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@58話

ー/ー





 中学校に入ってすぐ、虐められている恭吾を偶々助けた。その時恭吾は言った。


 


「マイナス×マイナスがどうしてプラスになるか知っているか?」


 


 まだ学校では習っていない。


 


「知らない」


「もう、すぐ習うよ」


 


 そう言って恭吾は礼を言って去った。


 


 


 恭吾の言う通り負の掛け算はすぐ授業で習った。その時すぐに時巻は恭吾にそれを聞いた。授業ではその理由を教えてはくれなかったからだ。


 


 


「何でマイナス同士を掛けるとプラスになるの?」


「丁度いい……」


 


 そう言うと恭吾は階段を上って踊り場で止まる。


 


「ここを『0』の地点としよう。ここから下に下がればマイナス。上へ上がればプラス。上下丁度20段ある。いいか、此処(●●)がすべての始まる基準点だ」


 


「分かった」


 


 


 確認すると『よーいどん』と上に登り出す。


 


「1分間に5段『プラス』に進むとしよう。3分後は? これが3×5=15段上に上がったわけだ。今俺がいる位置が『よーいどん』から3分後の位置」


 


「それは分かる」


 


 そんなのは小学生でも分かる。しかし時巻は真剣に聞いている、


 


 


「では『0』の地点から下るとしよう。3分後は? -5段×3分後=-15段」


「それも分かった」


 


 時巻のいるフロアより5段上に居る恭吾は、時巻の目を真直ぐ見ている。時巻もしっかりと見つめ返している。


 


 


 恭吾は『0』地点に戻る。


 


「今度は『よーいどん』で5段下がるつまり-5、でも今度は-3分しなければならない、つまり3分前はどこに居たなら俺が今『よーいどん』と言える場所に来ることができる?」


 


「そこより15段上か!」


 


「その通り。毎分5段下がってなければならないスタート地点に立つ3分前、つまりプラス15段が、この問題の解の証明になる」




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 中学校に入ってすぐ、虐められている恭吾を偶々助けた。その時恭吾は言った。
「マイナス×マイナスがどうしてプラスになるか知っているか?」
 まだ学校では習っていない。
「知らない」
「もう、すぐ習うよ」
 そう言って恭吾は礼を言って去った。
 恭吾の言う通り負の掛け算はすぐ授業で習った。その時すぐに時巻は恭吾にそれを聞いた。授業ではその理由を教えてはくれなかったからだ。
「何でマイナス同士を掛けるとプラスになるの?」
「丁度いい……」
 そう言うと恭吾は階段を上って踊り場で止まる。
「ここを『0』の地点としよう。ここから下に下がればマイナス。上へ上がればプラス。上下丁度20段ある。いいか、|此処《●●》がすべての始まる基準点だ」
「分かった」
 確認すると『よーいどん』と上に登り出す。
「1分間に5段『プラス』に進むとしよう。3分後は? これが3×5=15段上に上がったわけだ。今俺がいる位置が『よーいどん』から3分後の位置」
「それは分かる」
 そんなのは小学生でも分かる。しかし時巻は真剣に聞いている、
「では『0』の地点から下るとしよう。3分後は? -5段×3分後=-15段」
「それも分かった」
 時巻のいるフロアより5段上に居る恭吾は、時巻の目を真直ぐ見ている。時巻もしっかりと見つめ返している。
 恭吾は『0』地点に戻る。
「今度は『よーいどん』で5段下がるつまり-5、でも今度は-3分しなければならない、つまり3分前はどこに居たなら俺が今『よーいどん』と言える場所に来ることができる?」
「そこより15段上か!」
「その通り。毎分5段下がってなければならないスタート地点に立つ3分前、つまりプラス15段が、この問題の解の証明になる」