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第二十六話 合流①

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誰もいない部屋で困り果てていたジョージは、手に持った斧で鍵がかかっていた部屋のドアを壊し始めた。
(開いた!!)
 ジョージが部屋の中に入ってみると、室内には誰もいなかった。ここはアーサーと入った部屋の真下に当たる部屋だ。アーサーが梯子か何かでこの下の部屋に降りたのではないかと考えてドアを開けたのだが、当てが外れた。
(ここは、子ども部屋かな)
 小さなベッドの脇にはサイドテーブルがあり、その上に読みかけの絵本が置いてあった。窓際には、書斎に置かれていた机より一回り小さいものが設置されていた。その机の上には蒸気船の小さな模型が飾られている。
 机の隣にある棚には地球儀が置いてあった。
 イギリスを探してくるくる回していると、二階からガタンっと大きな物音が聞こえた。
「アーサー!? そこにいるの!?」
 ジョージは慌てて部屋を出て、階段を駆け上がり、元の部屋に戻った。しかしアーサーはいない。もしやと思い、あの細い扉を開けた。
 そこには、右肩から血を流したアーサーが倒れていた。すぐに彼を抱き起し、体を揺すった。
「大丈夫!? 何があったの!?」
 アーサーは小さな呻き声をあげると、うっすらと目を開けた。徐々に意識が戻っていたようで、しばらくするとゆっくりと身体を起こした。
「おれは……戻ってきたのか??」
 アーサーはまるで寝ぼけているように見えた。眠たそうに眼をこすっている。
「アーサー」
 ジョージは間髪入れずに言った。
「俺、ここにある噂の絵画は諦めるよ。別の場所に行って、もっと素敵な絵を探そう」
「噂の絵画……」
そうだ、とアーサーの顔が強張った。
「ジョージ、ここを出るぞ! お前さんが狙われているからだ」
アーサーは眉間のしわを濃くした。
「俺が……誰に?」
「詳しい説明は、ここを出た後にしよう。くそぉ、右肩がじんじん痛むぜ」
そう言いながら、アーサーはゴソゴソとズボンのポッケに手を突っ込み、灰色のハンカチを取り出した。そして、それをうまい具合に肩に巻いていく。ジョージに傷口を見せないように、アーサーは最善の処置をした。
「よし、しばらくは大丈夫だろう。逃げるぞ、ジョージ。俺の予想だと、すぐに奴が来る」
「奴って?」
 アーサーは質問に答えることなく歩き出した。
 ジョージは仕方がないので、彼に言われるがままに部屋を出た。
 アーサーが階段を下りていく。ジョージも続いて行こうと足をのばすと、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「坊ちゃん」
 その声を聞いて振り向くと、頭に強い衝撃を受けた。ジョージは訳も分からず階段を転げ落ちる。
「うわぁぁぁ!!!」
 身体のあちこちをぶつけたジョージは、階段の下まで落ちて身体を丸くした。


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誰もいない部屋で困り果てていたジョージは、手に持った斧で鍵がかかっていた部屋のドアを壊し始めた。
(開いた!!)
 ジョージが部屋の中に入ってみると、室内には誰もいなかった。ここはアーサーと入った部屋の真下に当たる部屋だ。アーサーが梯子か何かでこの下の部屋に降りたのではないかと考えてドアを開けたのだが、当てが外れた。
(ここは、子ども部屋かな)
 小さなベッドの脇にはサイドテーブルがあり、その上に読みかけの絵本が置いてあった。窓際には、書斎に置かれていた机より一回り小さいものが設置されていた。その机の上には蒸気船の小さな模型が飾られている。
 机の隣にある棚には地球儀が置いてあった。
 イギリスを探してくるくる回していると、二階からガタンっと大きな物音が聞こえた。
「アーサー!? そこにいるの!?」
 ジョージは慌てて部屋を出て、階段を駆け上がり、元の部屋に戻った。しかしアーサーはいない。もしやと思い、あの細い扉を開けた。
 そこには、右肩から血を流したアーサーが倒れていた。すぐに彼を抱き起し、体を揺すった。
「大丈夫!? 何があったの!?」
 アーサーは小さな呻き声をあげると、うっすらと目を開けた。徐々に意識が戻っていたようで、しばらくするとゆっくりと身体を起こした。
「おれは……戻ってきたのか??」
 アーサーはまるで寝ぼけているように見えた。眠たそうに眼をこすっている。
「アーサー」
 ジョージは間髪入れずに言った。
「俺、ここにある噂の絵画は諦めるよ。別の場所に行って、もっと素敵な絵を探そう」
「噂の絵画……」
そうだ、とアーサーの顔が強張った。
「ジョージ、ここを出るぞ! お前さんが狙われているからだ」
アーサーは眉間のしわを濃くした。
「俺が……誰に?」
「詳しい説明は、ここを出た後にしよう。くそぉ、右肩がじんじん痛むぜ」
そう言いながら、アーサーはゴソゴソとズボンのポッケに手を突っ込み、灰色のハンカチを取り出した。そして、それをうまい具合に肩に巻いていく。ジョージに傷口を見せないように、アーサーは最善の処置をした。
「よし、しばらくは大丈夫だろう。逃げるぞ、ジョージ。俺の予想だと、すぐに奴が来る」
「奴って?」
 アーサーは質問に答えることなく歩き出した。
 ジョージは仕方がないので、彼に言われるがままに部屋を出た。
 アーサーが階段を下りていく。ジョージも続いて行こうと足をのばすと、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「坊ちゃん」
 その声を聞いて振り向くと、頭に強い衝撃を受けた。ジョージは訳も分からず階段を転げ落ちる。
「うわぁぁぁ!!!」
 身体のあちこちをぶつけたジョージは、階段の下まで落ちて身体を丸くした。