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君とはやっとらレイワ! もうレイワ!! ありがとうございました~

ー/ー



 莉呼(りこ)の頭の中に今でも蘇るは、『蛍の光』流れるさみしげなパチンコ店。一人、二人、五人……遊びに興じていたお客がみなパチンコ店の扉を出、それぞれの方向へ向かい帰りゆく。
 莉呼(りこ)はカウンター係だったが、ホールをしていたお兄さん方の顔もしっかりと憶えていて鮮明に彼らの笑顔が蘇る。
 なぜか、そんな事を時々思う。
 確かに莉呼(りこ)は随分前にパチンコ店に勤めていた。が、(ハテ? そんな夜遅くまで働いてたっけ? もしかしたら自分が打ちに行った時の記憶かもな?)と不思議な気分。あるいは(パチンコが大好きだった莉呼(りこ)のママについて行った時? 否、ママは夜の仕事をしていたのでそれは違うぞ)
 そんな歯痒い『蛍の光』を、ふと思い出す、いや、確固たる想い出が思い出せなく悶々とするのだ、たまに。
(あ! パブで嬢やってた時か?)それは濃厚。(きっとそう!! 今わかったぞ!)

「どうしたの? 莉呼(りこ)、またボーっとしてる……だいじょうぶ?」とダーリンの竹詩(たけし)
「う、うん! だいじょうぶ、もう2025年も閉店、ぁちゃう、終わるんだな~って考えてたの」
「ン、まだ11月に入ったばかりだぜ? 莉呼(りこ)
「そうね、でもさ……ほら、スーパーなんてもうとっくにおせちの予約受け付けてんじゃん?」
「んだね~、クリスマスもまだなのにね! ハロウィンが終わったと思ったら毎年これ。年々速くなってねーか」
「でしょ~」

(あの頃はー……50円玉を握りしめて、よぉゲーセン行っとったな~)
莉呼(りこ)は嬢としてパブで働いていた頃、お昼間や休みはゲーセンに入り浸っていた。
 フルーツが出てくるブロック崩しなるゲームの虜だった。
 ピンボールに少し似たゲーム。画面下から球が飛び出す。球を落とさないよう気をつけながらガシャガシャガシャ―っと上にあるブロックを壊してゆく。たしか球がフルーツに当たれば、球を受ける2本のバーが長くなり、やりやすくなったりする。バーとバーの隙間から球が落ちたらミスだ。ミスは3回まで許されたっけな?? それ以上落とすとゲームオーバー。
 ゲーム50円だなんてやっす! 安かったな~。てか今ゲーセンでそんなゲームきっとないよね。UFOキャッチャーまみれじゃん。UFOキャッチャーランドじゃん?

「……でさ~、どう考えたっておかしいなーって……てぇ! 莉呼(りこ)? 聴いてないね」ダーリン竹詩がなにかおしゃべりしていた。
「あ、うん……ネ~!」
「『ネ~』ってなに。適当だねー、まったく。莉呼(りこ)なにを考えてたの? 教えてっ」
「うん、平成について」
「ン……ぅン?」
「懐かしいなーって」
「なんで急に?」
「そう。いつも急なの突然なの。頭の中でね『蛍の光』が鳴り始める。誰にでもあるよね」
 至極当然のことの如くに言い放つ莉呼(りこ)が、竹詩はちょっぴり心配。
「竹詩も時々聞こえてくるよね?」
(ンなわけねーじゃん)竹詩の顔が少し青い。でも(ま、まぁ、莉呼(りこ)だからな。そのまんまかもな)

「ボディコン! ワンレン!」とこの間も急に叫んだ莉呼(りこ)だもん。

(あたし、どーもこの間カセットテープを押し入れから引っ張り出してからというもの、ノスタルジックな気分に浸りがちね……)
 竹詩は莉呼(りこ)のひと回り年下のダーリンだ。
(竹詩とはかみ合わないことが結構あるんだよなー、ジェネレーションギャップ)

