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絶望の果てに。

ー/ー



時が壊れた。
いつかはこうなる日が来ることはわかっていた。
無理やり壊れそうな歯車を回していたから、限界だったんだ。
だけど私の中の欲望は止まらなかった。
駄目だってなんども止めようとした…。そのたびに儚く脆い花は散っていった。
取り返しつかない過ち、こうして世界で私だけが動いている中でも罪が重なる。
どこで間違えてしまったのだろう。

ああ、きっとキミを受け入れたときからだ。
だってあの日ほど私を自由にさせたものはなかったし。
あれほど私が認められたと思ったことはなかったもの。
私は魔王さまと一心同体になることでジシンを満たすのだ。

これ以上愚かな世界を進ませないように。
永遠に時を止めておこう。
誰しも綺麗なまま壊れたり、消えたりしたいでしょ?

この世界はもうマワラセナイ。
私もそろそろ眠りにつくことにしましょう。
明日が来ない世界に祝福を。

ーーーーーー。

どれくらいボクの体は眠りについていたのか。
心の中ではやく動いてと訴えかけたものがあった。
うるさいなと思いつつ、500年ぶりに体を起こす。
やはり、時を止められていたから体を動かすのは不格好になってしまった。

あの子を助けに行かなければー。
ボクにかけられた術の「時のほころび」を探して修復するのに思いの外時間が食ったせいで
随分と長い時間が流れてしまったが、まだあの子の心は戻せるはずだ。
あ、時間は経っていなかったわ。忘れてた。
ボクの中では時間は進んでたからあながち間違いではないけど。
あの子はボクに懐いていたからなあ。
無意識の力が働いて完全には止められなかったのかもね。
体の自由は奪えても心は奪えないのだよ。


さてと、さっそくあの子のところに行こうか。
ここは術の干渉である意味彼女の精神世界に近いみたいだし、
あまりここに居過ぎると本当に心が閉ざされてしまうからね。

彼女を探そうか。というところから始めようと思ったのだけれど
あまりにもわかり易すぎるなあ。
あんな立派な茨の塔を建てちゃって、
うーん。あれは彼女の涙からできているみたいだし。
涙にくれるくらいならさ、初めからボクに頼ってくれればだなんて卑怯か。
ボクはキミの話に相槌しか打てなかったから。

あんな刺々しくなくて優しい純粋だったじゃないか。
逆にそれが弱い傷だったのかな。
いまボクはとても後悔をしている。
キミがこんなに傷ついてるなんて思ってもいなかったんだ。
いつも笑顔で冗談交じりで「苦しいな」とか「こんなんじゃ駄目だな」って言ってた。
それは無理やり貼り付けた仮面だったんだね。

まるで外側から拒否されているみたいだ。
言わないとわからないじゃないか。
「苦しいよ。辛いよ。助けて。」
その言葉をもっと本音でボクに言えばよかったんだよ。
なんてあとから言ってもずるいよね。
でも、自分以外の気持ちなんて魔法や超能力がないかぎり到底わかりやしないんだから。

今のキミは半分人で半分異端だ。
その超人的な力を持っても人の気持ちはわからないと思う。
魔術や超能力を使って気持ちを知ってもそれは表面だけじゃない?
本人の口から聞かないと本当の意味では満たされない。
それにボクとキミ以外の時間は世界中で止まってしまった。

なぜ?

キミは本当は助けて欲しいんじゃないか?
ボクは本心を伝える。
これでお互いおあいこにしよう。
遅すぎるかもしれないけどまだ間に合うよ。
いつまでもボクはキミが満足するまで
この塔の外で待っているから。
たとえ心が壊れ朽ちようとも。

それでキミは許してくれるかな、キミの苦しさを見逃したボクの最大の罪を。

ーーーーーーーーーー。

カコンー。

カラカラカラ。

『どうやらキミに迎えが来たようだよ。
まだ眠っていたいなら力を貸すよ。
ワタシはキミを気に入っているからね。
たとえキミの身内だとしてもワタシの術を解かれたことには変わりがないからね。
少々許しがたいのだよ。だからいつでもあやつを停止されるときは言ってくれ。』

ううん。大丈夫。
彼は私が欲しい言葉をくれたの。
それに私が気づくのが遅くなってしまったけれど
私が完全に目覚めるまで
毎日言葉をかけてくれたの。

こんなになってまで言ってくれたんだもの。
私は私自身の罪をそろそろ認めて受け入れなきゃならないわ。

彼はもうこの精神世界に近いこの場所で
逃げもせず静かに心を静寂と孤独に蝕まれながら命を燃やした。

彼女は静かに指を鳴らすと
花が散るようにサラサラと灰になりゆっくり消えていった。

「彼に会えたらなんて贅沢は言えないけれど、せめてもっとはやく言えてたら楽だったかな。
ありがとう。無責任でごめんなさい。さようなら。」
彼女が世界から消えると同時に止まっていた世界が再び回り始めた。
この真実を知っている存在は
もう、この世にはいない。


