遊馬は何を言う? 舞香にどんな眼差しを向ける? 舞羽には見せない心の奥底があるのか、ないのか……。
舞羽はずるい言葉が頭に過った……。その言葉が喉を通って口から出そうになる。
足に力を入れる、聞き耳を立てていた美都が、二人の元へと飛び出そうとした正にそのとき、舞羽が言った。
「舞羽よ、あたし……」
(……良かった……)
美都は胸を撫で下ろす。そして多分舞羽も、同じように緊張を解いたはずだと確信している。
舞羽がやろうとしたことは、確かに可能だったかもしれない。しかしそんなことをして得たものに、何ほどの価値があるだろうか? 失うことの方が多いのではないだろうか?
美都は舞羽にそれをさせたくなかった。だから飛び出そうとした。しかし舞羽は思い止まった。
「あ? ゴメン。舞羽だった?」
遊馬が少し悪びれた声を出す。けれども『全く分からなかった』と笑う遊馬、それはイノセンスでしかない。
『これで良かった』二人とも、その想いが胸に広がっていた。