「何であの時俺にそれを言ったんだ?」
時巻はずっと疑問に思っていたことを口にした。
「ん? 俺と時巻は頭と運動。プラスとプラスは当然プラスになる。でも時巻とならお互いの他の悪いところ同士も掛けあえばプラスにできる、そう思ったからな」
なるほど面倒くさい奴だ……この調子で恭吾はどんどん理屈っぽくなってその友達の数を減らしていく。
(ま、俺にはマイナス部分はほぼ無いけどな……)
恭吾がそう思ったかは定かではない……。
「-3分……過去からずっと繋がっているのさ……時制は大事だ」
「……恭吾俺……謝らなきゃいけないことがある」
「知っているよ……カードを買ってもらえない時巻の気持ちを分かってやれなかったことも、あの先輩に呼び出されて急いでいたことも……」
「恭吾……」
時巻はようやくあの日の引け目から解放された気がした。恭吾がすべてわかっていたことも……。
「ついでに一つ教えといてやろう。俺の頭脳はまだまだ発展し続けるだろう。でも時巻、君は今悩んでいる……そう、スランプってやつだ」
「何で……知ってる?」
「この間の試合をちょっと目にしてね。君は今、身体の成長に戸惑っているだけさ。今までのイメージより強く、素早く、大きく動ける自分にね」
「そ、そうか! 良かった」
もはや恭吾の言葉に信頼しかない。気にしていてくれたことも嬉しかった。
時巻はその秀でた運動能力のため、頼りにされることはあっても、相談できる人間がいなかった。