「そう言えば何だあれ、あの伝言は!」
「どう? 恭吾のよりいいでしょ」
「俺の予定は放課後、ホテルに行くみたいに感じた……」
「ホテルなんかあるわけないじゃない、あるのは民宿だけ」
「そういう問題じゃ……」
むしろ恋実は『お上手!』と褒めて欲しそうにも見える。
「不倫カップルの間では、ホテルに行くことを『会議』とか『打ち合わせ』というそうじゃない? だからそれを逆手に取ってみたの、いいアイディアでしょ?!」
恭吾は諦めた……。そして気付かされた、自分のしていたことを。
悪意の自覚がなければ無いほど、それが厄介であることも。
「そう、恭吾……噂は聞いてるわよ。私たちも今日、課題が出てさっ、あの課題悩んでるのよ」
そんな恭吾の心中を気にすることなく口火を切ったのは恋実。恋実も『愛の要素』の課題で、恭吾を頼って来た。
少しだけ力が抜けた気がしている恭吾。進展して欲しいような欲しくないような安心感。
いつもの余裕が戻ってきた。
「恋実に俺の教えが必要な問題とは思えないけど?」
「禾几って難しい言葉とか表現を好むじゃない。だから禾几の強敵の恭吾は何て書いたのかなぁって」
「せめて龍虎と言ってくれ……」
「そんな高尚なものでもないでしょ……犬猿なのね」
「それを言うなら猫と鼠だ、食う方と食われる方……」
「トムとジェリーじゃない……」