閉会式が終わると、各校思い思い帰路に就く。舞香は振り返って馬場を見る。二日間に渡って全国の人馬たちが砂を蹴った馬場。
メンバーに選ばれなかったとき、それほど悔しさはなかった。しかし今、遊馬のまだ底知れない本気を感じ、十葉の実力に圧倒され、そして今まで遠い遠い存在だった姉……舞羽が誰かに後れを取ることなんて、想像できなかった事態を目の当たりにして、舞香は震えた。
(次は私も同じ馬場に立ちたい! 同じ空の下で馬たちと風を感じたい! あの人たちが見てる景色は何色だったのだろうか?)
まだ日の堕ちない、雄大な大地に溶け込む競技場の空を見上げる。
(颯志君……色々すごかったな……また、会えるかな……)
「舞香ぁ~。置いていくよ?!」
砂に吸収しきれない程の美都の呼び声に、何頭かの馬が嘶きで応えた。舞香は笑って遠望すると、美都に返事をして走っていく。
「舞香ちゃん……」
走り去る舞香を見送る男は颯志。見送った視線の先に遊馬を捉える。
「天沢遊馬か……正に怪物君だったな」
「ふんっ! じゃあ、残りはフランケンとかドラキュラよ!」
「舞羽ちゃんに舞香ちゃん……また会う日が楽しみだ」
「颯志ぃ~」
「……狼男になって仲良しになりたい……」
「……私は赤ずきんちゃんになりたい……」十葉が小声で呟いた。