意外にも昼食はハンバーガーだった。瑞稀が言うにはファストフードは手軽でよく食べるという。コンビニも便利でよく利用するとのこと。
慣れた手つきでハンバーガーを片手に運転している。音色もこの方が食べ慣れていてしっかりお腹に入っていった。
会社に着いたのは14時を過ぎていた。社長は会長と面会中で音色は瑞稀と夜光に挟まれて、『これから』のことを伝えられていた。
「ええぇ~?! 私、そんなすごいところなんていけません、無理です無理です。どうか他の人をお願いいたします」
「それでは音色さん……また無一文で放り出されることになりますよ?」
「うっ……」
それを言われると弱い……言葉が詰まる。それにこの人たちは悪党だ、さっき買ったドレス代も請求されるに決まってる。そうしたら借金が増えるだけ……音色はうなだれて、ぐうの音も出ない。『彼らに従う』と音色の中では勝手に約束したことになっている。
(このままいうことを聞いていれば寝るところ〔住〕、食べること〔食〕はもちろん素敵な洋服〔衣〕も困らない……そうだ、あの人たちを逆に騙してお金を奪えばいいのよ、そうすれば借金も返せて万々歳じゃない、そうよそれまでの辛抱よ)
音色の覚悟が決まった。吹っ切れたように顔を上げると、真直ぐ瑞稀の目を見て言った。
「分かったわ、私はどうすればいいの?」
この決断が音色の運命を変えた。