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無理やり壊れそうな歯車を回していたから、限界だったんだ。
だけど私の中の欲望は止まらなかった。
駄目だってなんども止めようとした…。そのたびに儚く脆い花は散っていった。
取り返しつかない過ち、こうして世界で私だけが動いている中でも罪が重なる。
どこで間違えてしまったのだろう。
ああ、きっとキミを受け入れたときからだ。
だってあの日ほど私を自由にさせたものはなかったし。
あれほど私が認められたと思ったことはなかったもの。
私は魔王さまと一心同体になることでジシンを満たすのだ。
これ以上愚かな世界を進ませないように。
永遠に時を止めておこう。
誰しも綺麗なまま壊れたり、消えたりしたいでしょ?
この世界はもうマワラセナイ。
私もそろそろ眠りにつくことにしましょう。
明日が来ない世界に祝福を。
ーーーーーー。
どれくらいボクの体は眠りについていたのか。
心の中ではやく動いてと訴えかけたものがあった。
うるさいなと思いつつ、500年ぶりに体を起こす。
やはり、時を止められていたから体を動かすのは不格好になってしまった。
あの子を助けに行かなければー。
ボクにかけられた術の「時のほころび」を探して修復するのに思いの外時間が食ったせいで
随分と長い時間が流れてしまったが、まだあの子の心は戻せるはずだ。
あ、時間は経っていなかったわ。忘れてた。
ボクの中では時間は進んでたからあながち間違いではないけど。
あの子はボクに懐いていたからなあ。
無意識の力が働いて完全には止められなかったのかもね。
体の自由は奪えても心は奪えないのだよ。
さてと、さっそくあの子のところに行こうか。
ここは術の干渉である意味彼女の精神世界に近いみたいだし、
あまりここに居過ぎると本当に心が閉ざされてしまうからね。
彼女を探そうか。というところから始めようと思ったのだけれど
あまりにもわかり易すぎるなあ。
あんな立派な茨の塔を建てちゃって、
うーん。あれは彼女の涙からできているみたいだし。
涙にくれるくらいならさ、初めからボクに頼ってくれればだなんて卑怯か。
ボクはキミの話に相槌しか打てなかったから。
あんな刺々しくなくて優しい純粋だったじゃないか。
逆にそれが弱い傷だったのかな。
いまボクはとても後悔をしている。
キミがこんなに傷ついてるなんて思ってもいなかったんだ。
いつも笑顔で冗談交じりで「苦しいな」とか「こんなんじゃ駄目だな」って言ってた。
それは無理やり貼り付けた仮面だったんだね。
まるで外側から拒否されているみたいだ。
言わないとわからないじゃないか。
「苦しいよ。辛いよ。助けて。」
その言葉をもっと本音でボクに言えばよかったんだよ。
なんてあとから言ってもずるいよね。
でも、自分以外の気持ちなんて魔法や超能力がないかぎり到底わかりやしないんだから。
今のキミは半分人で半分異端だ。
その超人的な力を持っても人の気持ちはわからないと思う。
魔術や超能力を使って気持ちを知ってもそれは表面だけじゃない?
本人の口から聞かないと本当の意味では満たされない。
それにボクとキミ以外の時間は世界中で止まってしまった。
なぜ?
キミは本当は助けて欲しいんじゃないか?
ボクは本心を伝える。
これでお互いおあいこにしよう。
遅すぎるかもしれないけどまだ間に合うよ。
いつまでもボクはキミが満足するまで
この塔の外で待っているから。
たとえ心が壊れ朽ちようとも。
それでキミは許してくれるかな、キミの苦しさを見逃したボクの最大の罪を。
ーーーーーーーーーー。
カコンー。
カラカラカラ。
『どうやらキミに迎えが来たようだよ。
まだ眠っていたいなら力を貸すよ。
ワタシはキミを気に入っているからね。
たとえキミの身内だとしてもワタシの術を解かれたことには変わりがないからね。
少々許しがたいのだよ。だからいつでもあやつを停止されるときは言ってくれ。』
ううん。大丈夫。
彼は私が欲しい言葉をくれたの。
それに私が気づくのが遅くなってしまったけれど
私が完全に目覚めるまで
毎日言葉をかけてくれたの。
こんなになってまで言ってくれたんだもの。
私は私自身の罪をそろそろ認めて受け入れなきゃならないわ。
彼はもうこの精神世界に近いこの場所で
逃げもせず静かに心を静寂と孤独に蝕まれながら命を燃やした。
彼女は静かに指を鳴らすと
花が散るようにサラサラと灰になりゆっくり消えていった。
「彼に会えたらなんて贅沢は言えないけれど、せめてもっとはやく言えてたら楽だったかな。
ありがとう。無責任でごめんなさい。さようなら。」
彼女が世界から消えると同時に止まっていた世界が再び回り始めた。
この真実を知っている存在は
もう、この世にはいない。