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@29話

ー/ー





「噂? 俺が知らない噂なんてないはずだが?」


 


 時巻が口を閉じて『笑顔の光線』が止んだのを確認して、恭吾は再び時巻との距離を詰める。下がったままではいられない恭吾のプライドだ。


 


 


「ははは、そりゃ、恭吾自身の噂なんだから仕方ないんじゃない?」


 


 再び光線が発せられ、恭吾は後退させられる。


 


「いつから噂になってる?」


 


 その問いに対して『え~と……』と考え込んだのを見たのなら、よせばいいのに前進を試みる。


 


「昨日……辺りかな」


 


 そして顔を上げると同時に三度屈辱の減陣を余儀なくされる。


 引きながら時巻の答えを受けて『ふーん』とそっちに興味を向けてない。


 


 


「……で優香ちゃんはどうなの?」


 


 今度は時巻の方から歩み寄ってくると小声で聞いて来る。ちゃんと恭吾の言い分を立てるところが性格の良さを物語っている。


 


 


「ま、……時間の問題だとは思うんだが……」


「進展なしなのは分かってるよ、そうじゃな……」


 


「進展なしではない! 確実に力の方向は分かっているんだ」


「力の方向?」


 


「そう……今まではきっかけが無かっただけだ。今は優香ちゃんのためにするべきこと……つまりは力の方向が分かっている!」


 


 そう言いながら自身の手を掲げて見せる。それは……。


 


 


 それは、そうフレミングの法則。電流の向き・磁界の向き・力の向きの関係を表している。


 中指、人差し指・親指を互いに直角になるようにした時、中指が電流の向き、人差し指を磁界の向きに合わせた時、親指の方向が、電流が磁界から受ける力の向きを表す。


 


 


「つまり今、俺は優香ちゃんという磁界の中で、恋の電流が走っている訳さ。この事件を解決する、この親指の方向に力を向けろと言っている!!」


 


「あ、ゴメン……俺そういう難しい事分からないから」


 


 


 これは時巻の本音である。面倒くさい恭吾を躱す言い訳ではない。


 だからこそ恭吾は時巻を親友だと思わざるを得ないでいる。


 


 


「そっか、時巻には難しすぎたな……そう俺はS極、優香ちゃんはN極、正に惹かれ合う存在! と言えば簡単だな」


 


 意味不明なことを言い出す始末だ。




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「噂? 俺が知らない噂なんてないはずだが?」
 時巻が口を閉じて『笑顔の光線』が止んだのを確認して、恭吾は再び時巻との距離を詰める。下がったままではいられない恭吾のプライドだ。
「ははは、そりゃ、恭吾自身の噂なんだから仕方ないんじゃない?」
 再び光線が発せられ、恭吾は後退させられる。
「いつから噂になってる?」
 その問いに対して『え~と……』と考え込んだのを見たのなら、よせばいいのに前進を試みる。
「昨日……辺りかな」
 そして顔を上げると同時に三度屈辱の減陣を余儀なくされる。
 引きながら時巻の答えを受けて『ふーん』とそっちに興味を向けてない。
「……で優香ちゃんはどうなの?」
 今度は時巻の方から歩み寄ってくると小声で聞いて来る。ちゃんと恭吾の言い分を立てるところが性格の良さを物語っている。
「ま、……時間の問題だとは思うんだが……」
「進展なしなのは分かってるよ、そうじゃな……」
「進展なしではない! 確実に力の方向は分かっているんだ」
「力の方向?」
「そう……今まではきっかけが無かっただけだ。今は優香ちゃんのためにするべきこと……つまりは力の方向が分かっている!」
 そう言いながら自身の手を掲げて見せる。それは……。
 それは、そうフレミングの法則。電流の向き・磁界の向き・力の向きの関係を表している。
 中指、人差し指・親指を互いに直角になるようにした時、中指が電流の向き、人差し指を磁界の向きに合わせた時、親指の方向が、電流が磁界から受ける力の向きを表す。
「つまり今、俺は優香ちゃんという磁界の中で、恋の電流が走っている訳さ。この事件を解決する、この親指の方向に力を向けろと言っている!!」
「あ、ゴメン……俺そういう難しい事分からないから」
 これは時巻の本音である。面倒くさい恭吾を躱す言い訳ではない。
 だからこそ恭吾は時巻を親友だと思わざるを得ないでいる。
「そっか、時巻には難しすぎたな……そう俺はS極、優香ちゃんはN極、正に惹かれ合う存在! と言えば簡単だな」
 意味不明なことを言い出す始末だ。