クロダ42との邂逅
ー/ー
妙な細やかな気配と分かりきった来訪者の気配を感じつつ帰宅すると黒い兎の様な耳を持つ、赤い瞳で本と一体化した浮遊している謎の生物と黒いキャップに切り揃えられた赤髪で片目を隠している赤い瞳の口元の黒のネックウォーマーで覆った白のオーバーサイズのパーカー。所謂、ゆるめのストリートスタイルの狩命が居た。
「うちはペット禁止だ。それと不法侵入もだ」
「誰がペットやねん。おいらはクロダ42や。宜しくな地球人」
喋った。なんだコイツは。口ぶりから察するに地球外生命体という奴か。
「(先手打たせてもらうけど特別区の住人の元には必ずいる奴だよ。僕の家にもいる。たっぷり可愛がってからここに来た。ちょいウザなのが良き良き)」
「この地球人、一切喋ってくれんし、壁すり抜けて来たんよ。なんなんや?うわっ!掴むなや!」
狩命はクロダ42と名乗った地球外生命体の頬と思われる箇所を掴んで伸び縮みさせている。よほどお気に入りらしい。
「コイツの目的は?」
「その地球人じゃなくおいらに直接聞いてくれよー。ズバリ『地球をより高次の惑星にする』為に来た凄腕のプランナー…モガガ。ひゃなすんやー!」
「(だそうです。可愛いねクロダ。僕の事を醜悪たんの配偶者とかそういう認識に染めてやろうかと。うちのクロダにはそう教え込んだよ。次はこの子の番だ。フフッ)」
この死神めが…。悪魔より悪魔の所業を平然と…。
「キミ!この地球人と意思疎通出来るんなら離すように説得…ひゃめろー!!」
「(触り心地グンパツ。キュートアグレッションの極み)」
「やめてやれ。そのクロダ42とかいう地球外生命体は俺の家の奴らしいな?なら俺の所有物。傷付けたら損害賠償支払ってもらうぞ」
「(一向に構わんが?僕はそこそこの財を持っている事を忘れたのかね)」
そうだった。実家も太ければイラストレーターとして、副業として画商としても成功してる奴だったな。全く。
「来たばっかで法律だのは知らんのやがおいらの事をぞんざいに扱っとるのは分かったわ。キミらあんまりやな…」
「変わった地球人でな。コイツも俺も。人間と呼ばれるホモサピエンス、ヒト亜人に属する動物ではない。俺は悪魔。コイツは死神。つまりは人間ではない種族だ」
クロダ42は弄られながらも口元に短い手を当てる動作をして、成る程と言いたげにしている。
「だとしてもや、おいらからすれば地球に住んどるんやから地球人って認識や。詳しくはゆっくり聞かせてく…むぃぃ」
「やめろと言っただろ」
睨みつけてもなんて事ないという面でクロダ42を構って遊んでいる。
「はぁはぁ…死神っていうのはこんなにアグレッシブなんか?」
「喋らないのも、奇行が。そもそもがおかしいのもコイツだけだ」
「(もっとこう手心とかないんかー?)」
「ない」
クロダ42は狩命と俺の顔を見やってから不思議そうな顔をする。
「キミらは喋らなくとも意思疎通出来る種族なんやなー」
俺は首を振る。
「コイツの意思が読めるのはごく一部だ。俺だって把握してない所がある。コイツが俺の事をなんて呼んでいるのか。それだけは未だに分からん」
「そうな…わー!」
今度は本部分を閉じたり、開いたりしている。
「はぁ…」
俺は狩命からクロダ42を奪う。文句を言いたげにしていたが知った事じゃない。
「ありがとな。無愛想なキミ。名前教えてくれてもいいんやで?」
「醜悪な悪魔。コイツは…」
何となく圧から感じていたが狩命という死神としての名ではなく仮名というそのまま仮の名で呼ばせたがっているのを察し、クロダ42にはそう伝えた。
「この無口なキミが仮名でキミが醜悪な悪魔って言うんやな。改めて宜しくなー」
