17.復讐の結末
ー/ー
「お兄さん、このシチュー、すごくイイっすね」
「ホントに? エビちゃん、俺のコト褒め殺しにきちる?」
「いやマジでこれ、イイですよ。俺はクリームシチューって、少しでも冷めると油脂が凝固してきてザラザラした舌触りになるのが気になってたんですけど、これはずっとなめらかで、口当たりがすごくイイです」
「俺も美味しいと思います。豆乳って、青臭いと思ってたんですけど、コレにはそういう臭みが全然無い。さらっとしてるのに独特の甘みがあって、驚いてます」
「おお、アマホクも解ってくれたかのぅ。その豆乳、大手メーカーのじゃなくて、豆腐屋さんのなんよ。スバルとミナトはこのシチュー、どうじゃ?」
「僕はいつものヤツの方が好き! これもやじゃないけど、なんか物足りない!」
豆乳シチューの物足りなさを埋めるように、ミートパイにかぶりついていたスバルが答えた。
当然のことながら、コグマもそう思っているのだろう。
口には出さないが、スバルの意見にこっそり頷いている。
「僕はこっちの方が食べやすくて好き。でもいつものシチューも好きだよ。給食のシチューは、ベタッとしてて最低」
「んかんか。大人数だと意見が分かれて、面白いな!」
「シノさん、キドニーパイ取ってくんない?」
俺が皿を差し出すと、サッと受け取ってパイを皿に乗せてくれたのは白砂サンだった。
「あ、すんません」
「他にも、なにか取り分けるかね?」
「いえ、大丈夫です」
「イタルも、もう一切れ食べるかね?」
「え、良いんですか?」
「このキドニーは、昨夜の謝罪代わりに焼いた物だ」
コグマの皿に、白砂サンはパイを乗せた。
「あの……聖一さん」
「なにかね?」
「僕、週末のリッツ・カールトン東京のディナーチケットを手に入れたんですが、一緒に行きませんか?」
キドニーパイを口に入れようとしていた俺の手が、思わず止まってしまった。
「ほう、リッツ・カールトンのディナーとは、興味深いな。だがそこはもちろん、子供も一緒に入れるのだろうね?」
「こども……?」
あまり表情の変わらない白砂サンに、微かに笑んで訊ねられて、コグマが狼狽している。
俺に強気で、大人のデートに子供が入る余地は無いと言い切ったコグマは、思うに "大人デート" の誘いをすれば、白砂サンはそれを察知して単身で応じてくれると盲信していたんだろう。
だが白砂サンは、なんの迷いも無くミナトの席を期待している。
ここでミナトの席が無いと答えても、白砂サンはコグマを責めたりしないだろうが、誘いを断るだろう。
さすがのコグマにもそれは解ったようで、答えに窮した。
だが返事をしないのは、ミナトの席が無いと答えるのと同じことだ。
この微妙な間が長くなればなるほど、コグマの立場が悪くなるのは火を見るよりも明らかだった。
「僕、行かないよ」
白砂サンが、ミナトに振り返る。
「なぜかね?」
今度はミナトが答えに窮した。
ミナトは場の空気を読み、自分が白砂サンのプライベートの足を引きたくないと思ってディナーを辞退する旨を口にしたのだろうが。
行かない理由を口に出せば、白砂サンはそれを否定するだろうし、だからといってスバルのように「行きたくないから行きたくない」みたいな子供っぽい無邪気な返事は、ミナトには出来ない。
そんな言い方をすれば、それもまた白砂サンをガッカリさせてしまうだろうと、気を回してしまうからだ。
俺はアワアワしたが、ミナトをフォローする口実は、咄嗟に何も出てこなかった。
「そりゃ、ミナトは俺とデートの約束があるからだよ」
返事をしたのはシノさんだった。
「柊一と? そんな話は、聞いていないよ?」
「そらそーだ。つい先刻、前倒しで自分にクリスマスプレゼントしたくなったんじゃもん。お泊りで舞浜にレッツゴー! ってな。スバルは俺の子分じゃし、スバルが行くならミナトも行くに決まっちるからな。なぁ、ミナト!」
「シノさん、それ "自分に" は余計なんじゃ……?」
場の流れが不自然にならないように、俺はわざとシノさんにツッコミを入れた。
「うん。舞浜にレッツゴーだよ」
