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町長が病室のベッドから起き上がった娘に笑顔で尋ねた。
「どうだい、調子の方は?」
すると、その娘も白い歯を見せ、笑顔で答えた。
「すこぶる調子はいいわ。それに、全然、退屈することもないし」
娘は病室のテレビの画面……こちらを指差して賑わう人々の映像を指差した。
その映像を見て、町長もにっこり笑った。
「それにしても、入院することになったお前が退屈しないように、カメラ内蔵の飛行装置で町中を撮影して見せてやったら、こんなことになるなんてな。銃で狙われた時はどうしようかと思ったが……危機回避センサーも備えておいて良かったよ」
すると娘は思い出したかのように吹き出した。
「ええ。あれは本当にスリリングでワクワクしたわ。まるで本当に自分が銃で狙われているかのようで。思えば、あのあたりから、私も体の調子が良くなったのよね」
そんな娘を見て、町長は目を細めた。
「そうか、それは良かった。それにしても、飛行装置から町中を見渡すことで退屈せず、お前は入院中も気が滅入ることがなかったし、町が活気付くという思わぬ効果にもつながった。一石二鳥とは、まさにこのことだな……」