる。顔の見えない、声だけの舞香だから、明るくいられた。
顔を見たら……自分が行くはずだった馬術の本場ヨーロッパ、オランダ……笑顔で『お帰り』って言えるだろうか……。
***
舞羽の負担にならないよう、今まで舞羽が自分を気遣ってくれていた分、自分の足で立って、自分の意志で選択する。
『今度は私が先に進んで舞羽の風よけになるんだ!』
『レミリアを選んだのだって、インスピレーションだけじゃない! しっかり選択できたんだ! 自分の選択に自信をもて!』
『アンキーさんの下で学んだ。舞羽の代わりに行かせてもらったオランダで、一人でやって来たじゃないか!』
『……舞羽はこんな辛い時だって、私に毎日電話をしてくれたじゃないか……』
舞香は己を鼓舞する。
「舞香、ドレッサージュは音楽に合わせて馬が踊るのよ。分かる?」
アンキーは馬に乗るときはいつも楽しそうにする。必ず一つ、大事なことを教えてくれる。その大体が技術的なことではなかった。
舞香は自信がない……その才能を開花させるのは……。
「想像力よ! 舞香、ドレッサージュは馬がどう踊れば気持ちいいか、それをイメージするの……それはあなただけが想像できるものよ! それは小さい頃、お人形で遊んだそれと同じ……忘れちゃった?!」
相手の事や、自分の未来を想像する……頭の中の想像力と言うものは、法律やルール、もしかするとモラルや秩序何てモノにも侵されない、もっと自由なことであるべきである。
そういった社会の引力に負けない遠心力が、頭の中に始めから存在していたはずである。少なくとも子供の頃には確かに『遠心力の世界』があった、何にも縛られない想像力の世界が。
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顔へ向かって、どんなにゆっくりでも手が伸びて、近づいて来るのが怖い。
もうすぐ……舞香が帰ってくる。
舞羽の心が段々と騒めき、ささくれ立っていくのが分かる。顔の見えない、声だけの舞香だから、明るくいられた。
顔を見たら……自分が行くはずだった馬術の本場ヨーロッパ、オランダ……笑顔で『お帰り』って言えるだろうか……。
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『今度は私が先に進んで舞羽の風よけになるんだ!』
『レミリアを選んだのだって、インスピレーションだけじゃない! しっかり選択できたんだ! 自分の選択に自信をもて!』
『アンキーさんの下で学んだ。舞羽の代わりに行かせてもらったオランダで、一人でやって来たじゃないか!』
『……舞羽はこんな辛い時だって、私に毎日電話をしてくれたじゃないか……』
舞香は己を鼓舞する。
「舞香、ドレッサージュは音楽に合わせて馬が踊るのよ。分かる?」
アンキーは馬に乗るときはいつも楽しそうにする。必ず一つ、大事なことを教えてくれる。その大体が技術的なことではなかった。
舞香は自信がない……その才能を開花させるのは……。
「想像力よ! 舞香、ドレッサージュは馬がどう踊れば気持ちいいか、それをイメージするの……それはあなただけが想像できるものよ! それは小さい頃、お人形で遊んだそれと同じ……忘れちゃった?!」
相手の事や、自分の未来を想像する……頭の中の想像力と言うものは、法律やルール、もしかするとモラルや秩序何てモノにも侵されない、もっと自由なことであるべきである。
そういった社会の引力に負けない遠心力が、頭の中に始めから存在していたはずである。少なくとも子供の頃には確かに『遠心力の世界』があった、何にも縛られない想像力の世界が。