遊馬と舞羽は同じクラスであった。遊馬は落ち着いた性格で優しく、その人柄は抜群であった。
噂に聞こえた天沢家の天才児は、舞羽が一目見て恋をしてしまうほどに本物だった。
「天沢君、馬術部なの?」「乗馬って素敵よね~」「え~私も馬術部入ろうかな」「ってことは此処の大学に進むの?」
中等部からのエスカレーターではない外部からの人間は、マンネリ化した学校生活にスパイスを加える。
『和』的な雰囲気とそれに似合う切れ長の一重にしょうゆ顔。背丈もあって知的な振舞いは、クラスの女子たちの話題を独り占めにした。
『ふぅ~』……囲まれている女子の隙間から遊馬を眺めてため息をつく。舞羽も話しかけたかったけれども、たった一言『ねぇ』っと、声を掛ける、それだけのことさえできないでいた。
今の舞羽には、その勇気を持てない。
「ねえ、月皇さんも『障害』?」
昼休み、遊馬が突然話かけてきた。意識の外で、五本の指の腹を顔の前で着いたり離したり……顔も気も緩みきったところへの不意打ちに、舞羽はかなり動転した。
「へ?」
間の抜けた返事をしてしまった。