三回戦、準決勝。
舞香が四強に残った学校を見ていた限りでは、藤稜高校が頭一つ抜きに出ている。颯志の自信は伊達ではない。最大の壁はやはり、この準決勝にある。
「鍵はやっぱり両キャプテンの騎乗ですよねぇ」
美都が言い難いことを、鮮やかに言ってのける。当たっているだけに、これほど見事にハッキリ断定されれば、楓乃だって笑わざるを得ない。
舞羽と遊馬、颯志と十葉の実力が伯仲しているのであれば、第3の人間の優劣がそのまま結果となる可能性は高い。
もちろん勝負に絶対はない、遊馬だって十葉だって大きなミスはあり得る。
そのキャプテン同士は一番、二番の出走で、互いに第1走者だ。相手に余裕を与えてしまうのも、プレッシャーを加えてやれるのも第一走者、一番騎手だけが持つ諸刃の剣だ。
トップ走者の背負う周囲の期待と意気込みは、蜜の味を望む好奇の目と恐怖、不安、弱気がグチャグチャに混ざり合って、朝食と一緒に口から吐き出しそうなほどだ。
(期待と不安は表裏一体だなんて嘘だ。裏と表、そんなに奇麗に分かれてなんかいねーぞ……)
一番は隼人。楓乃が抱え込んでいた熱い想いを声援に込める。