ジョージはアーサーを探すために、その細いドアを開けて中に入った。
(書斎か……)
そこは、書斎だった。乳白色の薄暗い明りがぽつぽつと部屋にともっている。薄暗くて足元が良く見えないが、部屋の大きさに違和感があった。
(なんかこの部屋、異様に狭くないか?)
そう思って室内をよく見ると、ジョージは、入ってきた細いドアとは別のドアがあることに気が付いた。試しにそれを開けてみると、おそらく隣の部屋の寝室に繋がっていたのだ。二人用のベッドが窓際に置かれている。
(あれは……??)
ジョージはそのベッドの近くに、白い布が落ちていることに気が付いた。しゃがんで拾ってみると、それはオリバーに渡したハンカチだった。白地に彼の地がべっとりと染み付いている。
(間違いない、これは俺のハンカチだ……。もしかして、オリバーが近くにいるのか?)
玄関の扉を開けておいたから、彼も後から追いかけてきたのだろうとジョージは思った。
(ここにいたら、オリバーも危険にさらされてしまう!! 急いで二人を見つけ出して、この別荘から出よう!!)
ジョージは寝室に誰もいないことを確認したあと、そのハンカチを丁寧にたたんでバッグの中に入れた。そのまま元の部屋に戻り、二階の廊下に出て、階段を下りた。
「アーサー!! オリバー!! どこに行ったんだ!!!」
ジョージは玄関ホールで思いっきり叫んだ。しかし、返事はなかった。
贋作ばかりが並ぶそのホールで、ジョージは途方に暮れていた。
(あれ……?)
ジョージは何かに気が付いたかのように階段に飾られていた鎧を見た。
(斧が、一本ないぞ……)
さっきまでは両方の甲冑はどちらも斧を持っていたが、よく見ると片方の甲冑が手ぶらになっていた。
その事実に気づいた瞬間、ジョージはぞわりと寒気に襲われた。
(誰かが斧を持って、この屋敷をうろついているのか……???)
ジョージは身を守るために、もう片方の斧を手に取った。
(さっきは大声で叫んでしまったが、これからは控えよう)
ジョージは1階の各部屋を、慎重に探し始めた。