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第十七話 別荘①

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ジョージはやっとの思いでアーサーたちに追いつき、雑木林を抜けた。
「やっと着いた」
 オリバーは額に汗をかきながらそう言った。

 その別荘は、酷い有様だった。長い間、誰も利用していないのだろう。
 まず、庭の花壇は荒れ放題だった。
 煉瓦の壁は半分以上、茶色い蔦で覆われている。窓ガラスは割れてはいないが、長年掃除をしていのだろう、ぼんやりと曇っている。
 屋根は一部ひび割れていて、酷い箇所だとぐにゃりと落ちくぼんでいた。
「……しばらく誰も泊まっていないみたいだな」
 ジョージは思わずそう言った。
「そうだな。でも。でも、俺の仲間は確かにここにいる」
 そういうオリバーの目は、不安げに揺れていた。
 ジョージは正面玄関の扉を開けようと、前へ進んだ。玄関の両側にある四本の支柱は、朽木のようにボロボロだ。ジョージは扉を開けようと、何度かドアの取っ手をガチャガチャ引っ張ってみるが、開かなかった。
「俺、裏口を見てくる」
 オリバーはそう言うと、別荘の裏手へ走っていった。
 ジョージとアーサーは正面玄関以外に入り口がないか、二手に分かれて、壁伝いに歩いて行った。
 しかし、煉瓦のざらざらとした感触と、生い茂った蔦以外、何も手掛かりはなかった。
 ジョージが曇った窓ガラスから家の中を覗いてみると、室内の小机の上に新聞が広げてあった。床の上には酒瓶が二本転がっている。奥の壁には、剣を持った甲冑二体とシカの頭が二頭分、左右対称に飾られていた。左右の壁には同じ高さの本棚が、やはりこちらも左右対称になるように置いてあった。
 ジョージはなんとなく薄気味悪く感じて目を逸らした。その拍子に、新聞がもう一度目に入った。
 その発行日を見て、ジョージは目を疑った。
(昨日の日付!? ということは、やはりオリバーの仲間は別荘の中に!?)
 ジョージはそれをオリバーに伝えようと振り返ると、アーサーが何かを見つけたようで、こちらに向かって歩いているところだった。そして合流し、入り口はなかったこと、昨日の新聞が室内にあったことを伝えた。
「じゃあ、あいつの言っていたことは嘘ではなかったんだな」
 ふぅとため息をついた後、アーサーは続けた。
「俺も入り口は見つけられなかった。でも、代わりに見つけたものがある。こっちに来てくれ」
 ジョージはアーサーに言われてついていくと、ある場所で二人は立ち止った。
「鍵のかかっていない窓を見つけた」
 アーサーは、一人ずつなら通れそうなくらいの窓を押し開けた。ギギギと不快な金属音が鳴り響く。錆がひどく、なかなかスムーズに窓は開かない。
 やっとの思いでアーサーが扉を開けると、建物の中からかび臭いにおいがした。ジョージは少しだけ頭を入れて部屋の中を見てみると、床に赤色のカーペットが敷いてあり、その窓付近には何人かの足跡がついていた。
「お前さんの話によると、オリバーの仲間は確かにここに来たようだな。その新聞も、奴らが持ち込んだものだろう」
 ジョージは窓から顔を引っ込めると、アーサーのほうを向いた。
「ジョージ、あいつのことはもういいだろう。あいつの仲間は、新しい足跡から見て三人以上。もし襲われたら、かなり面倒だ。そいつらより先に絵画を見つけ出して、さっさとずらかろうぜ」
 ジョージは少し迷ったが、さっきの不気味な部屋を思い出して、一刻もここを離れたほうが良いのではと思いなおし、頷いた。幸いオリバーはまだ戻ってこない。
 ジョージとアーサーは物音を立てないように、窓からさっと入り込んだ。


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ジョージはやっとの思いでアーサーたちに追いつき、雑木林を抜けた。
「やっと着いた」
 オリバーは額に汗をかきながらそう言った。
 その別荘は、酷い有様だった。長い間、誰も利用していないのだろう。
 まず、庭の花壇は荒れ放題だった。
 煉瓦の壁は半分以上、茶色い蔦で覆われている。窓ガラスは割れてはいないが、長年掃除をしていのだろう、ぼんやりと曇っている。
 屋根は一部ひび割れていて、酷い箇所だとぐにゃりと落ちくぼんでいた。
「……しばらく誰も泊まっていないみたいだな」
 ジョージは思わずそう言った。
「そうだな。でも。でも、俺の仲間は確かにここにいる」
 そういうオリバーの目は、不安げに揺れていた。
 ジョージは正面玄関の扉を開けようと、前へ進んだ。玄関の両側にある四本の支柱は、朽木のようにボロボロだ。ジョージは扉を開けようと、何度かドアの取っ手をガチャガチャ引っ張ってみるが、開かなかった。
「俺、裏口を見てくる」
 オリバーはそう言うと、別荘の裏手へ走っていった。
 ジョージとアーサーは正面玄関以外に入り口がないか、二手に分かれて、壁伝いに歩いて行った。
 しかし、煉瓦のざらざらとした感触と、生い茂った蔦以外、何も手掛かりはなかった。
 ジョージが曇った窓ガラスから家の中を覗いてみると、室内の小机の上に新聞が広げてあった。床の上には酒瓶が二本転がっている。奥の壁には、剣を持った甲冑二体とシカの頭が二頭分、左右対称に飾られていた。左右の壁には同じ高さの本棚が、やはりこちらも左右対称になるように置いてあった。
 ジョージはなんとなく薄気味悪く感じて目を逸らした。その拍子に、新聞がもう一度目に入った。
 その発行日を見て、ジョージは目を疑った。
(昨日の日付!? ということは、やはりオリバーの仲間は別荘の中に!?)
 ジョージはそれをオリバーに伝えようと振り返ると、アーサーが何かを見つけたようで、こちらに向かって歩いているところだった。そして合流し、入り口はなかったこと、昨日の新聞が室内にあったことを伝えた。
「じゃあ、あいつの言っていたことは嘘ではなかったんだな」
 ふぅとため息をついた後、アーサーは続けた。
「俺も入り口は見つけられなかった。でも、代わりに見つけたものがある。こっちに来てくれ」
 ジョージはアーサーに言われてついていくと、ある場所で二人は立ち止った。
「鍵のかかっていない窓を見つけた」
 アーサーは、一人ずつなら通れそうなくらいの窓を押し開けた。ギギギと不快な金属音が鳴り響く。錆がひどく、なかなかスムーズに窓は開かない。
 やっとの思いでアーサーが扉を開けると、建物の中からかび臭いにおいがした。ジョージは少しだけ頭を入れて部屋の中を見てみると、床に赤色のカーペットが敷いてあり、その窓付近には何人かの足跡がついていた。
「お前さんの話によると、オリバーの仲間は確かにここに来たようだな。その新聞も、奴らが持ち込んだものだろう」
 ジョージは窓から顔を引っ込めると、アーサーのほうを向いた。
「ジョージ、あいつのことはもういいだろう。あいつの仲間は、新しい足跡から見て三人以上。もし襲われたら、かなり面倒だ。そいつらより先に絵画を見つけ出して、さっさとずらかろうぜ」
 ジョージは少し迷ったが、さっきの不気味な部屋を思い出して、一刻もここを離れたほうが良いのではと思いなおし、頷いた。幸いオリバーはまだ戻ってこない。
 ジョージとアーサーは物音を立てないように、窓からさっと入り込んだ。