横に一回転してから手を振って挨拶してくる。懲りもせず、クロダ42掴み掛かろうとしている狩命を睨みつけて牽制する。
「(ケチ)」
「なんとでも言え」
「キミら、仲良いんやな〜。微笑ましいわ」
狩命は黒のネックウォーマーを指で下ろし、口を露出させ、初めて声を出した。
「配偶者だからね」
目を丸くしているクロダ42など気にせずネックウォーマーを元通りにしてから変わらずの眠たげな顔でこちらを見ている。
「戯言だ。無視しろ。いいな?」
「『喋れるんかキミ』が勝って内容忘れたわ」
クロダ42に襲い掛かろうとする狩命にチョップをかまして阻止する。
「油断も隙もないやん…」
俺の後ろに隠れて狩命を見ている。
「警戒対象になったな。つまりは目論見は失敗だ。諦めろ」
「(ぷぇー。まあいいや。醜悪たんナイズドされたクロダを楽しみにするとしよう。という訳でうちのクロダを愛でに帰るよ。お邪魔したね)」
床から立ち上がって、当たり前のように壁をすり抜けて出ていく。
「そう!こうやって来たんや!おいらビックリしたんやで」
「(デカい声上げてらしたわね。聞こえてたわよ)」
頭だけを壁から出してくる。
「わぁっ!」
クロダ42はすっかり怖がっている様子だ。
「驚かすな。弄るな。さっさと帰れ」
「(キュートなアグレッションが止まらないのさ。今度こそじゃあね)」
頭を引っ込めて、手だけを壁から出して手を振って去っていった。
「…やれやれ。毎度、不法侵入するなとは言っているが聞く耳を持たない。つまりは慣れてくれとしか言えない」
「努力するわ」
しょぼくれたクロダ42を一瞥してから愛用の椅子に座り、本を読む。クロダ42は俺の様子を見て集中する事は良き事と頷いてから宙を漂っていた。
その後、醜悪の意味を知って愕然としていたという話を追記しておく。
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妙な細やかな気配と分かりきった来訪者の気配を感じつつ帰宅すると黒い兎の様な耳を持つ、赤い瞳で本と一体化した浮遊している謎の生物と黒いキャップに切り揃えられた赤髪で片目を隠している赤い瞳の口元の黒のネックウォーマーで覆った白のオーバーサイズのパーカー。所謂、ゆるめのストリートスタイルの狩命《かめい》が居た。
「うちはペット禁止だ。それと不法侵入もだ」
「誰がペットやねん。おいらはクロダ42や。宜しくな地球人」
喋った。なんだコイツは。口ぶりから察するに地球外生命体という奴か。
「(先手打たせてもらうけど特別区《ここ》の住人の元には必ずいる奴だよ。僕の家にもいる。たっぷり可愛がってからここに来た。ちょいウザなのが良き良き)」
「この地球人、一切喋ってくれんし、壁すり抜けて来たんよ。なんなんや?うわっ!掴むなや!」
狩命はクロダ42と名乗った地球外生命体の頬と思われる箇所を掴んで伸び縮みさせている。よほどお気に入りらしい。
「コイツの目的は?」
「その地球人じゃなくおいらに直接聞いてくれよー。ズバリ『地球をより高次の惑星にする』為に来た凄腕のプランナー…モガガ。ひゃなすんやー!」
「(だそうです。可愛いねクロダ。僕の事を醜悪たんの配偶者とかそういう認識に染めてやろうかと。うちのクロダにはそう教え込んだよ。次はこの子の番だ。フフッ)」
この死神《おろかもの》めが…。悪魔より悪魔の所業を平然と…。
「キミ!この地球人と意思疎通出来るんなら離すように説得…ひゃめろー!!」
「(触り心地グンパツ。キュートアグレッションの極み)」
「やめてやれ。そのクロダ42とかいう地球外生命体は俺の家の奴らしいな?なら俺の所有物。傷付けたら損害賠償支払ってもらうぞ」
「(一向に構わんが?僕はそこそこの財を持っている事を忘れたのかね)」
