表示設定
表示設定
目次 目次




クロダ42と不思議な二人組

ー/ー



「学校行ってくるわ。じゃあな、チャランポラン」
黒のブレザー姿に赤の指ぬきグローブ。蛍光ピンクの長髪にピンクの瞳、黒の眼帯を付けたネニィーク。今日もキュートね☆というと中指を立てられた。思春期娘だねぇ。かわヨ。
「雑に扱われとるなキミ」
投げキッスでネニィークを送り出す俺に声を掛けるのは黒い兎の様な体で下半身が本になっている赤い瞳の浮遊している謎生物。この子はクロダ42。地球外生命体で地球を高次の惑星にするプランニングの為にやって来たそうな。呆れた様な顔でこちらを見ている。
「そんな目で見ないでちょ。慣れてますわよん☆」
ウィンクをしてみせる。
「…キミがどんな顔してるかおいらには分からんで」
そのツッコミを待っていた。俺は茶髪を目が隠れる程の長さにしているのよねん。こういう小ボケをネニィークは拾ってくれないから新鮮で楽しくなる。
「クロたん。キミっちは一世帯に一人派遣されてる感じ?」
「そうやな。でも、キミら親子じゃないんやろ?」
そう、俺とネニィークは親子じゃないよ。俺は10代後半ぐらいの子を持つような年齢じゃありませーん。ビジネスパートナーかつ同居って感じ。
「ビジネスパートナー?」
クロたんが体全体を傾げる。
「クロたんが寝てからお仕事してるの。俺ら」
「寝ずに仕事?体に悪いやろ」
そもそも不健全なお仕事です。
「…何してるんやキミら」
うーん、純粋なクロたんには教えられないなぁ。ニヒヒヒヒィ。悪い笑みを浮かべると自身のギザギザとした歯が見える。
「キミ怖いな…」
怖くないとやってけないからねぇ。地球人が善性100%で出来てるとは限らないのよん。
「さて、家事するからやんわりサポートしてね。クロたん」
「任せてや!おいらは凄腕プランナーやからな!」
クロたんは可愛いねぇ。抱き締めると嫌がられた。
「おいらがイケてるとしてもいきなりハグするもんじゃないぞ」
つれないなぁ。そういう態度の方が好きだけどね。うふふ。
洗濯物は干したし、掃除も完了。ネニィークが嫌がっても洗濯物は一緒に洗っちゃうもんねー。
「お疲れさん。キミは主夫ってやつなのかー?」
洗濯物を眺めているとクロたんが尋ねてくる。
「俺は独身でーす。一人暮らしだった所にネニィークが来たの。それだけー」
クロたんはうんうんと全身を使って頷く。
「なぁ、キミらの出会い教えてくれへんか?」
いいでしょう。お茶でもしばきながらゆったりとお話しましょうと提案するとクロたんは目を輝かせた。いいね。ホットケーキ焼いてあげちゃうー。
「キミ、ホットケーキ焼くのも上手いんやな!」
ホイップクリームたっぷりのホットケーキ。短い腕でフォークを使ってやんちゃに食べている。
「ゾア君は天才なので。さて、お話してあげよう。あれは雨の日…とかじゃなく普通に晴天の昼だったね」
緑茶を一口飲んでから話を続ける。
「ネニィークは所謂、家出少女。施設から逃げてきたんだって」
「施設?」
クロたんには分からないよねぇ。俺は丁寧に。幼子に話すように口調をシフトしてから続ける。
「施設ってのは養護施設と言う所。両親がいない子達がいっぱいる場所です。そう、ネニィークには親がいません」
クロたんは何も言わずに口元に短い手を当てて小さく頷きながら話を聞きたそうにしている。そっかそっかゆっくり理解していこうねぇ。ふふふっ。
