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ー/ー「もしかしてあんた、神速流とか?」
にししし、と妙な笑い方してちょっと気持ち悪い。背格好はと言えば、タケルよりちょっと小さめだろうか。声からして女性にも思えるが、男にも。なんか難しい。
「神速一刀流の明日香コタローと言いますが、この流派をご存知とか……?」
「むふふっ、わたし近所の噂で聞いたんだ、サムライの男の子がいるってね」
⭐︎⭐︎⭐︎
…………2時間ほど前だった。ジンの様子を見に行ったときに「ヤバい匂いがする」と唐突に言われて。
「え、タケルに鼻やられたって聞いたのに、もう治ったんですか?」
「ちがう! 感覚だ感覚。例え鼻がダメになってもそれ以外の感が呼んでるんだ!」
つーか、あの野郎の事は口にするんじゃねえと釘を再三刺されて、僕とジンはその匂いのする近所の空き地へと向かっていった。
だんだんと大きくなる、チュッとかチチッって短い鳴き声。
「これ、ネズミですか……?」
「だろーな、イタチの時と同じだ。つまりは……」
口をつぐんだ。悪しきスピリットだろうか、もしくは彼の弟のザンが仕掛けたのだろうか。いずれにせよ目の前には大きな身体付きの、そして目が赤く光っている灰色の毛並みのネズミが3匹。僕らの姿をいち早く感じ取った奴らは、身動きせずじっとこちらを赤い目で見続けていた。
隣にいるジンはもう直立姿勢。つまりはワーウルフ形態だ。上背も大きくなってひときわ強そうなその姿。
「お前が先に斬り込め、逃げた奴から順に俺が仕留める」
「承知です!」と、言い切らないうちに僕はつま先に力を込め、一気にネズミとの距離を詰めた。すでに鵼斬りは光を帯びているのは確認済みだ。
そのまま刃を滑らすように……いちばん手前にいたネズミの肩口へと斬る!
キッという短い悲鳴と共にネズミは倒れた。リーダー格だろうか。ひときわ大きな身体だが反応速度はそれほどでもなかった。
……肉体を切るという感覚は皆無。雲に向かって棒を振り回すという表現が正しいだろうが。そう、悪しき魂に実体なんてないのだから。
ほんの少し、相手の身体の手前を斬る感じだろうか。そこから先はこの鵼斬りの斬気が刈りとるんだ。そいつを。
「けっ、逃げ筋がよくわかるぜ!」ジンの捨て台詞通りだ。左右に逃げた残りのネズミの前に素早く立ちふさがると、反撃する間もなく両手の鋭い爪がきらりと光り、2匹の身体を引き裂いた。
「ジン、殺し……」
「てねーよ、安心しな」
地面に力なく転がったネズミの身体からは、まるで湯気のような黒い煙が立ち上り、風に紛れて消えていった。
「分かったろこれで? あの足臭野郎の力を借りるまでもねえ。俺とお前だけで……そうだ。ザンをいつか、な」
とりあえずニコッと返すしかなかった。ジンはかなりタケルに倒されたことを根に持ってそうだって。
まあこのネズミくらいの相手なら大丈夫かも知れないしね。
……そうだ。戦いを知らないタケルの手は、もう。
こうして早々に退治仕事を終えた僕はジンと別れ、タケルの家へと帰ろうと足を向けた、その時だった。
「サムライ、みーつけたっ。ふひひっ」
なんていうか、あんまり品のない笑い声が僕の後ろから聞こえたんだ。
にししし、と妙な笑い方してちょっと気持ち悪い。背格好はと言えば、タケルよりちょっと小さめだろうか。声からして女性にも思えるが、男にも。なんか難しい。
「神速一刀流の明日香コタローと言いますが、この流派をご存知とか……?」
「むふふっ、わたし近所の噂で聞いたんだ、サムライの男の子がいるってね」
⭐︎⭐︎⭐︎
…………2時間ほど前だった。ジンの様子を見に行ったときに「ヤバい匂いがする」と唐突に言われて。
「え、タケルに鼻やられたって聞いたのに、もう治ったんですか?」
「ちがう! 感覚だ感覚。例え鼻がダメになってもそれ以外の感が呼んでるんだ!」
つーか、あの野郎の事は口にするんじゃねえと釘を再三刺されて、僕とジンはその匂いのする近所の空き地へと向かっていった。
だんだんと大きくなる、チュッとかチチッって短い鳴き声。
「これ、ネズミですか……?」
「だろーな、イタチの時と同じだ。つまりは……」
口をつぐんだ。悪しきスピリットだろうか、もしくは彼の弟のザンが仕掛けたのだろうか。いずれにせよ目の前には大きな身体付きの、そして目が赤く光っている灰色の毛並みのネズミが3匹。僕らの姿をいち早く感じ取った奴らは、身動きせずじっとこちらを赤い目で見続けていた。
隣にいるジンはもう直立姿勢。つまりはワーウルフ形態だ。上背も大きくなってひときわ強そうなその姿。
「お前が先に斬り込め、逃げた奴から順に俺が仕留める」
「承知です!」と、言い切らないうちに僕はつま先に力を込め、一気にネズミとの距離を詰めた。すでに鵼斬りは光を帯びているのは確認済みだ。
そのまま刃を滑らすように……いちばん手前にいたネズミの肩口へと斬る!
キッという短い悲鳴と共にネズミは倒れた。リーダー格だろうか。ひときわ大きな身体だが反応速度はそれほどでもなかった。
……肉体を切るという感覚は皆無。雲に向かって棒を振り回すという表現が正しいだろうが。そう、悪しき魂に実体なんてないのだから。
ほんの少し、相手の身体の手前を斬る感じだろうか。そこから先はこの鵼斬りの斬気が刈りとるんだ。そいつを。
「けっ、逃げ筋がよくわかるぜ!」ジンの捨て台詞通りだ。左右に逃げた残りのネズミの前に素早く立ちふさがると、反撃する間もなく両手の鋭い爪がきらりと光り、2匹の身体を引き裂いた。
「ジン、殺し……」
「てねーよ、安心しな」
地面に力なく転がったネズミの身体からは、まるで湯気のような黒い煙が立ち上り、風に紛れて消えていった。
「分かったろこれで? あの足臭野郎の力を借りるまでもねえ。俺とお前だけで……そうだ。ザンをいつか、な」
とりあえずニコッと返すしかなかった。ジンはかなりタケルに倒されたことを根に持ってそうだって。
まあこのネズミくらいの相手なら大丈夫かも知れないしね。
……そうだ。戦いを知らないタケルの手は、もう。
こうして早々に退治仕事を終えた僕はジンと別れ、タケルの家へと帰ろうと足を向けた、その時だった。
「サムライ、みーつけたっ。ふひひっ」
なんていうか、あんまり品のない笑い声が僕の後ろから聞こえたんだ。
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