「優香ちゃんの次に並んでいたのは優香ちゃんの親友、津田さんだ」
「あっ!!」
「気付いたか? そう……菊池は津田さんのことが好きだって噂になっている……いとをかし」
ここは陸の孤島……県立的山高等学校。菊池如きが好きな女なんぞはすぐ判る。
一たび噂になればそれは全てに知れ渡る……そしてそれは否定されても、決して消えることはない……。
「曲が短くなったせいで菊池君は津田さんに届かなかった……」
「そう、もし菊池が『曲が短くなった』ことに気付いていたのなら、きっと奴は俺を恨んでいる!!」
「ってあなたを恨んでる犯人じゃん」
「……よし、菊池は容疑者から外そう……」
「……」
捜査は進展した……?
「あれ?」
恋実が声を上げる。
「え? 何か間違いがあるとでも?」
恭吾は恋実の声に自身の推理におかしなことがあったのかと、視線をぶつけようとしたが、当の恋実は廊下の方を見ていた。
「ん? どうかした?」
恭吾も恋実の視線を追いかけるように振り返る。
「あ、うん……今、誰かが覗いていたような気がしたんだけど……気のせいかな?」
首を傾げる恋実は怯えているも不安な様子もないので、恭吾は立ち上がって廊下を確認するまでもないと判断。
少しだけ開いた隙間が廊下の冷たい空気を吸い込んでいたが、大きく開いた窓からの冷気で気にもならない。
廊下と教室を繋ぐ扉は、静かにその役目を果たしているかに思えた。