 確かに竹詩は、先日……莉呼(りこ)が箱いっぱいのカセットテープを取り出した時「なにこれ!」と叫んだ。あらゆる意味合いで。

 莉呼(りこ)はその時も感じた。(平成(ひらなり)くんならきっと分かってくれるのに!)
 平成(ひらなり)という男は、莉呼(りこ)の男友達だ。実は莉呼(りこ)にほの字で、竹詩が居たって莉呼(りこ)のことを諦めきれていない。ちなみに平成(ひらなり)は竹詩のバイト先の先輩で、莉呼(りこ)と同い年だ。

 莉呼(りこ)が竹詩のおしゃべりに上の空だった翌日のことだ。
莉呼(りこ)が唐突に言った「ポッ〇ーってさ、アーモンド味あったよね! うっすい色で。茶色が薄いねん。あたし、あの色がロマンチックで好きやった~」
 竹詩は「ああ、あの! 凸凹っとしたクラッシュなんたら」と言いかけた。その時。
「ちがう! ちがうよ、竹詩……つるんとしたアーモンド〇ッキーだよぉ」
そして……なんと、莉呼(りこ)が泣き始めてしまった。シクシク悲しそうだ。
「もう良い! 竹詩はあたしを理解しようとしてくれない! レイワンちゃんとでも付き合えばいいわ! あの娘、竹詩を好きじゃん、若いし! あたし、きのう平成(ひらなり)くんにプロポーズされたのよ! 受けるわ」

       ガ――――――ンッ!

 あ、竹詩の脳内に何か聴こえてきた。
 ♪テンテ~テ・テン・テーンテェーテ・テン……。「蛍の光」だ!

「きこえた! オレにも聴こえたよ! 莉呼(りこ)、行かないで! オレにだってきこえるから、行かないでくれよぉ~ウッ……うわぁああんッ!」
 いずこからか知れぬが、鳴り続ける「蛍の光」。

