「うわぁーん、怖いよ、怖いよぉ」
ギラギラと輝く太陽の下。肩をいからせてアスファルトの王道を歩く俺と目が合った途端に、小さい子供が泣き出した。
「そうだ、泣け!泣いて泣いて、俺を恐れ敬うのだ。うわっはっは……」
「ギャピー!」
俺が高笑いすると、その子供はさらに激しく泣いて、そのマンションに逃げ込んだ。
あぁ、何と、気分の良いことだ。
何と言っても、この神々しさに恐れをなした下賤の民が、泣きだすほどに俺を敬っているのだ。こんなに清々しいのは、何年ぶりだろうか。
裸で恍惚の表情を浮かべる俺を見て、マンションから先程よりさらに幼い子供が出てきて指をさした。
「あ、裸だ。ねぇねぇ、おじちゃん。どうして、裸なの……」
「しっ、見ちゃぁいけません」
母親と思われる女性が、そそくさと再度子供をマンションに連れ入れた。
そうさ、俺は『裸の王様』。
お前達みたいな下賤の民は、見ることさえ憚られるほどの、やんごとなきお方なのだ。
「そうだ、母親よ。その子供に俺のスバラシサをしっかりと教えこんでおくのだぞ!」
その指導事項を母親に口頭で伝えた俺は、踊りのしなやかなステップを踏みながら、そのマンションの前を後にした。