そうだった。実家も太ければイラストレーターとして、副業として画商としても成功してる奴だったな。全く。
「来たばっかで法律だのは知らんのやがおいらの事をぞんざいに扱っとるのは分かったわ。キミらあんまりやな…」
「変わった地球人でな。コイツも俺も。人間と呼ばれるホモサピエンス、ヒト亜人に属する動物ではない。俺は悪魔。コイツは死神。つまりは人間ではない種族だ」
クロダ42は弄られながらも口元に短い手を当てる動作をして、成る程と言いたげにしている。
「だとしてもや、おいらからすれば地球に住んどるんやから地球人って認識や。詳しくはゆっくり聞かせてく…むぃぃ」
「やめろと言っただろ」
睨みつけてもなんて事ないという面でクロダ42を構って遊んでいる。
「はぁはぁ…死神っていうのはこんなにアグレッシブなんか?」
「喋らないのも、奇行が。そもそもがおかしいのもコイツだけだ」
「(もっとこう手心とかないんかー?)」
「ない」
クロダ42は狩命と俺の顔を見やってから不思議そうな顔をする。
「キミらは喋らなくとも意思疎通出来る種族なんやなー」
俺は首を振る。
「コイツの意思が読めるのはごく一部だ。俺だって把握してない所がある。コイツが俺の事をなんて呼んでいるのか。それだけは未だに分からん」
「そうな…わー!」
今度は本部分を閉じたり、開いたりしている。
「はぁ…」
俺は狩命からクロダ42を奪う。文句を言いたげにしていたが知った事じゃない。
「ありがとな。無愛想なキミ。名前教えてくれてもいいんやで?」
「醜悪な悪魔。コイツは…」
何となく圧から感じていたが狩命という死神としての名ではなく仮名《かりな》というそのまま仮の名で呼ばせたがっているのを察し、クロダ42にはそう伝えた。
「この無口なキミが仮名でキミが醜悪な悪魔って言うんやな。改めて宜しくなー」
横に一回転してから手を振って挨拶してくる。懲りもせず、クロダ42掴み掛かろうとしている狩命を睨みつけて牽制する。
「(ケチ)」
「なんとでも言え」
「キミら、仲良いんやな〜。微笑ましいわ」
狩命は黒のネックウォーマーを指で下ろし、口を露出させ、初めて声を出した。
「配偶者だからね」
目を丸くしているクロダ42など気にせずネックウォーマーを元通りにしてから変わらずの眠たげな顔でこちらを見ている。
「戯言だ。無視しろ。いいな?」
「『喋れるんかキミ』が勝って内容忘れたわ」
クロダ42に襲い掛かろうとする狩命にチョップをかまして阻止する。
「油断も隙もないやん…」
俺の後ろに隠れて狩命を見ている。
「警戒対象になったな。つまりは目論見は失敗だ。諦めろ」
「(ぷぇー。まあいいや。醜悪たんナイズドされたクロダを楽しみにするとしよう。という訳でうちのクロダを愛でに帰るよ。お邪魔したね)」
床から立ち上がって、当たり前のように壁をすり抜けて出ていく。
「そう!こうやって来たんや!おいらビックリしたんやで」
「(デカい声上げてらしたわね。聞こえてたわよ)」
頭だけを壁から出してくる。
「わぁっ!」
クロダ42はすっかり怖がっている様子だ。
「驚かすな。弄るな。さっさと帰れ」
「(キュートなアグレッションが止まらないのさ。今度こそじゃあね)」
頭を引っ込めて、手だけを壁から出して手を振って去っていった。
「…やれやれ。毎度、不法侵入するなとは言っているが聞く耳を持たない。つまりは慣れてくれとしか言えない」
「努力するわ」
しょぼくれたクロダ42を一瞥してから愛用の椅子に座り、本を読む。クロダ42は俺の様子を見て集中する事は良き事と頷いてから宙を漂っていた。
その後、醜悪の意味を知って愕然としていたという話を追記しておく。