舞香は帰ってきた……。
今まで舞羽の陰に隠れていた、才能を引っ提げて……。
オランダからの評価は駿吾を驚かせるものであった。アンキーの言葉に駿吾は耳を疑うほどに。
「さすがはあの『バロン竹一(* バロンは称号)』の血統……駿吾が認めるライダーだ」
そういってアンキーは称えた。
舞香は元々ミスがない。舞羽より出来なくても、遅くても、丁寧に我慢して最後までやり抜いてきた。上手な人をよく見て、真似て、決して腐ることはなかった。
長きに渡って耕されてきた土壌に、ついに花が咲いた。舞羽の不在とオランダという環境が、アンキーという理解者が、舞香の陽の当たっていなかった能力を引き出したのだった。
舞羽は、帰って来た妹を見て直感した……『あぁ……やっぱり……』と。それでも舞羽は舞香の成長を心から喜ぶ……舞羽しか分からないであろう、その意味、その感情……瞳には涙が浮かんでいた……。
そしてアンキーから、もう一人同世代に、日本人の天才がいることを耳にした。ドイツの馬術マイスターに師事を受けている、涼風颯志という男の噂だ。