恭吾は例の手帳を数ページめくっては一人頷きながらテンションを上げていく。
「あの日の風ならば、新校舎とのビル風だけでも体育館の入口の風は、『スカートを持ち上げようとする力』は優に1.5Nを越える。奴の視力は2.0……そして奴はフォークダンスでの最重要人物でもある……臭うぞ……これは」
「ひょっとして事件解決?」
濡れ衣も甚だしいと言うことに気付かない二人は、果たして正常と言えるのであろうか?
しかし箸が転んでもおかしい年頃なのだ、一つのことに熱中することができるのは若さの特権、青春時代そのものと言えよう。
「ま、しばらく奴をマークして泳がせよう。確たる証拠を掴むんだ!」
「ラジャー! ってでも今井君B組だよ? どうやってマークするの?」
「時巻に……頼むしかないな……」
極秘捜査だが恭吾にとって時巻だけは特別だった。特別に時巻だけに指令を出した。
生徒会室を満足げに出て行く二人は、すでに日の暮れた冷たい野天の中、帰路に就く。
しかし二人の視界は明るさに満ちていたのだった。
それは未来への希望に他ならない……。