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@31話

ー/ー





『どうかしら?』そんな野暮なセリフは吐かない。腰に手を当てて、惜しみない自分を見せつける。こちらから聞くまでもなく、思わず零れ出る言葉を待つ。


 しかし音色のその野望は脆くも崩れ去る。


 


「終わりましたね、さ、では社に戻りましょう。社長が待っています」


 


 瑞稀は一瞥をくれただけで、至って事務的である。音色の自尊心は音を立てて崩れた。見栄を捨てて問う、未だ魔法は完成しない。


 


「ね、どうかしら? なんか一言くらい言ってよ」


 


 そう言うと、瑞稀は振り返ってもう一度まじまじと見る。フゥーっと長く息を吐き出す。それはどういう意味なのだろうか? 音色は考えてみたけれども分からない。


 


「とてもお似合いです。見違えるほどお綺麗になられました」


 


 その言葉を聞いて音色は花が咲いたように表情を明るくさせる。子供のように素直な喜びが見て取れる。多少なりとも『言わせた感』があるけれども、そんなのどうだっていい、褒められることでまた一つ綺麗になる。


 


「うん!」


 


 そう大きく頷くと、音色は満足したように瑞稀に続いて店を後にした。


 


 


 


(社長さん、私を見て何か言ってくれるかな?)


 次の期待に夢を膨らませていた。




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次のエピソードへ進む @32話 ドレスとマナー


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『どうかしら?』そんな野暮なセリフは吐かない。腰に手を当てて、惜しみない自分を見せつける。こちらから聞くまでもなく、思わず零れ出る言葉を待つ。
 しかし音色のその野望は脆くも崩れ去る。
「終わりましたね、さ、では社に戻りましょう。社長が待っています」
 瑞稀は一瞥をくれただけで、至って事務的である。音色の自尊心は音を立てて崩れた。見栄を捨てて問う、未だ魔法は完成しない。
「ね、どうかしら? なんか一言くらい言ってよ」
 そう言うと、瑞稀は振り返ってもう一度まじまじと見る。フゥーっと長く息を吐き出す。それはどういう意味なのだろうか? 音色は考えてみたけれども分からない。
「とてもお似合いです。見違えるほどお綺麗になられました」
 その言葉を聞いて音色は花が咲いたように表情を明るくさせる。子供のように素直な喜びが見て取れる。多少なりとも『言わせた感』があるけれども、そんなのどうだっていい、褒められることでまた一つ綺麗になる。
「うん!」
 そう大きく頷くと、音色は満足したように瑞稀に続いて店を後にした。
(社長さん、私を見て何か言ってくれるかな?)
 次の期待に夢を膨らませていた。