「いたいた。もう、美都、いつの間にやら、どこ行ってんよ~」
舞香の声で、三人が舞香を認知する。迷子になった子供が母親を見つけたかのように、パタパタと音を立てて走り寄る。
そして予期していなかった人影を確認した舞香は、素直に驚いた。
「あれ? みんな居たんだ?!」
舞羽は、舞香に少しだけ後ろめたい気持ちがもたげたが、同時に心が身構えた。それは『敵』という分類だったかもしれない。
遊馬が舞香を見ただけなのに……それは純一無雑な遊馬の心を試した罰? 舞羽は邪推な心を恥じた。
(……ありゃま……)
恋って不思議なものだ。舞香と十葉だって、美都から見て、颯志がいないところで二人が出会ったのなら、二人は友達になったかもしれない。
そしてあんなに仲の良かった姉妹が、目の前でおかしな関係になろうとしている。
恋は好きな人以外に、意地悪な魔法をかけるものだ……美都はそう思いつつも羨ましくも感じていた。
思いがけず遊馬を発見した舞香は、別れ際に颯志に言われた言葉を思い出していた。颯志は遊馬をライバルと認めたのであろう。
「あぁ、そうそう。お宅のエース、天沢クンだっけ? あれも相当な化け物だね、明日楽しみにしてるよ」
障害の難易度も上がっていく、インターハイ二日目が始まる。