驚いていたミナトは、俺の顔を見て状況を理解したらしく、慌てて大きく頷いた。
「そうだよ! 舞浜にレッツゴーだ! ケイも一緒に行くよね!」
そんな話は全くされていなかっただろうに、スバルはすっかり同調している。
「ケイは誘われてないし、行くって言ってないだろ」
「僕が誘うし、一緒に行くよっ! だってケイは、僕の猫だもんっ!」
「ケイは猫なんかじゃないって言ってるだろ」
「ケイは僕の猫だ!」
「猫じゃないし、おまえのでもないし!」
ホクトはスバルと、まるっきり小学生の言い合いみたいになっている。
「では、私はミナトを柊一に預けて、イタルとホテルのディナーに行こう」
二転三転とお寒い空気になりかかったが、なんとか穏やかなムードに戻って、俺はようやくキドニーを口に入れた。
そしてビールを飲むと、ささやかな至福が戻ってくる。
「そう言えば、リッツ・カールトンで思い出した。今日、変なことがあったんだ」
話題を変えたのは、敬一クンだった。
「どしたん?」
「ここしばらく欠席してた伊吹を、今日久しぶりに見かけたので、声を掛けたんです」
「ケイちゃん、あんな目に遭ったのに、なんでまたゴリラと仲良くするかな?」
「いえ、違います。伊吹に文句が言いたかったんです」
「へぇ、オマエでも、ゴリラに文句言うコトあんだ」
「ケイ! 一人で伊吹と話をするのなんて危険だよ!」
「話もなにも、伊吹は俺の顔を見るなり、走って逃げた」
「ええ?」
「なんだそりゃ?」
「ケイちゃん、大魔神みたいなコワイ顔でもしてたン?」
「そんなつもりは……。大声で怒鳴ったりもしてないし、普通に声を掛けただけです」
「ゴリラ、ケイちゃんに訴えられるとでも思ったンかいの?」
「いや。ゴリラは、警告が身に染みたのだろう」
敬一クンが、不思議そうに白砂サンを振り返る。
「警告って何のことですか?」
「知人に頼んで、ゴリラに毛じらみを分けてやったのだ」
「すみません、意味が解らないんですが……」
「ゴリラは、私の大切な弟を酩酊させてレイプした凶悪犯だ。本来ならば警察に届け出るべきなのだが、そんなことをしたら敬一の履歴に傷が付いてしまうし、鎌倉の父上や母上にまで迷惑が及ぶ可能性がある。なので友人に頼んで、ゴリラにはきついお灸をすえるだけに留めた」
「どんなお灸なんすか?」
エビセンが問うた。
「私の友人に、探偵業を営んでいる者がいるのだが、彼に頼んでゴリラに毛じらみを罹患させた」
「あの……、ゴリ……いや伊吹に毛じらみを罹患って……、それのどこが復讐なんですか?」
「ふむ。敬一が知っているかどうかは判らないが、ゴリラのセックスフレンドは、事前の調査だけでも片手に収まらないと聞いた。毛じらみを罹患させた後も、潜伏期間の間に交遊に及んでいたようなので、被害がどこまで拡大したかは調べようが無いと言われた」
「やっぱり類は友を呼ぶんだな……」
うんうんと、ホクトが頷いている。
「毛じらみが周囲の者に蔓延した頃合いを見計らって、感染源がゴリラであるという噂を流布した。結果、多数のセックスフレンドと揉め事になり、縁を切られたようだ。そうしてゴリラの体面が悪くなったところで、敬一をレイプした報復として毛じらみを罹患させたこと、今後もしまた敬一にちょっかいを出したら、毛じらみ程度では済まない報復をすることを匿名で告げた」
「聖一兄さん、それは犯罪なのでは……」
「うぉっしゃー、グッジョブ! セイちゃん、やるー!」
敬一クンの問い掛けは、シノさんのはしゃいだ声と、シノさんが連発させたクラッカーの音に掻き消されてしまった。
「あー……、ナルホドね。だからあんな、警告LINEが流れて来たのか」
エビセンがひとりで頷いている。
「警告ラインって、なんだ?」
「サークルのLINEで回ってきたんだ、最近学生の間で毛じらみが流行ってるから、気をつけろって。なんで毛じらみなんか……って思ってたんだが。俺は白砂サンが報復計画を立ててるって話を、ほんのちょろっと聞かされただけで、内容は教えてもらってなかったからな」
