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第八話 談話室

ー/ー



真っ暗闇の中、橙色の明かりがゆらりゆらりと踊った。
(ここは談話室か……)
 アーサーはろうそくの明かりを持って、室内を探索し始めた。
 ジョージも後れを取らないようにと、ろうそくに明かりをつけて、キョロキョロと周りを見渡した。ひどく埃っぽくて、ジョージは息を吸い込むだけでもせき込んだ。正面には二人掛けのソファがあり、その上に赤色のブランケットが広げてある。右手側にある暖炉の中は空っぽで、部屋の中は日が当たらないので冷え切っていた。
 ジョージはソファの前にある小さなテーブルを見ると、手紙のようなものが置かれていた。
(これは……。なんだろう??)
 ジョージは迷わずそれを手に取った。手紙に封はしておらず、中身を取り出しざっと目を通すと、それはある別荘への招待状だった。
(『自然に囲まれた、優雅なひと時を過ごしましょう』……??)
 誘い文句と一緒に、その別荘であろう絵と可愛らしい花々があちこちに描かれていた。
「お!」
「どうした?」
 アーサーは部屋の奥で何かを見つけたみたいだった。
「それは……、杖かい?」
 アーサーは細長い棒のようなものを持っていた。遠くから見ると、紳士が良く持っているステッキに見える。
 なぜか表情を硬くしたアーサーは、早歩きでジョージのもとまで戻ってきた。
「アーサー、杖なんか持ってどうしたんだ?」
 ジョージは訝し気にアーサーに尋ねた。
 アーサーは一呼吸置き、何かを気にするような動作でジョージの背に合わせてかがみ、耳元まで顔を近づけて小さな声で囁いた。
「……この家、俺ら以外に、誰かいるぜ」
(なっなんだって!!?)
 ジョージは叫びそうになり、それを予想したアーサーはジョージの口を掌で塞いだ。
「足音が聞こえたんだ。隣の部屋だと思う」
「隣の部屋か、外にいた時は気づかなかった」
 アーサーは談話室の左手側にある、半開きのドアを見ながら言った。
「おそらく、向こうもこっちの存在に気づいてるだろう。家に侵入してから気づいたんだが、この家は物音がよく響くからな」
 アーサーは、相手もジョージたちの足音を聞いている可能性があることを指摘した。
「足音から察するに、向こうは一人だぜ、ジョージ」
 アーサーは暖炉のそばにある、火かき棒をチラリと見た。
 ジョージは震える手を握りしめ、こう言った。
「一気にカタをつけよう!!」
 ジョージは暖炉のそばに立てかけられていた、その火かき棒を手に取った。
 鉄のひんやりとした感触が、ジョージの手全体に広がっていく。
 アーサーはその薄ぼんやりとした明かりを、左手側の半開きになっているドアに向けた。


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真っ暗闇の中、橙色の明かりがゆらりゆらりと踊った。
(ここは談話室か……)
 アーサーはろうそくの明かりを持って、室内を探索し始めた。
 ジョージも後れを取らないようにと、ろうそくに明かりをつけて、キョロキョロと周りを見渡した。ひどく埃っぽくて、ジョージは息を吸い込むだけでもせき込んだ。正面には二人掛けのソファがあり、その上に赤色のブランケットが広げてある。右手側にある暖炉の中は空っぽで、部屋の中は日が当たらないので冷え切っていた。
 ジョージはソファの前にある小さなテーブルを見ると、手紙のようなものが置かれていた。
(これは……。なんだろう??)
 ジョージは迷わずそれを手に取った。手紙に封はしておらず、中身を取り出しざっと目を通すと、それはある別荘への招待状だった。
(『自然に囲まれた、優雅なひと時を過ごしましょう』……??)
 誘い文句と一緒に、その別荘であろう絵と可愛らしい花々があちこちに描かれていた。
「お!」
「どうした?」
 アーサーは部屋の奥で何かを見つけたみたいだった。
「それは……、杖かい?」
 アーサーは細長い棒のようなものを持っていた。遠くから見ると、紳士が良く持っているステッキに見える。
 なぜか表情を硬くしたアーサーは、早歩きでジョージのもとまで戻ってきた。
「アーサー、杖なんか持ってどうしたんだ?」
 ジョージは訝し気にアーサーに尋ねた。
 アーサーは一呼吸置き、何かを気にするような動作でジョージの背に合わせてかがみ、耳元まで顔を近づけて小さな声で囁いた。
「……この家、俺ら以外に、誰かいるぜ」
(なっなんだって!!?)
 ジョージは叫びそうになり、それを予想したアーサーはジョージの口を掌で塞いだ。
「足音が聞こえたんだ。隣の部屋だと思う」
「隣の部屋か、外にいた時は気づかなかった」
 アーサーは談話室の左手側にある、半開きのドアを見ながら言った。
「おそらく、向こうもこっちの存在に気づいてるだろう。家に侵入してから気づいたんだが、この家は物音がよく響くからな」
 アーサーは、相手もジョージたちの足音を聞いている可能性があることを指摘した。
「足音から察するに、向こうは一人だぜ、ジョージ」
 アーサーは暖炉のそばにある、火かき棒をチラリと見た。
 ジョージは震える手を握りしめ、こう言った。
「一気にカタをつけよう!!」
 ジョージは暖炉のそばに立てかけられていた、その火かき棒を手に取った。
 鉄のひんやりとした感触が、ジョージの手全体に広がっていく。
 アーサーはその薄ぼんやりとした明かりを、左手側の半開きになっているドアに向けた。