「ネニィークはああいう性格だから他の子どころか大人とも仲良く出来ませんでした。一人ぼっちなのは耐えられましたが無理やり仲良くしようねと毎日のように声を掛けられるのが嫌でそこから抜け出してきたんだって」
「うーん、辛い事から逃げる事は大切やけど良くない事だよな?」
俺は頷く。
「それはそうだねぇ。心配になるでしょ」
クロたんはうんうんと頷く。本当は責任問題とか面子とかそんなのなんだけどさ。という黒い所を一切匂わせずに話す。
「俺はお散歩してたんだけどもそこで疲れてへばってるネニィークと出会ってね。まだ口を付けてなかったスポーツドリンクあげたの」
「優しいんやな」
そんなキラキラした瞳で見てきてくれるんだ。本当に純粋。ここは脚色してないから普通の善い人でしかないのは確かだけどね。思い返すとばったりだったなぁ。俺は話を続ける。
「俺はひと目で家出だなって分かったの。理由?どう見ても外出する格好じゃなかったから。それに夏だっていうのに水筒1つ持たないなんておかしいもの。流石に施設の子だとは思わなかったけど。親御さんは?って聞いたら『いない』って強く返されてそこで察したよね。かなりの距離を移動してきたのは疲労度から分かったからそこから施設の場所を割り出してお宅のお嬢さん抜け出してますよって伝えようと思ったけど『やめて!』って睨まれたらそっかーやめて欲しいかーってなったんだよねぇ」
「それも良くない事だよな?」
俺はニヤリと笑う。
「良くないよ。でも、俺はとっても優しいからとある提案を持ち出したんだ。『俺と養子縁組しよう。自由を与えてあげる』って。普通なら出会ったばかりのこーんな不審者の言う事なんて聞かないと思ったけどあの態度から察せる通り。こいつはチョロいと思ってくれたから割と即決してくれたよ」
「出会った時から舐められてたのか…」
「だね。で、すこーしだけお時間もらって書類を作ったりして用意を整えてから施設に向かってあーだこーだしてネニィークはうちの子になりました」
クロたんは目を三角にして、全身を使って跳ねる。
「もー!そのあーだこーだ気になる!聞かせてくれや!」
「今のクロたんに聞かせる程のお話じゃないよーん。もっとこのゾア君の事を理解したら教えてあげよう」
緑茶を飲み干してからクロたんのカップに紅茶を注ぐ。
「まだ地球のルール分からんのやがそっか。キミがあの地球人を自由にしてあげたんやな」
「そういう認識でいいよーん☆」
「良い奴やな」
ビジネスパートナーになった話とかどうして引き取ろうなんて思考になったのかとかツッコミどころ満載だけど『善い人』で片付けて納得してくれるの可愛いねクロたんは。
「ご馳走さん。美味かったぞ!」
ぴょんぴょんと跳ねるクロたんの頭を撫でてから、ハンドタオルで口元を拭ってあげる。
「お粗末様でやしたー。これからチョチョイとお作業するから見守っててねん」
「おう!任せとき!」
すっかり上機嫌のクロたん。これからも仲良くしようね。
「すーすー」
寝息を立てているクロたん。下半身の本を閉じて本形態になっている。時刻は夕暮れ。
「お腹いっぱいになったら寝ちゃうと思ってた。単純な生き物。それ故に…」
ニィとギザギザの歯を見せて笑う。
「偽るという行いに喜びを強く感じるねぇ。ネニィークとはまた違う偽りの形。うふふっ」
窓を開けると風が前髪の一部を持ち上げる。一瞬だけ見えた瞳は妖しく、超自然的な赤だった。
「おい、帰ったぞ。与太野郎」
背後から声。俺は振り向いて満面の笑みで言う。
「お帰り。ネニィークたん☆」


