「ここから飛んだら馬も飛びやすいという地点がある。いい踏切地点に馬を持ってこれるように、細かな手さばきや足さばきを、馬と会話しながらコントロールするんだ」
遊馬はいつも簡単に言う。そして言うほど簡単ではない。
天沢遊馬はその存在感を会場中に知らしめた。それは岩沢農業、第3走者だけでなく、次対戦するであろう、藤稜高校・涼風颯志、その人へのプレッシャーでもある。
遊馬、減点0。タイム57.62。
江南馬術部、二回戦は減点数4、タイム175.55で辛勝。二回戦は12校、4試合が行われて、ベスト4が出揃った。
「いや~。圧巻だね。あ、月皇舞羽ちゃんだよね? 昨日舞香ちゃんとお話しさせてもらってさ。はじめまして」
颯志が拍手しながら寄ってくる。江南の3人は怪訝な顔を向けるも、全く動じず、言葉を続ける。
「舞羽ちゃん、昨日は調子悪かったのかな? 今日の方が断然イケてるね。そして……音に聞く天沢遊馬……聞きしに勝る怪物君だ……あ、ゴメン俺、藤稜高校一年、涼風颯志。よろしく」
「……」「……」「……」
「あれ? 何か怪しまれてる? 舞香ちゃんいないかな……あ、美都ちゃんでもいいや」
隼人は自分だけ眼中にないみたいで、気分が悪い。颯志を睨んでいる。