@ 42話
ー/ー
楓乃は一生懸命声援を送るが、隼人は観客席の方を向くことはなかった。出走を許可するベルが鳴る。
隼人が遊馬と準備を行っている舞羽を見た気がした。
仕方がない気はした……同じ場で戦っている選手同士……自分がどうしてそこに居ないのか悔しく感じたりもした。醜い心はどうしてこんなにも気持ちを揺さぶるのだろう……優しく見守る気持ちを打ち消すほどに……。
声援を止めていた自分に気が付き、楓乃は再び声を出した。
「今、フィニッシュしました。さあ江南、馬渕。減点は0。タイムは……58.59! 好タイムです!」
隼人は小さく拳を固める。飛越もコース取りも自身のベストだと確信する。2番走者、藤稜へのプレッシャーを与えることに成功したはず……だった。
「――減点0。タイム58.35! 僅か0.24! 江南を上回りました!」
「何っ!?」
ベストだと思っていた記録、ひょっとしたらこの6人の中でも……なんて過った自分の甘さを呪った。
続くは舞羽。パートナーはクアトロから変わってマリンライナー。人馬ともに状態は良好だ。
「――減点0。タイム57.12! やられたらやり返す展開! 今度は江南、月皇が魅せつけました!」
「――減点0。タイム56.22! でました56秒台! 涼風が江南を突き放しました!」
言葉が出ない江南陣営。舞羽で1秒近くの差をつけられるなんて想像もできなかった。応援席の美都、舞香も口に手を当てたまま動けない。
残すは第3走者一人。減点はもちろん論外、頭打ちに近いタイム……相手のミスを願うような状態、追い詰められた。
そんな中、天沢遊馬が静かに闘志を燃す。
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仕方がない気はした……同じ場で戦っている選手同士……自分がどうしてそこに居ないのか悔しく感じたりもした。醜い心はどうしてこんなにも気持ちを揺さぶるのだろう……優しく見守る気持ちを打ち消すほどに……。
声援を止めていた自分に気が付き、楓乃は再び声を出した。
「今、フィニッシュしました。さあ江南、馬渕。減点は0。タイムは……58.59! 好タイムです!」
隼人は小さく拳を固める。飛越もコース取りも自身のベストだと確信する。2番走者、藤稜へのプレッシャーを与えることに成功したはず……だった。
「――減点0。タイム58.35! 僅か0.24! 江南を上回りました!」
「何っ!?」
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「――減点0。タイム57.12! やられたらやり返す展開! 今度は江南、月皇が魅せつけました!」
「――減点0。タイム56.22! でました56秒台! 涼風が江南を突き放しました!」
言葉が出ない江南陣営。舞羽で1秒近くの差をつけられるなんて想像もできなかった。応援席の美都、舞香も口に手を当てたまま動けない。
残すは第3走者一人。減点はもちろん論外、頭打ちに近いタイム……相手のミスを願うような状態、追い詰められた。
そんな中、天沢遊馬が静かに闘志を燃す。