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む クロダ42との仮名一行の奇天烈な一日


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「学校行ってくるわ。じゃあな、チャランポラン」
黒のブレザー姿に赤の指ぬきグローブ。蛍光ピンクの長髪にピンクの瞳、黒の眼帯を付けたネニィーク。今日もキュートね☆というと中指を立てられた。思春期娘だねぇ。かわヨ。
「雑に扱われとるなキミ」
投げキッスでネニィークを送り出す俺に声を掛けるのは黒い兎の様な体で下半身が本になっている赤い瞳の浮遊している謎生物。この子はクロダ42。地球外生命体で地球を高次の惑星にするプランニングの為にやって来たそうな。呆れた様な顔でこちらを見ている。
「そんな目で見ないでちょ。慣れてますわよん☆」
ウィンクをしてみせる。
「…キミがどんな顔してるかおいらには分からんで」
そのツッコミを待っていた。俺は茶髪を目が隠れる程の長さにしているのよねん。こういう小ボケをネニィークは拾ってくれないから新鮮で楽しくなる。
「クロたん。キミっちは一世帯に一人派遣されてる感じ?」
「そうやな。でも、キミら親子じゃないんやろ?」
そう、俺とネニィークは親子じゃないよ。俺は10代後半ぐらいの子を持つような年齢じゃありませーん。ビジネスパートナーかつ同居って感じ。
「ビジネスパートナー?」
クロたんが体全体を傾げる。
「クロたんが寝てからお仕事してるの。俺ら」
「寝ずに仕事?体に悪いやろ」
そもそも不健全なお仕事です。
「…何してるんやキミら」
うーん、純粋なクロたんには教えられないなぁ。ニヒヒヒヒィ。悪い笑みを浮かべると自身のギザギザとした歯が見える。
「キミ怖いな…」
怖くないとやってけないからねぇ。地球人が善性100%で出来てるとは限らないのよん。
「さて、家事するからやんわりサポートしてね。クロたん」
「任せてや!おいらは凄腕プランナーやからな!」
クロたんは可愛いねぇ。抱き締めると嫌がられた。
「おいらがイケてるとしてもいきなりハグするもんじゃないぞ」
つれないなぁ。そういう態度の方が好きだけどね。うふふ。
洗濯物は干したし、掃除も完了。ネニィークが嫌がっても洗濯物は一緒に洗っちゃうもんねー。
「お疲れさん。キミは主夫ってやつなのかー?」
洗濯物を眺めているとクロたんが尋ねてくる。
「俺は独身でーす。一人暮らしだった所にネニィークが来たの。それだけー」
クロたんはうんうんと全身を使って頷く。
「なぁ、キミらの出会い教えてくれへんか?」
いいでしょう。お茶でもしばきながらゆったりとお話しましょうと提案するとクロたんは目を輝かせた。いいね。ホットケーキ焼いてあげちゃうー。
「キミ、ホットケーキ焼くのも上手いんやな!」
ホイップクリームたっぷりのホットケーキ。短い腕でフォークを使ってやんちゃに食べている。
「ゾア君は天才なので。さて、お話してあげよう。あれは雨の日…とかじゃなく普通に晴天の昼だったね」
緑茶を一口飲んでから話を続ける。
「ネニィークは所謂、家出少女。施設から逃げてきたんだって」
「施設?」
クロたんには分からないよねぇ。俺は丁寧に。幼子に話すように口調をシフトしてから続ける。
「施設ってのは養護施設と言う所。両親がいない子達がいっぱいる場所です。そう、ネニィークには親がいません」
クロたんは何も言わずに口元に短い手を当てて小さく頷きながら話を聞きたそうにしている。そっかそっかゆっくり理解していこうねぇ。ふふふっ。
「ネニィークはああいう性格だから他の子どころか大人とも仲良く出来ませんでした。一人ぼっちなのは耐えられましたが無理やり仲良くしようねと毎日のように声を掛けられるのが嫌でそこから抜け出してきたんだって」
「うーん、辛い事から逃げる事は大切やけど良くない事だよな?」
俺は頷く。
「それはそうだねぇ。心配になるでしょ」
クロたんはうんうんと頷く。本当は責任問題とか面子とかそんなのなんだけどさ。という黒い所を一切匂わせずに話す。
「俺はお散歩してたんだけどもそこで疲れてへばってるネニィークと出会ってね。まだ口を付けてなかったスポーツドリンクあげたの」
「優しいんやな」
そんなキラキラした瞳で見てきてくれるんだ。本当に純粋。ここは脚色してないから普通の善い人でしかないのは確かだけどね。思い返すとばったりだったなぁ。俺は話を続ける。
「俺はひと目で家出だなって分かったの。理由?どう見ても外出する格好じゃなかったから。それに夏だっていうのに水筒1つ持たないなんておかしいもの。流石に施設の子だとは思わなかったけど。親御さんは?って聞いたら『いない』って強く返されてそこで察したよね。かなりの距離を移動してきたのは疲労度から分かったからそこから施設の場所を割り出してお宅のお嬢さん抜け出してますよって伝えようと思ったけど『やめて!』って睨まれたらそっかーやめて欲しいかーってなったんだよねぇ」
「それも良くない事だよな?」
俺はニヤリと笑う。
「良くないよ。でも、俺はとっても優しいからとある提案を持ち出したんだ。『俺と養子縁組しよう。自由を与えてあげる』って。普通なら出会ったばかりのこーんな不審者の言う事なんて聞かないと思ったけどあの態度から察せる通り。こいつはチョロいと思ってくれたから割と即決してくれたよ」
「出会った時から舐められてたのか…」
「だね。で、すこーしだけお時間もらって書類を作ったりして用意を整えてから施設に向かってあーだこーだしてネニィークはうちの子になりました」
クロたんは目を三角にして、全身を使って跳ねる。
「もー!そのあーだこーだ気になる!聞かせてくれや!」
「今のクロたんに聞かせる程のお話じゃないよーん。もっとこのゾア君の事を理解したら教えてあげよう」
緑茶を飲み干してからクロたんのカップに紅茶を注ぐ。
「まだ地球のルール分からんのやがそっか。キミがあの地球人を自由にしてあげたんやな」
「そういう認識でいいよーん☆」
「良い奴やな」
ビジネスパートナーになった話とかどうして引き取ろうなんて思考になったのかとかツッコミどころ満載だけど『善い人』で片付けて納得してくれるの可愛いねクロたんは。
「ご馳走さん。美味かったぞ!」
ぴょんぴょんと跳ねるクロたんの頭を撫でてから、ハンドタオルで口元を拭ってあげる。
「お粗末様でやしたー。これからチョチョイとお作業するから見守っててねん」
「おう!任せとき!」
すっかり上機嫌のクロたん。これからも仲良くしようね。
「すーすー」
寝息を立てているクロたん。下半身の本を閉じて本形態になっている。時刻は夕暮れ。
「お腹いっぱいになったら寝ちゃうと思ってた。単純な生き物。それ故に…」
ニィとギザギザの歯を見せて笑う。
「偽るという行いに喜びを強く感じるねぇ。ネニィークとはまた違う偽りの形。うふふっ」
窓を開けると風が前髪の一部を持ち上げる。一瞬だけ見えた瞳は妖しく、超自然的な赤だった。
「おい、帰ったぞ。与太野郎」
背後から声。俺は振り向いて満面の笑みで言う。
「お帰り。ネニィークたん☆」