困った様な顔をしている敬一クンの隣で、エビセンが楽しそうにあははと笑った。
「オマエの兄さんは、どっちも面白いなぁ」
「毛じらみは、人前でも構わず掻きむしらなければならないほど痒くなると言う話だから、相当恥ずかしい思いをしただろう。ゴリラは最初、自分にそれを罹患させたのは葵君ではないかと疑い、葵君の浮気を責めていたらしい。だがゴリラの方が葵君に毛じらみを罹患させたことを匿名通報したあとは、葵君から平手打ちその他の制裁に及ばれていたようだ。詳細は報告書を貰ってあるので、閲覧を希望するならば私に言ってくれたまえ」
淡々と語る白砂サンに向かって、スバルが身を乗り出した。
「ねぇ、それじゃ、ゴリラをすっかり懲らしめられたの?」
「ああ、完膚なきまでに」
白砂サンは、シレッとしたまま言った。
*ハトコとゴリラ:おわり*
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「僕はこっちの方が食べやすくて好き。でもいつものシチューも好きだよ。給食のシチューは、ベタッとしてて最低」
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「あ、すんません」
「他にも、なにか取り分けるかね?」
「いえ、大丈夫です」
「イタルも、もう一切れ食べるかね?」
「え、良いんですか?」
「このキドニーは、昨夜の謝罪代わりに焼いた物だ」
コグマの皿に、白砂サンはパイを乗せた。
「あの……聖一さん」
「なにかね?」
「僕、週末のリッツ・カールトン東京のディナーチケットを手に入れたんですが、一緒に行きませんか?」
キドニーパイを口に入れようとしていた俺の手が、思わず止まってしまった。
「ほう、リッツ・カールトンのディナーとは、興味深いな。だがそこはもちろん、子供も一緒に|入《ハイ》れるのだろうね?」
「こども……?」
あまり表情の変わらない白砂サンに、微かに笑んで訊ねられて、コグマが狼狽している。
俺に強気で、大人のデートに子供が入る余地は無いと言い切ったコグマは、思うに "大人デート" の誘いをすれば、白砂サンはそれを察知して単身で応じてくれると盲信していたんだろう。
だが白砂サンは、なんの迷いも無くミナトの席を期待している。
ここでミナトの席が無いと答えても、白砂サンはコグマを責めたりしないだろうが、誘いを断るだろう。
さすがのコグマにもそれは解ったようで、答えに窮した。
だが返事をしないのは、ミナトの席が無いと答えるのと同じことだ。
この微妙な間が長くなればなるほど、コグマの立場が悪くなるのは火を見るよりも明らかだった。
「僕、行かないよ」
白砂サンが、ミナトに振り返る。
「なぜかね?」
今度はミナトが答えに窮した。
ミナトは場の空気を読み、自分が白砂サンのプライベートの足を引きたくないと思ってディナーを辞退する旨を口にしたのだろうが。
行かない理由を口に出せば、白砂サンはそれを否定するだろうし、だからといってスバルのように「行きたくないから行きたくない」みたいな子供っぽい無邪気な返事は、ミナトには出来ない。
そんな言い方をすれば、それもまた白砂サンをガッカリさせてしまうだろうと、気を回してしまうからだ。
俺はアワアワしたが、ミナトをフォローする口実は、咄嗟に何も出てこなかった。
「そりゃ、ミナトは俺とデートの約束があるからだよ」
返事をしたのはシノさんだった。
「柊一と? そんな話は、聞いていないよ?」
「そらそーだ。つい先刻、前倒しで自分にクリスマスプレゼントしたくなったんじゃもん。お泊りで舞浜にレッツゴー! ってな。スバルは俺の子分じゃし、スバルが行くならミナトも行くに決まっちるからな。なぁ、ミナト!」
「シノさん、それ "自分に" は余計なんじゃ……?」
場の流れが不自然にならないように、俺はわざとシノさんにツッコミを入れた。
「うん。舞浜にレッツゴーだよ」
驚いていたミナトは、俺の顔を見て状況を理解したらしく、慌てて大きく頷いた。
「そうだよ! 舞浜にレッツゴーだ! ケイも一緒に行くよね!」
