四人部屋で残りの3人は一体どこに行っているのであろうか? 少しばかりナイーブになっている舞羽を気遣っているかのようにも感じていた。
舞羽は遊馬と隼人の男部屋の前まで来てみた。
ノックしようか迷っていると、中から楓乃の声が聞こえてきた。扉を叩こうとしていた手が、既の所で止まる。
(そう言えば、美都がそんなこと言ってたっけ……)
以前の美都の言葉を思い出した。そうなれば遊馬もこの部屋には居辛いはずである。舞羽は館内をフラフラと彷徨うことにした。
一方、舞香と美都はロビーで缶ジュース片手に、談笑していた。やはり二人とも、舞羽に独りの時間を渡してあげたかった。心地いい風が窓から入ってくる広い空間は、話すに適した環境だったのかもしれない。
盛り上がって止まらない女子トークは、ついに注意を受けた。仕方なしにその場を退散する二人。
「あーあ、やっちゃったね」
「美都が笑いすぎなんだよっ、もう」
話が糸を引く中、美都が不注意にも立ち上がったところに運悪く丁度、人影が。
「おっと!」 「あっ」
「きゃっ!」 「あ、すみません」
お互い二人組同士、言葉が重なる。部屋着に羽織ったジャージ姿の男女の胸には『藤稜高校』の四文字が刺繍されていた。