 無情な恋の結末。莉呼(りこ)とはそれまでのご縁だったということさ、竹詩。だいじょうぶ。君にはレイワンちゃんが居るから。



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 |莉呼《りこ》の頭の中に今でも蘇るは、『蛍の光』流れるさみしげなパチンコ店。一人、二人、五人……遊びに興じていたお客がみなパチンコ店の扉を出、それぞれの方向へ向かい帰りゆく。
 |莉呼《りこ》はカウンター係だったが、ホールをしていたお兄さん方の顔もしっかりと憶えていて鮮明に彼らの笑顔が蘇る。
 なぜか、そんな事を時々思う。
 確かに|莉呼《りこ》は随分前にパチンコ店に勤めていた。が、(ハテ? そんな夜遅くまで働いてたっけ? もしかしたら自分が打ちに行った時の記憶かもな?)と不思議な気分。あるいは(パチンコが大好きだった|莉呼《りこ》のママについて行った時? 否、ママは夜の仕事をしていたのでそれは違うぞ)
 そんな歯痒い『蛍の光』を、ふと思い出す、いや、確固たる想い出が思い出せなく悶々とするのだ、たまに。
(あ! パブで嬢やってた時か?)それは濃厚。(きっとそう!! 今わかったぞ!)
「どうしたの? |莉呼《りこ》、またボーっとしてる……だいじょうぶ?」とダーリンの|竹詩《たけし》。
「う、うん! だいじょうぶ、もう2025年も閉店、ぁちゃう、終わるんだな~って考えてたの」
「ン、まだ11月に入ったばかりだぜ? |莉呼《りこ》」
「そうね、でもさ……ほら、スーパーなんてもうとっくにおせちの予約受け付けてんじゃん?」
「んだね~、クリスマスもまだなのにね! ハロウィンが終わったと思ったら毎年これ。年々速くなってねーか」
「でしょ~」
(あの頃はー……50円玉を握りしめて、よぉゲーセン行っとったな~)
|莉呼《りこ》は嬢としてパブで働いていた頃、お昼間や休みはゲーセンに入り浸っていた。
 フルーツが出てくるブロック崩しなるゲームの虜だった。
 ピンボールに少し似たゲーム。画面下から球が飛び出す。球を落とさないよう気をつけながらガシャガシャガシャ―っと上にあるブロックを壊してゆく。たしか球がフルーツに当たれば、球を受ける2本のバーが長くなり、やりやすくなったりする。バーとバーの隙間から球が落ちたらミスだ。ミスは3回まで許されたっけな?? それ以上落とすとゲームオーバー。
 ゲーム50円だなんてやっす! 安かったな~。てか今ゲーセンでそんなゲームきっとないよね。UFOキャッチャーまみれじゃん。UFOキャッチャーランドじゃん?
「……でさ~、どう考えたっておかしいなーって……てぇ! |莉呼《りこ》? 聴いてないね」ダーリン竹詩がなにかおしゃべりしていた。
「あ、うん……ネ~!」
「『ネ~』ってなに。適当だねー、まったく。|莉呼《りこ》なにを考えてたの? 教えてっ」
「うん、平成について」
「ン……ぅン?」
「懐かしいなーって」
「なんで急に?」
「そう。いつも急なの突然なの。頭の中でね『蛍の光』が鳴り始める。誰にでもあるよね」
 至極当然のことの如くに言い放つ|莉呼《りこ》が、竹詩はちょっぴり心配。
「竹詩も時々聞こえてくるよね?」
(ンなわけねーじゃん)竹詩の顔が少し青い。でも(ま、まぁ、|莉呼《りこ》だからな。そのまんまかもな)
「ボディコン! ワンレン!」とこの間も急に叫んだ|莉呼《りこ》だもん。
(あたし、どーもこの間カセットテープを押し入れから引っ張り出してからというもの、ノスタルジックな気分に浸りがちね……)
 竹詩は|莉呼《りこ》のひと回り年下のダーリンだ。
(竹詩とはかみ合わないことが結構あるんだよなー、ジェネレーションギャップ)
 確かに竹詩は、先日……|莉呼《りこ》が箱いっぱいのカセットテープを取り出した時「なにこれ!」と叫んだ。あらゆる意味合いで。
 |莉呼《りこ》はその時も感じた。(|平成《ひらなり》くんならきっと分かってくれるのに!)
 |平成《ひらなり》という男は、|莉呼《りこ》の男友達だ。実は|莉呼《りこ》にほの字で、竹詩が居たって|莉呼《りこ》のことを諦めきれていない。ちなみに|平成《ひらなり》は竹詩のバイト先の先輩で、|莉呼《りこ》と同い年だ。
 |莉呼《りこ》が竹詩のおしゃべりに上の空だった翌日のことだ。
|莉呼《りこ》が唐突に言った「ポッ〇ーってさ、アーモンド味あったよね! うっすい色で。茶色が薄いねん。あたし、あの色がロマンチックで好きやった~」
 竹詩は「ああ、あの! 凸凹っとしたクラッシュなんたら」と言いかけた。その時。
「ちがう! ちがうよ、竹詩……つるんとしたアーモンド〇ッキーだよぉ」
そして……なんと、|莉呼《りこ》が泣き始めてしまった。シクシク悲しそうだ。
「もう良い! 竹詩はあたしを理解しようとしてくれない! レイワンちゃんとでも付き合えばいいわ! あの娘、竹詩を好きじゃん、若いし! あたし、きのう|平成《ひらなり》くんにプロポーズされたのよ! 受けるわ」
       ガ――――――ンッ!
 あ、竹詩の脳内に何か聴こえてきた。
 ♪テンテ~テ・テン・テーンテェーテ・テン……。「蛍の光」だ!
「きこえた! オレにも聴こえたよ! |莉呼《りこ》、行かないで! オレにだってきこえるから、行かないでくれよぉ~ウッ……うわぁああんッ!」
 いずこからか知れぬが、鳴り続ける「蛍の光」。
 無情な恋の結末。|莉呼《りこ》とはそれまでのご縁だったということさ、竹詩。だいじょうぶ。君にはレイワンちゃんが居るから。