そんな話は全くされていなかっただろうに、スバルはすっかり同調している。
「ケイは誘われてないし、行くって言ってないだろ」
「僕が誘うし、一緒に行くよっ! だってケイは、僕の猫だもんっ!」
「ケイは猫なんかじゃないって言ってるだろ」
「ケイは僕の猫だ!」
「猫じゃないし、おまえのでもないし!」
ホクトはスバルと、まるっきり小学生の言い合いみたいになっている。
「では、私はミナトを柊一に預けて、イタルとホテルのディナーに行こう」
二転三転とお寒い空気になりかかったが、なんとか穏やかなムードに戻って、俺はようやくキドニーを口に入れた。
そしてビールを飲むと、ささやかな至福が戻ってくる。
「そう言えば、リッツ・カールトンで思い出した。今日、変なことがあったんだ」
話題を変えたのは、敬一クンだった。
「どしたん?」
「ここしばらく欠席してた伊吹を、今日久しぶりに見かけたので、声を掛けたんです」
「ケイちゃん、あんな目に遭ったのに、なんでまたゴリラと仲良くするかな?」
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「ケイ! 一人で伊吹と話をするのなんて危険だよ!」
「話もなにも、伊吹は俺の顔を見るなり、走って逃げた」
「ええ?」
「なんだそりゃ?」
「ケイちゃん、大魔神みたいなコワイ顔でもしてたン?」
「そんなつもりは……。大声で怒鳴ったりもしてないし、普通に声を掛けただけです」
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「いや。ゴリラは、警告が身に染みたのだろう」
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「警告って何のことですか?」
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「すみません、意味が解らないんですが……」
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エビセンが問うた。
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「あの……、ゴリ……いや伊吹に毛じらみを|罹患《りかん》って……、それのどこが復讐なんですか?」
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「うぉっしゃー、グッジョブ! セイちゃん、やるー!」
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「あー……、ナルホドね。だからあんな、警告LINEが流れて来たのか」
エビセンがひとりで頷いている。
「警告ラインって、なんだ?」
「サークルのLINEで回ってきたんだ、最近学生の間で毛じらみが流行ってるから、気をつけろって。なんで毛じらみなんか……って思ってたんだが。俺は白砂サンが報復計画を立ててるって話を、ほんのちょろっと聞かされただけで、内容は教えてもらってなかったからな」
困った様な顔をしている敬一クンの隣で、エビセンが楽しそうにあははと笑った。
「オマエの兄さんは、どっちも面白いなぁ」
「毛じらみは、人前でも構わず掻きむしらなければならないほど痒くなると言う話だから、相当恥ずかしい思いをしただろう。ゴリラは最初、自分にそれを罹患させたのは葵君ではないかと疑い、葵君の浮気を責めていたらしい。だがゴリラの方が葵君に毛じらみを罹患させたことを匿名通報したあとは、葵君から平手打ちその他の制裁に及ばれていたようだ。詳細は報告書を貰ってあるので、閲覧を希望するならば私に言ってくれたまえ」
淡々と語る白砂サンに向かって、スバルが身を乗り出した。
「ねぇ、それじゃ、ゴリラをすっかり懲らしめられたの?」
「ああ、完膚なきまでに」
白砂サンは、シレッとしたまま言った。
*ハトコとゴリラ:おわり*