普段から寝るのが好きで、中々布団から出られない音色だが、窓から差し込んできた日差しと共に布団から出る。
早起きも気持ちいいもんだなぁ、なんて思ったものの『たまに早起きするから良いもんだと感じるんだ』と考え直す。
一つ屋根の下で暮らしている、と言ってもこの部屋の素晴らしいところはトイレと浴室が独立して備え付けられているところだ。社長と共有しなくて良い。
下はショーツ一枚、ノーブラTシャツ姿で脱衣場に入ると気ままに朝のシャワーを浴びる。
キッチンだけはついていないので、部屋を出てダイニングへと向かうと、大きな欠伸を一つ。ちょうど一颯もそこにいた。
「おはよう」
「おはようございます」
音色は慌てて口元を左手で隠しながら、欠伸をかみ殺すも、目じりに涙が溜まる。微笑む一颯は東向きの窓から差し込む朝のライトに照らされて、爽やかさを演出する。そんな姿を見てしまうと、寝起きの頭は照れと恥ずかしさを押し出してくる。それは同棲の朝のイメージに他ならない。
騙すべき人なのに恋愛仕様な自分に喝を入れる。
(あ、ノーメイク……ま、いっか……)
もともと化粧っ気がない音色。メイクしても綺麗に見せる自信がない。昨日が特別だったんだ……。メイクを気にしているようでは騙せない……はず?